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福村さんという人物

不動産の縁で福村さんと出会う

昔、東京の八重洲に東理ホールディングスという会社があった。俺は当時、新宿の会社で商業地のビルや土地を追い求めていた。信濃町の社長から弁護士の河合先生の縁もあって、エス・サイエンスの品田社長を紹介された。品田社長は福村さんが買った銀座の静岡新聞の隣の伊勢半ビルを買うようにと俺に物件の概要書を渡された。当時銀座の不動産は伏魔殿で手を出さないように言われていた。
いろいろ調べていくうちに地下の飲食店は反社会の方が裏で経営していることが分かった。そしてのちに宅建協会の東京不動産のれん会の偉い人が立退きに協力し、ものすごい立ち退き料を支払い立退きを完了させた。しかしこの時の所有権はヒューネットに移転されていた。
その後ヒューネットは丸源ビルで有名な川本源四郎さんに伊勢半ビルを売って丸源ビルになった。
おそらく50億円で買って、立退きなどいろいろ経費がかかって簿価は55億円と推察されたが、最終的に丸源さんには35億円前後にて売却されたと思われる。その辺の所有権の移転や会計処理はよくわからないが損切したのは間違いない。(当時の記憶である)

川本さん

当時の取引に立ち会ったヒューネットの担当者は元は私の部下であった。川本さんは非常に警戒心が強くて、なんと契約、残金決済、引渡しを登記所で行ったということである。
背広は銀座の一流品で3桁万円の品を昭和30年代から着ているそうで、生涯独身であると噂されていた。成功者に対するやっかみもあると思うが、他人を一切信じない、よって独身であるということか。川本さんは買った伊勢半ビルのすべてのフロアを美術品の収納に使用した。日本で銀座のビルの全フロア美術品の収納スペースにする人はそうそういない。俺のような庶民の真ん中辺の人間には想像もできない。



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