サラブレッド系統分類③ノーザンダンサー系 その1
2023/02/09
こんにちは、mokomoko競馬です。
前回に引き続きサラブレッド系統分類やっていきたいと思います。今回は20世紀後半から現在まで世界で最も影響力のあるノーザンダンサー系です。多いので今回は概要と《サドラーズウェルズ》と《ダンジグ》を紹介します。
馬の名前が系統を表していて非常にややこしいので『』を大系統、《》を中系統、【】を小系統とし、単一の馬を指す場合は〈〉で表すようにしています。
ノーザンダンサー系
今回は『ノーザンダンサー』でこの系統は現在、世界中で見られ、競馬の主要な国全てに『ノーザンダンサー』が父系の種牡馬が存在するといわれています。
特に多くみられるのが欧州で現在平地競争で走っているサラブレッドの少なくとも70%以上はこの系統だと考えています。また、豪州でも多く、現地の土着血統を衰退させるほど増えています。一方、日本で繁栄していたのは〈ノーザンテースト〉の時代まででその後は多くの馬の血統表に名を刻んでいますが、父系としては目立たない系統です。そういった事情もあるので、本来は一括りにできない程に巨大な系統ですが、ざっくりと紹介していこうと思います。
現在の繋がっている主流3系統は《サドラーズウェルズ》、《ダンジグ》、《ストームキャット》で、その他に《デュピティミニスター》、《ヌレイエフ》、《トライマイベスト》、《フェアリーキング》があります。《リファール》や《ニジンスキー》もありますがかなり衰退しているので今回は紹介していません。〈ナイトシフト〉の後継などその他のマイナーな系統は《ノーザンダンサー》として扱っています。
サドラーズウェルズ
21世紀の欧州競馬の大黒柱的な系統です。圧倒的なシェアを誇り、後継種牡馬も続々と独自の系統を確立しているといえます。どの距離でも走る馬がいると思いますがやはり2000m~2400mが最も得意だと考えられます。米国に進出している派閥もいますが、日本では〈テイエムオペラオー〉や〈メイショウサムソン〉を輩出しましたが、それ以降は『ノーザンダンサー』の中でもかなり影が薄い部類です。
正統後継者といえるのは【ガリレオ】で父に負けず劣らずの活躍をしています。後継の〈フランケル〉も種牡馬として成功しているのでまだ地位が揺らぐことはありません。
続いて〈エルコンドルパサー〉との戦いで印象深い【モンジュー】は特に凱旋門賞に強い系統ですが、現在は衰退気味で英国2冠馬〈キャメロット〉次第といえる状況です。
米国で活躍しているのが【エルプラド】で香港でも最強馬〈ゴールデンシックスティー〉を輩出しました。
日本でやや有名な系統に【インザウィングス】があります。ジャパンC馬〈シングスピール〉を輩出し、その後も後継の〈ロゴタイプ〉がいます。他はドイツで父系を繋いていて、凱旋門賞馬〈トルカータータッソ〉もこの派閥です。
【ハイシャパラル】は豪州を始めとする南半球で、一定の成果を残しています。
これらの派閥以外はまとめて【サドラーズウェルズ】としています。
ダンジグ
『ノーザンダンサー』の中では世界で最も広く分布していると考えられます。欧州では《サドラーズウェルズ》に次ぐシェアを持ち、豪州でも多くの後継を残しています。
ダンジグの2枚看板の【グリーンデザート】は欧州で広く活躍し〈シーザスターズ〉などの名馬を輩出しました。また、その下に【インヴィジブルスピリット】があり、〈キングマン〉が種牡馬としても成功し、勢いもあることから別の派閥としています。
もう一つは【デインヒル】で、世界中の短距離路線で活躍していて、最強マイラーとも名高い〈ロックオブジブラルタル〉が有名です。下に【ダンンシリ】が存在し、〈ハービンジャー〉の産駒が日本で活躍しています。また、日本では見かけませんが【リダウツチョイス】が豪州で猛威を振るっています。
この2派閥の他にアメリカで活躍している【ウォーフロント】も勢力を伸ばしています。日本にも〈デクラレーションオブウォー〉や〈アメリカンペイトリオット〉など主要な馬が輸入されています。
これらの派閥以外はまとめて【ダンジグ】としています。
まとめ
今回は『ノーザンダンサー』系の中でも欧州を席巻している2派閥を紹介しました。《サドラーズウェルズ》は欧州で20年以上トップを走っていますが血が広がりすぎて、インブリードが多くなっているのも事実です。今後も後継が活躍するのか、それとも活躍に陰りが見えるか非常に興味があります。《ダンジグ》はサドラーに比べると分布が広いので、まだ広がる余地があると思います。日本でも広がっていくのか注目したいですね。
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