「秘密」といえば
この日のラジオのテーマが「秘密」でした。
「みなさんの秘密をメッセージくださ〜い」
と、DJさん。
と言われましてもね…。と心の中で呟いてしまいました。
匿名とはいえ秘密が公共の電波で流れるわけです。
本気の秘密をメッセージしたところで、重いものは読まれないだろうが、内容はスタッフさんにバレるわけです。メッセージフォームには実名を記載して送っているのだし。見知らぬ人に秘密を曝け出してどうする。
と思いながら「秘密」について考えていました。
みなさんにも誰にも言えない秘密ってありますよね。
こんな時によく流れるのがこの曲です。
◆「Can You Keep A Secret?」宇多田ヒカル
「Can You Keep A Secret?」
秘密をまもれますか?
さて、我が家には、親戚一同で共有している秘密があります。…なんていうほど大袈裟なものではなく、世間的にはたいした秘密ではないのですが。
でも親戚一同30年以上守り続けている秘密なのです。
私の10歳ほど年上の従兄弟は、20代前半あたりから頭が薄くなり、20代後半にはすっかりツルンとしてしまいました。
しかし、薄くなり始めた頃から少しずつ某総合毛髪関連会社にお世話になっていたお陰で、私たち親戚ですら気が付かないナチュラルな増毛ぶりで、30代を迎えたのでした。
叔母は、我が家に来てはこっそりと
「N男は◯デランスにお世話になっているのよ、内緒よ」
と息子の秘密をバラして嬉しそうにしていました。
30年前にどんな技術があったのかはわからず、被せるタイプなのか植えるタイプなのかは知り得ないのでありますが。時々CMで流れる某社の最新の技術に見入っていました。
おしゃべりな叔母により、この秘密は我が家に浸透して行きました。ただ、本人とこの話題に触れることはなかったので、従兄弟はまさか我々家族が自分の秘密を共有しているとは夢にも思っていなかったはず。
時は過ぎ、そんな従兄弟は30代半ばでめでたく結婚しました。そこで気になるのが「お嫁さんはあの秘密を知っているの?」ということです。
叔母にこっそりと聞くと、「N男は言ってないらしいのよ。だから秘密よ」と。しかも、「お風呂は別々に入っているし、バレてないみたいなのよ」と、いらない情報まで。同じ敷地内に同居していた叔母は、何でも知っていたのだ。
果たしてこの親戚ぐるみの秘密は、奥さんに明かさなくても大丈夫なのかしら、とも思いましたが、「他所の夫婦関係に他人がとやかく言うもんじゃない」と、父。
子供が3人生まれても、この秘密は守り続けられたようでした。
年と共に黒い髪に白髪が混じり、ロマンスグレーになった数年前にも、やはり奥さんには秘密にしていたらしい。
我々家族も、今の某総合毛髪関連会社の技術力の高さに感服しつつ従兄弟の涙ぐましい努力に拍手を送る気持ちで見守っていました。…というほど興味はなかったのですが。
そして、先日母から電話がかかってきたのです。
「ついに、N男くん、アレ、外したらしいわよ」
なんでも、60歳近くになった今年、頭を剃るという名目で綺麗さっぱり外したのだそうだ。
「N男くん、ようやく解き放たれたわよね」と母としみじみ電話口で話していたのでした。
親戚一同で守ってきた従兄弟N男くんの秘密。
…と、ふと、しかし。
これは秘密なのか親戚一同で奥さんを騙しているなんていう、罪深い話だったり…?
それとも、もしかすると奥さんは気づいていたのかも知れませんけれど。
さて、みなさんの「秘密」は何ですか?(笑)