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「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」
📅2025年2月4日火曜日、14:00ごろ
東京でいくらか時間ができたのでビジュアルをみてとても惹かれていた東京都庭園美術館「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」へ行きました。
私はこの美術館のこともお二人のことも存じ上げていませんでしたが、まず建築物として非常に満足度が高い朝香宮邸という空間で、質感の異なるお二人の作品が佇む様子がとても素敵でした。青木野枝さんは鉄を用いる彫刻家。三嶋りつ惠さんはガラス作家。お2人の作品は違うようで"光"をそれぞれ捉え目に見える形にしている。ガラスに差し込む光。鉄の輪の中心の空に見える光。
平日に関わらず館内は程よく人がいらして、根強い人気を感じます。
東京都庭園美術館とは
東京都庭園美術館の本館は、1933(昭和8)年に皇族朝香宮家の自邸として建てられました。1983(昭和58)年に美術館として開館し、さまざまなジャンルの展覧会を中心に活動しています。2021年(令和3)年4月には、「東京都庭園美術館条例」が施行され、都立文化施設として新たなスタートを切りました。
本館は、主要な部屋の内装にアンリ・ラパンやルネ・ラリックら、フランスのアール・デコ様式における著名なデザイナーが起用されており、宮廷建築を担っていた宮内省内匠寮が手がけた邸宅の中でも特色のある建築として、2015(平成27)年には国の重要文化財に指定されています。 庭園も宮邸時代の面影を残しており、芝生で覆われた開放感のある前庭と、築山と池を備え起伏に富んだ日本庭園は、桜や紅葉など四季折々の変化を楽しめます。
今後も建物の特性を活かしながら、装飾芸術の観点から美術作品を紹介する、特色のある展覧会を開催するとともに、庭園の活用やさまざまな教育普及事業に取り組み、文化的な都市空間の形成と、あらゆる鑑賞者に開かれた美術館の実現に努めてまいります。
私は何の前情報も持たずふらっと行きましたが、今度はきちんと予定を立て、ある程度落ち着いた洋服を着て行きたいと思うような、ゆったりとした時間が流れています。
建物内も広く部屋によって雰囲気が異なるので飽きないし、庭園も広々としているので次回は半日はみておこう。
アールデコ様式、軽く調べてみたけどあまり分からないなぁ。
展示物に引けを取らない、なんなら旨みを引き出すこの建築は、どこにどの作品を置くかからどんな展示会をするか招聘するかまで、かなり慎重な選択が必要だろうと感じます。ところどころ光が差し込むスポットに(カーテンを上げて光を入れるぞ!と意図されているようにも見えた)しかるべき作品がいて、青木さん、三嶋さんは何度もこの場所を訪れ作品をつくり、ご自身の手で作品を配置されたそうです。特に三嶋りつ惠さんのガラスの作品が光をとりこみ反射する姿はタイトルにある「そこに光が降りてくる」をそのまま体現しているようでした。光が「差す」でも「差し込む」でもなく「降りてくる」という、なんて柔らかく優しい言葉。訪れた時にはあまり感じなかったけれど、青木さんの作品「ふりそそぐもの/朝香宮邸ーI」 (I ~V)を見て、青木さんは特定の形として見ることがない光の受容体を描くことをしているのだと思いました。重く、色も暗い鉄にふりそそぐ光は何より繊細で透き通っていました。
📷以下、作品の写真があります
暗い部屋に置かれた三嶋りつ惠「MEDUSA」2024
コントラストが美しくため息をついてしまった。
白い光が似合う。
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青木さんの作品、帰宅してからじわじわきた。ふりそそぐものを受け止めるにはあまりにも隙間がありすぎではないか?と思ったけど、多分、光は小さく漏れる限りではない。
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この写真は作品ではないのだけど、最後に庭園に三嶋さんの作品が隠されていて、私1人では見つけられなくて後にしようとしたら後から歩いてきた人が見つけていて便乗した。野外との相性も抜群、窓を介さない光を自分のものにしているよう。大きなネタバレになるので写真は載せない。
青木さんと三嶋さんはもとから仲良しなんだろうか。企画側が引き合わせたのだろうか、どっち?
対話会も面白そうだなぁ。
「そこに光が降りてくる青木野枝/三嶋りつ惠」の会期は2/16までともう残り1週間程度。迷っている方はぜひ、ぜひ訪れてほしいです。
それから、お二人の作品をまた違った場所で見たい。きっとみた日、時間によってまた違う感情に触れることができるし、だから私は表象物が好きなんだなぁ。