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#短編小説
【短編小説】水色の平凡な日常
お昼休み、トイレから戻ると僕の席に岡田さんが座っていた。足を組み手を叩いて笑う姿はまるでここの席は私の席だといわんばかりの堂々とした態度だ。どけ。そこは僕の席だ。話すなら立って話せ。と心の中で呟いて僕はトイレへと逃げる。
今日でもう五日目だ。最初は偶然だろうと思っていたけれど、どうやら偶然ではないらしい。岡田さんは僕が何も言ってこないことを知ったうえでわざと僕の席に座っている。三日目に近づいて
短編小説 | バースデーバルーン | 創作大賞2024
妹の頭が徐々に大きくなっていく。病気じゃない。
わかっているんだ。家族の誰もが。だけど何も言えやしない。
傷ついても、恥ずかしくても、怒っても、どうしたって、妹の頭は大きくなって、その成長を止めることは出来ない。
(一)
妹は僕の八つ下で、ぼくにとっては目に入れても痛くない存在だった。だけど、そんな例えですら口にするのも憚られるくらい、妹の頭は大きくなっていた。
その始まりはた
短編小説 | Message~私はあなたを許す~
どこかの、やさしい、だれかは
わかっているよ。
あなたが、こどもをあいせなくて
くるしんだこと。
そのことを、だれにも、うちあけられずに
くるしんだこと。
こどもから、にげるように
トイレにこもったこと。
SNSにいぞんして、げんじつから
にげていたこと。
ゆうがた、なきさけぶ、こどものこえに
みみをふさいで、ないたこと。
こどもの、ねがおに
なきながらあやまった、ひび。
どこかの、だれ