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青天の霹靂57(会社のパーティーで1)

廉夏は、本日、京極グループの企業祭に廉や冬眞、じい様達と来ていた。
じい様と廉、冬眞は着いたそうそうに重役連中に捕まった。
そうすると、廉が言った。
「冬眞、悪いが廉夏に会社内を案内してあげてくれ。悪いが私達はちょっと離れる」
そう言って、冬眞を重役達から抜けさせてくれる。
「はい、畏まりました」
そう廉に頭を下げる。
そして、廉夏には手を差し出す。
「お嬢様、この後僕に付き合ってくれますか?」
廉夏はウヤウヤしくその上に手を乗せる。
「はい、喜んで」
と言って、冬眞の手に重ねる。
冬眞と顔を見合わせて笑い合う。
「また、膝ま付くかって思っていたわ」
「膝ま付きましょうか?」
「辞めれ」
でも、こう言う時に思う。
廉は、やはり冬眞にとっては上の人間なのだろうと。
廉夏と冬眞は、廉達と別れて祭りを楽しむことになったが、廉夏の機嫌は最悪な底辺になる。というのも、冬眞が女性社員に囲まれているからだ。
「神崎様」
そう言われる度に、廉夏はケッと顔を歪める。
「下品ですよ」
「下品で結構」
そう言うと、冬眞は苦笑いをする。
「僕は何もしてませんよ」
「そうね。冬眞は何もしてないわよね」
物凄く嫌味っぽく言う。
「廉夏さん、妬いているようにしか見えませんよ」
「妬いてなんかいないわよ」
廉夏が怒って言うと冬眞はショボくれたように言う。
「妬いてくれないんですか? 僕は嬉しかったのにな」
肩を落とされ、廉夏は慌てて言い直す。
「妬いてました。正解です」
「良かった。分かりました。これからは、廉夏が気に入るような断り方をしますね」
「私が気に入る断り方って?」
廉夏が首を捻ると、それはすぐ分かる。
「紹介します。僕の妻です」
そう紹介され、女の中でそれはすぐ知れ渡る。周りでは、見に来る者は多かったが、近寄っては来なくなった。
「凄いわ。女子社員の連絡網って」
「ええ、僕も頭が下がりますからね」
「本当にね」
廉夏が納得したときに、突然女性社員の悲鳴が聞こえてきた。
瞬時に廉夏を庇うように冬眞は抱き締める。
何事かと見ると、廉が犯人グループとおぼしき者に囚われている。
しかも、縛られている。
「えっ、廉兄? 何で?」
「部下のために、ここでお前が頭を下げろ。下げられるならな」
そう言って、犯人たちは笑う。
それに廉夏は笑う。
「バカね。廉兄のことを何もこの犯人は分かってないわ」
廉夏がそう言うと冬眞は驚く。
「どういうことですか?」
「廉兄は、部下のためなら、頭を下げるわ。それが部下を助けるために必要なことなら、どんな屈辱的なことでもやるわ。例え、犯人に靴を嘗めろと言われてもね。廉兄ならやるわね」
廉夏の言ったように、犯人の要求に廉は口の端を上げる。
「そんなことで良いのか?」
廉は膝を折り、スッと頭を地面に付くぐらい下げた。
それに、従業員は息を飲む。
「社長、お辞め下さい」
泣き出す従業員もいた。
犯人達も、ちょっと驚いた顔をした後、気を取り直す。
「はぁん、いい様だな」
そう言って、廉の頭を踏んだ。
その瞬間、従業員達は悲鳴を上げた。この時、従業員達も縛られていた。
「そっかぁ? たかが、私の頭1つで従業員の命を守れるなら、安いものだろう」
廉はフッと笑う。
それに、バカにされたと思った犯人達は激怒し、廉を殴る。
殴る。
蹴る。
「止めて~」
廉夏が叫んでいた。
冬眞は廉夏が犯人達の元に行かないよう、廉夏の抱き締めを強くした。
廉夏は冬眞の腕の中で暴れる。
「離して。廉兄、廉兄」
その時、廉がカッと目を見開く。
「廉夏、お前は誰の孫だ。取り乱すな。お前はこういう時に、今どう行動すべきか分かるだろ?」
廉夏は、ハッとしたように頷く。
「ごめんなさい。取り乱しちゃったみたい」
その言葉に頷くと、廉は安心したようにそれに頷くと犯人に冷たい目を向ける。
「私の従業員をあまり安く見ないでもらおうか? ここにいる彼らは皆、世界で通用するスペシャリストだ。誰1人とっても、いらない者などいない」
その言葉を聞き、皆感動する。

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