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鎌倉オフライン会

 2024年12月22日、秋元健太郎先生の読書会のオフライン会が行われました。忘れないうちに、書き留めておこうと思います。

 以前の記事でも書いたと思いますが、自分の研究テーマは、「ひとに『伝える』とはどういうことか?」でした。自分の音楽を誰かに聞いてもらうとはどういうことなのだろう。コンクールやコンサートに出たことがない私にとっては積年の疑問でした。
 研究をするにあたっては、自分がどこかで発表の機会を掴むしかなく、でもそんなツテもないし、どうしたものかと頭を抱えていました。
 そんな中、精神分析の研究をしている秋元健太郎先生が、「自分が普段やっていることを発表しあう」というオフライン会を開くので、飯野くんいかがでしょうか、というお誘いをしてくださったんです。本当に偶然すぎるので、これは天の計らいなんだろうと思い、ふたつ返事で了承しました。

 なんだかんだで忙しい日々が続き、ついに発表当日。昨日は普段弾いているピアノの記録動画を編集し、さあこれから文章をどうしようかと考えたところで就寝のタイムリミットがきてしまいました。ほかの発表者は原稿を何枚も刷ってきている方が多くて、自分の圧倒的な準備不足に、静かに戦慄していました。
 でもただ、原稿通りに進めるというよりは、その場の雰囲気を読んで柔軟に足し引きしたほうがいいだろうみたいな勘はあって、最初に喋ることと、聴いてもらう動画さえあればなんとかなるだろうとは思っていました。

 いざ発表が始まって、最初の方は何を話したかもう忘れてしまいましたが、これはとにかく動画を見てもらって感想を言ってもらった方がいいなと思い、見てもらったのがこの記録動画。

 水が流れる感じ、涼やかな感じ、寂しい感じなど、いろんな感想を頂きました。皆さんはどう思うでしょうか。

 次にご覧いただいたのはこの動画。

 長野県の青木湖を歩いていた時、その場所と一体になっているような、その場所と溶け合っているような、そんな不思議な感覚を味わっていました。それが表現できた音楽だなと思っていたのですが、他の人にどれだけ伝わるのかは自分の説明しだいでもあり、勝負どころでした。
 でも話してみると、結構そういう風に聞こえるみたいでした。空に光る星を見て自然と溶け合う感覚を感じた経験を思い出した人もいたり、虫や動物の呼吸を感じ取った人もいたり…。何人もの人が言葉を尽くしてくれました。

 もちろん、皆さんの頭の中に思い浮かんだイメージは一人ひとり違ったはずです。でも、私が作った曲を聴いて、年齢も属性も全く異なったひとたちが、自分が感じたことや過去の経験を話し合っていたあの時間は、感じたことは違えど同じところを見ているように思いました。私が表現したかった人と自然について。そのことについて皆で話し合えたあの時間はとても意義あるものだったと思います。

 今思い返してみると、がんばって伝えようとしていたというよりは、「みんな、これを見てほしい。これについて語り合おうよ」みたいな姿勢でいたんじゃないかと思います。

 こういうことなのかなあ…。

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