「水中ドローン未来予想図2023」を聴いてきた
水中ドローンとは、人が手で持って運べる程度の大きさのROV(Remotely Operated Vehicle)のことを呼ぶ名前だが、決められた定義があるわけではない。無人水中探査機、水中ロボット等ともいう。CEATEC 2023で、水中ドローンについてのセッション(パネルディスカッション)があるというので、聴きに行った。
水中ドローンとは聞き慣れない名前だが
以前から、深海に興味がある人間にとっては、水中ドローンというより、ROVあるいは無人水中探査機、水中ロボットといった方がしっくりくる。カメラを搭載し、マニピュレータで作業ができ、姿勢制御等ある程度自律的に動けるもの。
ただ、操作や画像送信はケーブルを使ってするので、空中ドローンとはちょっと毛色が違う感じもする。「ドローン」という言葉からイメージされるのは、むしろAUV(Autonomous Underwater Vehicle)の方じゃないのって気もしないでもない。
とはいえ、現在現場で活躍しているのはROVであり、空中ドローンが誰でも知っている一般的なものになってきたので、イメージしてもらいやすいように「水中ドローン」と呼ぶのだろう。特に定義があるわけではないそうなので。
水中ドローンは既にかなり実用化されている
セッションを聞いたシンプルな感想としては、水中ドローンってもう随分いろいろな用途に使われているのだな、という感じ。しかも、魚の養殖とか、港湾施設の点検とか、職業として使っている人がそこここにいそうだけれど、見かけないな。
水中ドローンが活躍している所ってテレビでしか見ず、それも「深海で新種の生物の珍しい生態が撮影された」とか「海難事故現場の海底の捜査に水中探査機が出動した」とか、何らかの特別なニュースだったりするので、自分に関係ありそうなのは、レジャー用途だけだろうなあ、というイメージが強い。
海の中の魚の様子を観察するにしても、餌への食いつき具合を観察して釣りの参考にするのに使えそう、なんてレジャーに使うことばかり考えていたが、養殖では魚一匹一匹の状態をチェックすることもできるという。
水中ドローンの活躍の場は増えているって?
インフラ設備点検への活用も興味深い。プラントや発電所では既に実用化されているとは知らなかった。そういう自社内でやってて外の人は知らないが、最先端を行っているなんてことはたくさんあるんだろうなぁ。
今後、というか今既に、高度経済成長期のインフラの老朽化が進んでいて、それらの点検にも、水中ドローンが便利というなら、これからどんどん需要がでてきそう。需要があるなら、自分も採用して欲しい(笑)。でもきっと、ゲームで一人称視点でのコントローラの操作に慣れている人の方が、適性ありそう。
水中ドローンにもライセンスがある
そもそも、そういうフィジカルな面で自信がないので、自分の仕事にはしないとは思うが、仕事として取り組みたい人には、水中ドローン安全潜航操縦士認定講習というものがあるそうだ。これは民間の資格だけれども、自己流でやるとヌケができがちだから、水中ドローン周りのあらゆる(法令含む)ことを包括的に学ぶには便利そう。
今年のCEATECはわかりやすかった
CEATECは、数年先が見られるみたいな面白さがあるから、なるべく見に行くようにしている。今年は、すごく身近の便利になる技術で、実証実験が既に行われているあれやこれやが多く、わかりやすかった。
過去にはもちろん、マスメディアで大々的に取りあげられながらも、実用化されなかったものもあるけれども、今日見たものは、どれもすぐに実現して欲しいものだった。