アナトミートレインのスパイラルラインについて
本日の投稿はアナトミートレインについて。
アナトミートレインとはざっと言うと1つ1つ筋肉を単体で見るのではなく、筋膜という繋がりで捉え、評価していく。
その筋膜の繋がりを電車の路線に例えたものです。(基本的には筋、筋膜が線路、駅が骨、筋付着部に例えられてます。)
アナトミートレインは全部で7つの路線があります。本日はその中でも特に複雑なスパイラルラインをまとめました。
スパイラルラインは複雑なので覚えにくいですが、他の多くのラインと関わりが深いのであえてこれからやります。
①スパイラルラインの流れ
スパイラルラインは体の左右を回るように繋がります。
今回は右のスパイラルラインとして書いていくので、左の場合は全て左右が逆転すると思ってください。
※筋肉、筋膜を太字にしています。
(右)後頭骨、乳様突起、軸椎横突起
(右)頭、頸板状筋
下部頸椎棘突起、上部頸椎棘突起
※(左)菱形筋
(左)肩甲骨内側面
(左)前鋸筋
(左)肋骨
(左)外腹斜筋
白線
※(右)内腹斜筋(以下右側)
腸骨稜、ASIS
大腿筋膜張筋、腸脛靭帯
脛骨外側顆
前脛骨筋
第1中足骨底
長腓骨筋
腓骨頭
大腿二頭筋長頭
坐骨結節
仙結節靭帯
仙骨
※胸腰筋膜、脊柱起立筋(同側、反対側どちらかに繋がる)
後頭骨
とても長いです。そして右へ左へ変わるので最初のうちはごちゃごちゃになりますが、慣れるまでひたすら暗記です。
あと大かたは筋の起始停止に準じた流れなので解剖学が得意ない人は何となくのイメージはつきやすいかと思います。
スパイラルラインの作用
両側のスパイラルラインで体を取り巻きバランス維持を助ける。
足底のアーチに関わるので歩行や膝関節にも影響する。
スパイラルラインの不均衡や機能異常は体の「捻じれ」「回旋」「側方偏移」を引き起こす。と言われてます。
あと冒頭でも書いた通り、他のラインとも密接に関わります。
例)大腿二頭筋、脊柱起立筋→バックライン
腓骨筋、大腿筋膜張筋 →ラテラルライン
前脛骨筋、大腿筋膜張筋→フロントライン
など。
③スパイラルラインのポイント
ⅰ)足部のアーチ
前脛骨筋と長腓骨筋は第1中足骨を軸に連結しており相互にバランスを取ることで足部のアーチを適切に保っている。この2筋のバランスの不均衡がアーチの崩れを引き起こす。
前脛骨筋の短縮は足部の内反を引き起こし、内側縦アーチを引き上げ荷重は外側に移動する。
長腓骨筋の短縮は足部の外反を引き起こし、内側縦アーチが落ち込む。
足部アーチの偏移から膝関節や骨盤帯にも影響してくる。
ⅱ)第4ハムストリングス
アナトミートレインにおいて第4ハムストリングスという考え方があります。これは通常の半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋長頭以外に、
大腿二頭筋短頭と大内転筋が連結してハムストリングスとして機能するとされています。
この第4ハムストリングスは変形性膝関節症にとても深く関わっていると思います。
第4ハムストリングスの構成筋である「大内転筋」は立位において骨盤後傾、股関節外旋の作用があり、スウェイバック姿勢やフラットバック姿勢を助長し、「大腿二頭筋短頭」は膝関節の外旋を助長するとされています。
ⅲ)頭部前方位姿勢
頭部前方位姿勢を分解すると胸椎の後湾、肩甲骨の外転、腹筋群の過緊張などが主な要因として挙げられます。
それらを引き起こす筋、前鋸筋、菱形筋、腹斜筋はSPL下肢へと繋がります。SPLを用いてアプローチをするなら、腹斜筋、前鋸筋の緊張を筋膜脹筋で取ることもできます。
アナトミートレインが全てという訳ではないですが、これを勉強し始めて今まで局所にばかり目が行っていたのが、全体を捉えることができるようになってきたと感じます。
やはり治療するのに局所ばかりに目を向け過ぎては対応しきれない物も多く出てきてしまうので、改めて俯瞰して見るということが大事ですね。