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転調はなんのため?を数学の観点から見てみよう②
こんにちは。学びの探求者です。
前回は、転調には色々な手法があり、クラシック音楽の場合は計画的に、ポップスの場合は作曲者の感覚に寄り添って使われていることがわかりました。
いよいよ今回はPythonを使って数値的に転調を可視化してみましょう!
ミックスナッツの転調を整理してみよう!
前回の記事でも紹介しましたが、『ミックスナッツ』は曲の中で6回も転調している のが特徴です!
では、具体的にどこで転調が起きているのか、曲の流れを整理してみましょう!
『ミックスナッツ』の転調ポイント
イントロ:嬰ヘ短調(F♯ minor)
Aメロ1:嬰ヘ長調(F♯ major)
Bメロ1:イ長調(A major)
サビ1:嬰ヘ長調(F♯ major)
Aメロ2:嬰ヘ長調(F♯ major)
Bメロ2:イ長調(A major)
サビ2:嬰ヘ長調(F♯ major)
短調(F♯ minor) → 長調(F♯ major) → 別の長調(A major)と、転調を繰り返しているのがポイントです。
考察
イントロは短調(F♯ minor)、でもすぐに長調(F♯ major)へ転調!
AメロとBメロで違う調を行き来している!
サビは再びF♯ majorに戻る!
転調が規則的に行われているように見えます🤔
ここから、「転調のパターンが数学的に整理できるのか?」 をPythonを使って分析していきましょう。
Pythonで「ミックスナッツ」の転調を可視化しよう
「転調している」と言われても、どのくらいの間隔で転調しているのか、感覚的にはつかみにくいですよね?
そこで、Pythonを使って「ミックスナッツ」の転調の流れをグラフで視覚化 してみます!
「転調の流れを可視化することで、規則性があるのか?感覚的に作られたものなのか?」をデータで見てみましょう!
では、Pythonのコードを使って、転調をグラフで見てみます!
Pythonコード
おさらい
12平均律(じゅうにへいきんりつ)は、オクターブを12等分した音律で、半音の間隔を均等に配分したものです。
1オクターブは周波数で2倍になるので、12平均律では、1オクターブを2の12乗根で割った周波数の音を1音階としています。
可視化をするために、各セクションのキー(調)を12平均律の整数値に変換します。
転調がどのタイミングで発生しているかを数値化してグラフ化してみたいと思います。
コード
# 必要なライブラリをインポート
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
import pandas as pd
# 『ミックスナッツ』の転調データ(数値化)
sections = ["Intro", "A-melody 1", "B-melody 1", "Chorus 1", "A-melody 2", "B-melody 2", "Chorus 2"]
keys = ["F# min", "F# maj", "A maj", "F# maj", "F# maj", "A maj", "F# maj"]
# 12平均律のキー(数値化)
key_mapping = {
"C maj": 0, "C# maj": 1, "D maj": 2, "D# maj": 3, "E maj": 4, "F maj": 5, "F# maj": 6, "G maj": 7,
"G# maj": 8, "A maj": 9, "A# maj": 10, "B maj": 11,
"C min": 0, "C# min": 1, "D min": 2, "D# min": 3, "E min": 4, "F min": 5, "F# min": 6, "G min": 7,
"G# min": 8, "A min": 9, "A# min": 10, "B min": 11,
}
# 転調の数値化
key_values = [key_mapping[k] for k in keys]
# 転調の間隔を計算(どのくらい移動しているか)
transitions = [key_values[i+1] - key_values[i] for i in range(len(key_values)-1)]
# 転調の可視化グラフを作成
plt.figure(figsize=(10, 5))
plt.plot(sections, key_values, marker="o", linestyle="-", color="b", markersize=8, label="Key Transition")
# 転調部分のラベルを追加
for i, txt in enumerate(keys):
plt.text(sections[i], key_values[i] + 0.3, txt, fontsize=12, ha='center')
plt.xlabel("Song Sections")
plt.ylabel("Key (Position in 12-TET)")
plt.title("Key Transitions in 'Mixed Nuts'")
plt.ylim(-1, 12)
plt.grid(True)
plt.legend()
plt.show()
# 転調の間隔をデータフレーム化して表示
df_transitions = pd.DataFrame({
"From Section": sections[:-1],
"To Section": sections[1:],
"Key Change (12-TET Position)": transitions
})
# データを表示
print(df_transitions)
実行結果
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このグラフから読み取れるのは
イントロ → Aメロ1 → 転調なし(0)
Aメロ1 → Bメロ1 → 3半音上がる!(F♯メジャー → Aメジャー)
Bメロ1 → サビ1 → 3半音下がる!(Aメジャー → F♯メジャー)
サビ1 → Aメロ2 → 転調なし(0)
Aメロ2 → Bメロ2 → 再び3半音上がる!(F♯メジャー → Aメジャー)
3半音ごとに転調していることがわかります。
私は冒頭で「ポップスの場合は作曲者の感覚に寄り添って使われている」と言いましたが、規則的なことから藤原さんは計画的に転調しているのでないかと思います。
なぜこのような転調をしているのか?
なぜこのような転調の仕方をしているのか考察してみたいと思います。
考察1:3半音ごとの転調で「曖昧な響き」を作っている
3半音(短3度)ごとの移動とは?
「3半音(短3度)ごとの転調」というのは、「ルート音を短3度ずつ上げたり下げたりする」 ことを意味します。
例えば…
✔ F♯ → A(3半音上がる)
✔ A → F♯(3半音下がる)
この 短3度の関係 には、以下の特徴があります!✨
明るい長調と暗い短調を行ったり来たりする
メジャー(明るい)とマイナー(切ない)を絶妙に行き来する
つまり、『ミックスナッツ』は「明るさと切なさの曖昧なバランス」を作るために、3半音ごとの転調を使っているのではないでしょうか。
漫画(アニメ)でも、楽しく本当の家族のようにも見えたり、やっぱり他人の集まりだったりとなんとも曖昧な関係です。
考察2:3半音ごとの転調で「不安定な響き」を作っている
通常のポップスでは、「5度(完全5度)や4度(完全4度)」を基準に転調する ことが多いです!
しかし、『ミックスナッツ』では、「3半音(短3度)」というちょっと不安定な響きを持つ音程で転調 しています!
短3度ごとの移動は、どこか「落ち着かない・浮遊感のある」響きになるのではないでしょうか。
どこか不安定で、次に何が来るのかわからない感じ
ジャズやオシャレなポップスでよく使われる転調パターン
普通のポップスとは違う、ヒゲダンらしい独特な響き
『ミックスナッツ』の歌詞は「秘密を抱えた人生」をテーマにしているので、「不安定な転調」が歌詞の雰囲気にもマッチしていると思います。
考察3:3半音ごとの転調は「ディミニッシュ・サウンド」と関係している
『ミックスナッツ』では、3半音ごとの転調が繰り返されています。
この転調の流れは、「ディミニッシュ・コード」や「オルタード・スケール」 という音楽理論と深い関係がありそうです。
ディミニッシュ・コードと転調の関係
ディミニッシュ・コード(Diminished Chord)
例えば、Cディミニッシュ7(C°7)の構成音
• C - E♭ - G♭ - A(すべて短3度ずつの間隔!)
このディミニッシュ・コードには、「短3度ごとに転調しやすい」 という特徴があります。
これはまさに、『ミックスナッツ』の転調パターンと一致しています。
短3度ごとに転調することで、ディミニッシュの響きが生まれる
不安定だけどクセになる、不思議な浮遊感を作る
『ミックスナッツ』は、ポップスの中に「ディミニッシュの転調の仕組み」を取り入れて、普通のポップスとは違う独特な響きを生み出しているのだと思います。
オルタード・スケールとの関係
『ミックスナッツ』の転調パターンは、「オルタード・スケール(Altered Scale)」 の影響も受けているかもしれません。
オルタード・スケールは、「転調しやすいスケール」 で、ジャズやフュージョンでよく使われます。
半音で動くフレーズが多く、不安定な響きを作るため、「転調への橋渡し」 のような役割を果たします。
オルタード・スケールを活用すると、自然に転調できる
『ミックスナッツ』のクセになる転調の秘密は、この仕組みにあるかも
『ミックスナッツ』の転調は、ポップスなのにジャズ的な転調のテクニックを取り入れているんですね。
藤原さんの多彩な音楽経験を積んでいるからこそのテクニックなのかもしれません。
ポップスなのに、まるでジャズやフュージョンのような転調をしているところが、ヒゲダンらしくユニークで、そして、ヒゲダンの音楽が老若男女から愛される理由なのかなと思いました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、Pythonを使って『ミックスナッツ』の転調を数値的に可視化し、その規則性を探ってみました!
音楽の数学的な仕組み、もっと知りたくなってしまいました!
さらに一歩踏み込んで、Pythonを使って転調の「周波数(Hz)の変化」や「オルタード・スケールの視点」からも分析してみたいと思っています。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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