香港紙記者失踪、中国軍粛清と関係か
共同通信が11月30日に「香港の安保担当記者が消息不明 中国・北京に出張後」という記事を配信した。
行方不明になったとされる陳敏莉(ミニー・チャン)氏は中国軍の動向に関心を持っている者なら誰でも知っている有名人だ。私は彼女の記事を欠かさず読んでいた。
彼女の記事は、米議会の米中経済安全保障再評価委員会や有力シンクタンクのレポートでも多数引用されている。とにかく特ダネが多い。ただし、大きく間違えることも多いので、評価が高いわけではないが、あの独自情報の多さには驚くばかりだった。
おそらく軍の相当上に複数の情報源があったのだろう。ただ、あの間違い方は、軍の主流派から情報を取っているわけでもないのだろうと推測していた。
彼女の記事で問題となったのは、ロケット軍高官の不正疑惑に関するものだろう。私の記憶では、ロケット軍高官が不正容疑で調査を受けていると報じたのはこれが最初ではなかったか。また、司令官と政治委員の同時交代を周永康・元党中央政法委員会書記の失脚と関連付けて報じたことも、ロケット軍の人事だけにとどまらず、最高指導部に属していた人物が今後失脚する可能性を示唆しており、この記事は習近平指導部としては看過できないものだったのだろう。
そういう記者が香港に留まっているならまだしも、この時期にのこのこ北京に行けば、拘束されるのも仕方がない。でも、「自分は大丈夫」という過信があったのだろうか。あるいは「あなたは特別だ」と耳打ちされていたのだろうか。
最近の流れから考えると、中国軍の粛清に関連して、「反習近平派」の洗い出しをしていることと関係しているのではないか。陳記者の情報源である軍高官の容疑を固めるため、彼女が調査を受けているということはあり得ると思う。
ご本人のFacebookを見ると11月11日にお子さんと見られる写真がアップロードされていて、心が痛む。
どうか無事で、再び家族のもとに戻られますように。
心から祈ります。