改憲論者のお花畑脳

「お花畑脳」は護憲論者・平和外交推進派によく付けられる不名誉な称号です。しかし、この記事でも述べた通り、「平和外交」とは「みんな仲良し手をつなごう」のようなキラキラした感情論でも理想論でもなく、論理的かつ戦略的な外交手段なのです。
むしろ昨今の護憲論者・平和外交推進派からは改憲論者の方がお花畑だという主張も出てきております。軍備増強・抑止力を唱えている好戦派の彼らがどの点がお花畑なのか、この記事はそのことについてお話をしていきます。

そもそも中国を抑止できると思っている点

抑止論は非常に単純明快で論理的な考え方ではあります。セコムや番犬が実際に防犯に役立っている事実もあるので、相手を威嚇することによって戦争を回避するという考え方も一理あります。しかしそれはあくまで机上論であり、ウクライナのように相手を不要に挑発するだけで、逆に戦争を引き起こすことは、近現代史が数えきれないくらい証明しています。この話はこちらの記事で話すとして、この記事ではあえて抑止論者の主張を理解した上でお話をします。

そもそも集団的自衛権や敵基地攻撃能力ごどきで本当に中国を抑止できると思っていることが非常に甘いのです。抑止論者は集団的自衛権や敵基地攻撃能力を「主権国家として当然持つべき権利」と言っておりますが、それなら「主権国家として当然持つべき権利」を持った程度で世界第二位の軍事大国の威嚇になると思っているのであれば、とんだ論理矛盾です。「当然の権利」であれば、それを持ったところで威嚇にも何もなりません。ましてや相手が世界第二位の軍事大国ならなおのことです。

言葉尻を取った揚げ足取りのような話になりましたが、実際に経済的側面からも、そもそも中国を抑止できるだけの軍事力を日本が保有できるとは思えません。現在、防衛費の増額について議論がなされていますが、たかだか防衛費を他の西側諸国と同水準に合わせるだけでも非常に難儀をしている現状で、本当に中国の侵略を止められると思っている時点でお花畑です。本気で中国を抑止するつもりなら、他国と同水準など、そのような話ではありません。中国以上の軍備と核保有をしなければ、全く抑止にならないことは誰にでも分かることです。当然日本にはそこまでできる経済力はありません。

そもそも「中国が侵略をしてくる」というのが議論の前提になってしまっているところに突っ込みを入れるべきです。そして、あえてその立場で話をしても、「中国の侵略」が決定事項になっている時点で、軍事的劣勢であることを無意識に認めているのです。最悪の事態を想定することが国防論の前提ではあるのですが、もはや「中国の侵略」がIFではなくBECAUSEになっているので抑止ではありません。

「仮に中国が攻めてきても」が「想定」であり、「中国が攻めてくるから」は「想定」ではなく「現状認識」です。つまり自ら中国を抑止できないことを認めているということです。そして「中国の侵略」が避けられない運命のように語る一方で、それを「抑止できる」と思っているのです。

このような滅茶苦茶な理論を述べられては、良識者から「結局中国と戦争をする口実を作りたいだけだろ」と思われても仕方ありません。事実、改憲派の中には抑止論ではなく主戦論を述べている人達もいるという現状、護憲論者が改憲論者の主張を理解することは限りなく不可能に近いでしょう。

アメリカが助けてくれると思っていること

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