弟には、負けない〜#毎週ショートショートnote〜
俺と弟は生まれた時から似ていた。
顔もスタイルも肌の色も。
周りからは俺たちが「鏡」のようだと言われていた。
俺はそれが我慢ならなかった。
俺の方が先に生まれたのだ。
どうして弟と「鏡」なのだ。
それは俺の方が劣っているということではないのか。
そう、弟にけしかけた。
だが、弟は涼しい顔をして、こう言った。
「兄さんに勝てるわけないじゃん。」
その言葉にますます腹が立つ。
何でだ。
やはり俺の方が劣っているということなのか。
悔しい。
弟には負けない。
くそっ!
と、思った途端、目の前が真っ暗になった。
ハンバーグの付け合わせを何気なく口にすると、舌に激痛が走った。
「み...み....みず...ちょうだい!」
「あ〜....ししとう、辛いのあたっちゃったね、はい。」
私は友達に手渡された水を急いでガブガブと飲んだ。
「はあ...助かった…。隣のししとうは普通だったのに…時々激辛あるよね。」
「聞いた話だと...ししとう自体のストレスらしいよ。」
「へえ...こんな激辛、よっぽど辛いことがあったんだろうね。」
(了)
田原にかさんの「 #毎週ショートショートnote 」に参加しています。
今回の裏お題は「激辛の鏡」でした。ちょっと苦しかったかな?
(追記)やっぱりもっとピッタリなオチがあったので変更しました。
「よっぽど嫌なことがあったんだろうね」→「よっぽど辛いことがあったんだろうね」
ししとうがストレスで激辛になるっていうのは本当らしいです。
まあ、弟への劣等感でストレスが溜まっている、ししとうはいないでしょうが…。
アイキャッチにお昼前にししとう付け合わせのハンバーグ画像探してたらお腹空いてしまった…。意外と付け合わせししとうってないんですね。
そこで、一番美味しそうなハンバーグをどアップにしました。
それをお昼時にあげる私は、飯テロリストです。