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山田君 不動産で世を渡る(プロになる)※平成バブル 曙橋 確定測量が不調になるVOL1


立ち退き交渉が順調に進行している中、土地家屋調査士から電話があった。近隣の住民が境界立会をするにあたって言いたいことがある。買主が立ち会って今後の計画を聞きたい。とのことだった。

俺は部下と一緒に立会の時間に合わせて現地に向かった。なんとか無難に済ませようと、理論武装して菓子折りを買った。正直不調になるなんてことは想像もしていなかった。

俺と部下と調査士は近隣の住宅に向かい呼び鈴を押した。すると初老に近い女性が現れた。気難しい表情をしている。そして話し合いが始まった。

女性の言い分は今後何が建設されるのか。近隣の住民はこのマンションにあるスロープ状の階段を下りて駅まで通行している。このスロープを残さない限り立会に応じることはできないという。

転売目的だったため具体的なプランは持ち合わせていない。仮に参考プランを見せても後で違った状況になった場合、嘘つき扱いされる。敷地内の通行権など転売に不利益なため約束することはできない。

相手の女性は最初から喧嘩腰で一歩も引かない構えである。

すると女性の会話を聞いていた部下が、女性の言葉をさえぎってお互いに立会しないとあなたの土地の価値がさがりますよ。境界確定と通行は別の問題じゃないですか。と言った。女性は逆上している。

このままではこじれるばかり。ここはいったん引き上げよう。女性は菓子折りを受け取らなかった。

困ったことになった。


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