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10.【小説】 「走れエイト!」


  ◉ 「走れエイト!」10

そして岳野原は考えていた。

《師範の俺が出なければ
 ダメなんだろうけど
 俺はからっきし弱いから
 早めに終わりにしよう。》

「今日はこれくらいにしとこう。」

岳野原は目の前で
こんな人に空手を稽古してることに
かなりビビっていて
とっとと奥に引っ込みたかった。

「有難うございました。」

衛登は対戦が終わり礼をして
隅に正座した。

「岳野原さん 
 稽古 終わったみたいなので
 これで失礼します。」

雅人は終わったようなので
帰ろうとした。

「あ!そうだ。思い出した。
 上り口に菓子折りありますから
 召し上がってください。
 いい稽古 有難うございました。」

衛登は丁寧に
嫌みな感じで帰っていった。

雅人は岳野原道場が稽古する
と言ったのは当たっていたが
まさか衛登が超人並みに強いとは
想像もつかなかった。

だが
稽古してもらえば
強くなれると思って
生徒がいっぱい来るので
逆に好都合だと思っていた。

「そうそう!
 あの〜雅人さん
 俺の名字で
 空手道場の名前を読んでたけど
 雅人さんの大久保に
 しなくてもいいんですか?」

衛登は申し訳ない感じで尋ねた。

「いいんだよ!
 あれは衛登の道場なんだから。」

これで空手道場は生徒が大勢来て
ウハウハな気分になると
雅人は思っていた。

〜つづく〜
 

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