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書庫の冷凍技術(#毎週ショートショートnote)

死語を口にした者は、文字通り死んだ。

言葉には賞味期限があると言われるが、それどころではない。腐敗して、致死量の毒を発するのだ。

人々は常に新鮮な言葉を追い求めた。
今だったら…例えば「メロい」とかがあるな。意味はよくわからないが、とにかく新鮮で、口当たりがなめらかだ。

「エモい」はどうだろう、そろそろ時期が近いんじゃないか?

逆に、古くても腐らない、むしろ発酵する言葉なんかもある。約1000年前の言葉だが、「をかし」なんかは今使っても害はない。発酵してるのか、腐敗してるのか、よく見極めなくてはならなかった。

まあ、これも……昔の話だ。
「書庫冷凍」の技術が発明されるまでのな。

何かって….決まってるだろう。言葉の冷凍技術だよ。
書庫ごと冷凍するから、古い言葉でも人体への害なく使える。

まったく、便利な時代になったもんだ。


これで人々も、例えば、あげぽよ….



うっ…….!

だか…ら….あれほど…れいとう…しておけ…….と…….

(了)410字


田原かに(たはらにか)さんの「 #毎週ショートショート 」に参加しています。今回のお題は「 #書庫冷凍 」でした。

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