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福祉職は魔法使いではない~世知辛い世の中~

 仕事中の緊急地震速報にびっくり。私、施設でも防災を担当しているもので、こういう地震が起こるとつい情報収集してしまうんですよね。周囲もそれを咎めず、受け入れてくれるので助かってます。こういったデータ収集も、いざ自分らが地震に遭遇した時も意外と役に立ったりします。
 言い訳じゃないよ。言い訳じゃないと思う。言い訳じゃないと思いたい。

 さて、今回のタイトルにもありますが、最近世知辛い世の中だなと感じることが多いのですよ。
 最重度、重度と呼ばれる知的障害をお持ちの方の行き場が本当に見つからない。見つからないというか、見つからずにうちの施設にたどり着いた方のエピソードを聞いて、?と感じることが多い。聞いてると、世知辛いなぁと感じることが多いのよこれが。

 基本、障害の程度が軽めの知的障害者は、自宅やグループホームで生活をしながら就労系や、工賃をもらえる生活介護に通い、自宅でみつつ障害の重い方は生活介護や定期的な短期入所をしながら、対応可能なグループホームや施設入所先を探し、自宅の生活が厳しくなった方は、短期入所を長期で利用しながら施設入所を待つ、運よく空きがあればそのまま施設入所…となる。
 自宅での対応が難しいってのは、子供の頃はパニックになっても大人の力でなんとかなったが、中高で一気に成長。逆に返り討ちにあったり、生活が送れなくなったりした人や、とにかく声を出す人、家からいなくなる人、見切れなくなる理由は、星の数ほどあるわけだけど、その自宅での対応がなかなか厳しくなってきた方への福祉の目が、なんとなく冷たい。

 生活介護事業所で、大声出せば、親に迎えに来させる。施設入所の体験で、声を出す、ドアを勢いよく閉める、壁を叩くといった行為があれば即体験も終了。見学時に車から降りなければそれだけで門前払い。

 まぁ、それぞれにそれっぽい理由はあると思う。最近虐待関係厳しいから、大声出されると、職員が手を出していると勘違いされて通報される危険があるし、苦情も入るかもしれない。(でも、やってないなら大声を出す利用者が居ること、普段どんな支援をしているかを徹底的に説明したらいい。虐待があるどころか、しっかりと支援してれば、役所からの評価も上がって、信頼されることになると思うんだけど)反対運動とかあるしね。

 でも、施設入所でその程度で体験終了ってのは納得いかないな。施設入所は区分4以上で、自宅での生活が困難になった人を受け入れる為の制度だから、その受け入れる人の中には声を出す人、壁叩く人も居ると思うのよ。てか、そんな行ないのいい人を集めるなら、別に入所しなくても、他の機関でなんとかなるだろ、と思っちゃう。施設入所はある意味最後の砦だからなぁ。

 まぁ、たまたまうるさい環境がダメな人が大集合した施設に、うるさい人が入るのはナンセンスだと思う。安定してる他の利用者が不安定になって、収拾がつかなくなるから。だけど、それならそれで、事前の聞き取りの段階でそこら辺を事前に説明して、それでも見に来ますか?とか聞けばいい。大声出すことを事前に把握していて、静かな施設にわざわざ来させて、門前払いされる保護者や本人の気持ちを考えたことあるのかね。事前の情報収集と、聞き取りが足りていないし、配慮もないと思う。

 ちなみに、うちの施設は大声出す人が多くて、その声にほかの人も慣れているので、それが利用の関門にはならない。ぎゃくに、施設が狭く、個別のスペースを取りにくいから、うるさいのが苦手な人には地獄な環境。そこは事前に伝えて、それでも見に来ますかってのは念を押している。
 個別の対応はある程度可能だけど、個別の環境を整えることは難しいからな、うちは。

 見学時に車から降りないような人は、こだわりが強いし、いつもやられたら迷惑、なんて思う支援者も多いけど、大体の人間は初めての場所、しかも施設なんて得体のしれない場所に連れてこられたら緊張もするし、不安も感じる。自閉の方なんか、それは健常と呼ばれる人よりもたくさんの怖さやプレッシャーを感じるに決まってる。その姿を見て責めるんじゃなくて、その気持ちを受け止めつつ、気が変わって車から降りてくれる、施設の入り口まで来てくれる、入り口までは来れた、あいさつはできた、そのワンステップを導く、一ミリでもここに居てもいいかなと思ってもらえるような寄り添い方を考えてもいいんじゃないかとおもうんだよね。
 一発目でめんどくささを出しちゃだめでしょ。
 
 もちろん、長期的に活動に乗れない、落ち着かない状況が続くんであれば次を探したほうがいいとも思う。それだけ、重度の方が安定して生活できる、活動できる場所を見つけるのは厳しいことだし、誰でも受け入れができるわけでもないし、次に導くケースも存在はする。
 なんとなく居れる、慣れる、コンスタントに通うってのは、普通に考えるよりずっと難しいことだと思う。
 それでも、門前払いはあかん。福祉をやる人間として。
※といいつつ、相談支援関連では私の手が回らないので、基本的に断ってしまって居ます。それに、トラブルのにおいがして、心がこの人はやめとけ!と感じた場合。その原因に合わせた断り方をします。本人に直接言葉を継げるこもあれば、そういう流れに誘導することもあります。綺麗ごとではやっていけない。それが福祉の難しさではあるのです。施設利用に関しても、空きがあれば受け入れるんであって、ああ、この人なら対応できるだろうなと感じても、定員超過は減算なっちまうのでできねっす。さらに、現場でこの人無理!となったらそこまでで。

 しかし、声も出せない施設入所かぁ。。。
 入ってる人は幸せなのかな、その場所。
 嫌な時には声出しても、怒っても、ある程度までは許される環境。
 それって、生きてる限り必要なものだと思うけどね。

 あー、世知辛い。

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