招かざる訪問者との物語②
【近隣大学病院にて】No2
精密検査を受けるため、いつもより早起きして、朝食を摂らず紹介状を持って近隣の大学病院に向かった。自宅近くのバス停からいつもの出勤とは反対方向に向かうバスに乗って10分程で大学病院に着いた。
初診受付を済ませて紹介状とCDを提出した。
大学病院では、総合受付も消化器内科外来受付も手際良い対応でさほど待たずに診察を受けることが出来た。
初診外来担当ドクターはM先生、30代の若手医師だった。彼女は、紹介状中身を素早く目を通し、所見を通じて簡単な質問を2、3行なった。結果、膵臓の詳しい検査が必要であり次回MRIを、予約することになった。
予約状況は来月末迄いっぱいで、結局、検査は1か月先になった。さらに1週間後に膵臓専門医の診察予約でかなり待つことに懸念を感じた。
私は、「膵臓癌の懸念もあるのでもっと早く診てもらえないですか?」と伺った。M先生は、パソコン画面でMRI予約状況を改めて確認しながら、「1番早くてもやはり先程お伝えした日時ですね。」と淡々と回答した。
私自身は、早期発見、早期治療を願う思いが強いのだが。「検査予約が一杯なら仕方ないか…。」心の中でため息をついた。不安がよぎったがジタバタしても致し方ない。ためらいながらも検査予約を済ませた。
相変わらず腰痛はあり、腹部の重苦しさも続いている。モヤモヤと不安を抱えながら帰宅した。
妻に病院での結果を伝え、1ヶ月後の精密検査までかなり待たされるが、他の医療機関を新たに探して検査しても、更に時間ばかりかかるだろうと伝えた。
もしかして長い闘病生活を懸念すると自宅近くの大学病院で治療することがベストだと妻に私の考えを述べた。妻に話しながら、実は自分自身に言い聞かせ納得しようとしている私がいた。妻も不安そうに私の話を聞いていたが、「他の病院で直ぐに検査出来ないの?」と呟いた。膵臓の病気。専門医が居て他職種連携での治療が出来る総合医療機関。通院を考えるとなるべく近いことに越したことはない。早期発見、早期治療。クオリティ高い治療アプローチ。利便性など。選択肢をあれこれ想い浮かべてみた。
何が自分にとってベストな選択肢なのか?
凄く悩ましい問題だが、私の運命に従い、在るがままを受け入れるしかないと思う。
夕方、妻と愛犬と近くの森林公園まで散歩に出かけた。雲ひとつ無い青空と新緑の色が鮮やかで何と美しいことか。愛する家族に囲まれて生きることはとても幸せなこと。
神様、家族みんなが病気災難の無いように導いてください。
つづく