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習近平にとって、日本は「フィジー以下」

 先に米サンフランシスコで行われた日中首脳会談について、日本メディアで「中国経済が非常に悪いので、日本から投資を呼び込みたい中国側が前のめりだった」みたいな見方が伝えられています。

 いったいどういう料簡でそんな自国にとって都合の良い報道ができるのだろうかと不思議で仕方がありません。
 今の中国共産党の見方では、米国だけが対等の交渉相手であって、日本は自分たちよりも格下だと考えています。米国と話を付けておけば、その子分の日本は言いなりになるという発想です。

 その証拠が18日付の中国共産党機関紙・人民日報。1面はサンフランシスコで習近平国家主席が会談した3カ国の元首の写真と記事が掲載されています。そして、2面に岸田文雄首相との会談内容が出ています。
 元首と首相で差を付けたという解釈もできますが、首相であっても1面に掲載されることがあり、どの面に首脳会談の記事を載せるかは、中国共産党宣伝部あるいは場合によっては習氏本人の判断によるでしょう。

18日付人民日報1面

 しかも、今回注目すべきなのは、岸田首相との会談の記事の左隣がフィジー首相との会談であるということ。
 人民日報は横書きで左から右に書きます。つまり、左の方が上手です。どちらの方が重要かというと、当然左。この場合であれば、日本の首相よりもフィジー首相の方を重視しているということになります。

18日付人民日報2面

 電子版での記事の並びも下を参照すれば分かるように、フィジーの記事の方が日本よりも上にあります。

 東京電力福島第1原発の処理水を「核汚染水」と呼んでいることなどを見ても明らかですが、習氏が日本の投資や技術に期待しているなどという幻想を抱くことはやめた方が良いでしょう。彼が真剣に日本を重視しているなら、日本の駐在員を無闇に拘束することもないし、「返せ」と求められれば応じるでしょう。
 しかし、そういった懸案にゼロ回答なのですから、習氏は日本を「フィジー以下」と考えているという事実を冷静に受け止めなければいけません。
 「中国は困っている」などと甘い考えで、変な手助けをしては国益を損ねます。

 人民日報に載っている写真を見てください。やや笑み程度の習氏に対して、岸田首相ははっきりとにこやかな表情をしています。
 この写真を見れば、「会談をして喜んでいるのは岸田首相」に見えます。中国側はそういう印象操作をしているのです。
 彼らが本当に「困った」「助けてくれ」と言うまで(多分そんな事態は当面起きそうにありませんが)、友好ムードは禁物です。いまそんなことをすれば、またなめられるだけです。

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