「もしもビートルズがいない世界だったら」
映画の感想です。
先日、遅ればせながらNetflixで「イエスタデイ」という映画を見ました。
「ビートルズを知っているのが自分だけだと気づいたミュージシャン…」という、タイトルの説明だけで再生を押していました。
2019年に公開されているので、観られた方も多いことでしょう。久々にスカッと気持ちの良い、それでいてハートウォーミングな映画でした。
ざっくりあらすじを明かすと、冴えないバンドマンが、ある日事故に遭い、数秒意識を失う。目覚めるとそこは、誰もビートルズを知らない世界だった。そこで主人公は知っている限りのビートルズの曲を演奏し始め、たちまちスターになるのだが…というお話です。
ビートルズファンではなくても、ストーリー展開にワクワクする映画でした。
映画を観る前は、きっとコアなファンにしかわからない内容なのだろうな、と思っていましたが、主人公が演奏するビートルズの曲はほとんど知っている曲でした。なんと、ビートルズはここまで私の中に浸透していたのか…!と驚愕しました。そしてこんなにも名曲が多いとは。
ビートルズはもはや私たちの生活の中に、あまりにも自然に溶け込みすぎているのですよね。「ビートルズ、よく知らないけど見てみよう」と、この映画を観た人はみんなそう気付かされたと思う。
この映画のメインテーマ、「世界でビートルズを知っているのが自分だけだと分かったら」。想像するだけでにんまりしちゃいますよね。数々の名曲をあたかも自分が作ったかのように世に知らしめる。あわよくば努力をせずにビートルズに乗っかってスターになれちゃう。そんな泥臭い欲望が湧いてきますよね。
当然主人公もビートルズの曲を演奏してどんどんビッグになっていきます。味を占めて勢いが止まりません。
私的にこの映画で一番印象に残っているシーンは、誰もビートルズを知らないはずの世界で、たった二人だけビートルズを知っている稀有な人物が押しかけて来る場面です。
この二人は大のビートルズファンなのでした。主人公は、勝手にビートルズの曲を演奏して、著作権で訴えられるのでは?責められるのでは?と慌てふためきます。ところが、その人物は「ビートルズを演奏してくれてありがとう!」とお礼を言いに来たのでした。
「私たちにはビートルズのいない世界なんて考えられないもの!聴かせてくれてありがとう!」と言って。
ここ、非常に感動しました。
もしもビートルズファンの前から突然ビートルズの楽曲がなくなったら、と想像するとそれはとても空虚な世界のはず。誰の演奏でもいいから、ビートルズの曲を聴きたい。著作権なんて関係ないのよ、というファンの気持ちが切実で刺さりました。
この場面には世界中の人が共感したんじゃないかな、と思えることろもビートルズのすごいところ。
また、この映画はコメディなので、途中であり得ない演出がたくさんあります。まぁ、例えば76歳のジョンレノンが出てきたり(笑)、エドシーランご本人が本人役で登場したりとか。でもそんな場面がすんなりと入って来るのが面白いし深い。
きっとビートルズファンならば台詞の細部に笑えるツボがあるのでしょう。「ボヘミアン・ラプソディ」でQUEENファンがくすりとなったように。
ビートルズのファンでない方でも面白いことは間違いない映画でした。
改めて、ビートルズはこの世界を変えたんだろうな。
ビートルズがいなかったら、クリスマスや誕生日に甘いケーキがない世界とか。食後にコーヒーがない世界とか。そんなレベルな気がする。(←うまい例えが見つからない。笑)命は奪われないけれど、実に味気ない世界。
何気なく観た映画が新年早々どストライクで思わず感想を書きたくなりました。
このストーリーのラストを知りたい方はどうぞ本編をご覧になってくださいね。
◆All You Need Is Love