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マリスコスと女性シェフたち

スペイン関係の連載で「マリスコス」の原稿を書いていて、自分の書きたいこととちょっと違う!と感じてしまったので、こちらにその脱線したい部分を書きます。

マリスコスとは、シーフードのこと。スペイン北部名産の美味しいエビカニ・貝類の話を書くことを期待されていて、それももちろんいやではないのだけれど。
マリスコスという言葉から私の中では、今まで関わった何人もの女性シェフたちのことが浮かんできて、こちらの方が書きたかったというわけ。
しかも、字数制限なしで!
今書いている方は2000字以内という条件で、いつも短くするのに苦労しているので・・・。

スペインの食と関わって数十年経つけれど、この国で「御馳走」という言葉から何を思い浮かべるか聞かれたら、最初に思い浮かぶのは「マリスコス」。辞書なら、エビ・カニ・貝類などの海産物,脊柱のない魚介類ということになるけれど、シーフードと訳しておけばいいでしょう。
そしてマリスコスの代表的な産地といえば、ガリシア。大西洋とビスケー湾の潮流が交差するガリシアの海は、スペインのどこよりも豊富なマリスコスの産地であり、スペイン人がマリスコスを食べるために訪れる土地でもあるのです。

今から40年近く前に「女性シェフたちに取材して、彼女たちの思いを書きたい」と思い立ったのは一体何がきっかけだったのか、白状するとあまりはっきり覚えていません。
まだスペイン料理研究も始めてから数年。コネもない。まだまだ友達も少ない。そんな私が独力で、自分で調べ、自分でアポイントをとり、自分のカメラだけを武器に、スペイン各地の女性シェフたちを訪問し始めたのです。
もしかして今だったら、そういう企画を載せてくれる雑誌とかも見つかったかもしれませんね。でも当時の私は「スペインの女性シェフたち」という本を書くことだけが目標でした。

そしてこれは、なかなか難しい課題でした。なぜなら、今のようにガストロノミーの世界で「今年の世界女性シェフトップ10人」などという表彰があったり、料理コンクールに女性シェフがノミネートして上位になることも珍しくない時代ではなく、当時のスペイン料理の世界では、女性たちはまだまだ「男性を支える」「縁の下の力持ち」みたいな存在だったからです。

数少ない資料の中から・・・ちなみに、ネットでポチッとする資料探してはありません、本屋さんで探したり、図書館で探したりする作業です!・・・見つけたシェフたちに一人ずつ電話で連絡を取り、取材を申し込み。いよいよ取材を始める時に最初の行先に選んだのがガリシアでした。
そこに少なくとも二人の、会ってみたい女性がいたからです。

というわけで、シェフに会ってからの話は次回に。
美味しい料理の話も、次回に!


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