建築基準適合次判定資格者への合格ロードマップ~法令集の作成から問題の解き方~
1.はじめに
1-1.自己紹介
私は民間の確認検査機関に勤めて、1年半になります。
以前はハウスメーカーで設計業務をしていましたが確認申請は分担でやっていたので、私はノータッチであまり詳しくなかったです。
確認審査機関といっても、業務内容は審査の9割が4号建築物(木造、2階建て程度)なので、一級建築基準適合判定資格についての知識はほぼ無いに近いかなと思います。
一級建築士取得したのも、6年前とかなので、法令集も完全に抜けていました。
自己採点では下記の結果で1.2級とも合格ライン(66/100)は超えました。
これから、頑張る方たちにこの記事が勇気づけれるようなものになればいいかと思います。
家族構成は、3、2、0歳の3人の子持ちで、妻の協力は乏しく土日は育児で勉強時間がとれず、朝は5時には子供が起きてくるような状況でした。
勉強時間は普通の人より取りづらかったと思いますが、それでもR6年の1級本試験自己採点で9割近く取れた方法を紹介します。
1-2.体験記を書くきっかけ
建築基準適合判定資格はあまりにも受ける人や情報が少なく、周りにも受ける人がおらずかなり心細く感じました。
ネットで調べても、情報が少なく、どうやって勉強したらいいかがわからないことが多かった事から、自分のやったノウハウをここで記載し、魂の込めて受験生に届けたいと思いから記事にしました。
また、R6年は私の会場は受けれましたが、西日本は延期(本試験から4カ月後)になってしまった事から、試験受けるまでのモチベーションになればという思いも含めて筆を取ることにしました。
平均点あげてしまって自分が落ちてしまったら、どうしようもないですが、それでもXで私も皆様にたくさん助けられながら、モチベーションを途切れさせずにできたので、今回は私がその役目を担えればと思います!
これを見てる方は最後まで諦めないで頑張ってる方達だと思うので、ぜひこの記事を見て最後まで走り抜けて下さい。
一部有料の部分ありますが、基本は無料でノウハウすべて公開していますので、参考にしてください。
有料部分は私の執筆料金程度と思って、払っていただける方のみ払ってもらえればと思いますので、無理に買わないでください笑
(お金払わなくても、独学でやれるように記載してるつもりです。)
また、法令集の書き方とかちょっとしたコツなどは有料部分にさせて頂きます。
仮に、試験管の人たちがこの記事を見た時に、チェックされて万が一持ち込めなかったなどあった場合、申し訳ない気持ちになるので、有料とさせて頂きます。
ただ、法令集チェックは人によって違うので、私は持ち込めましたが、自分で判断して自分なりの法令集を作って貰えばと思います。
2.勉強の仕方
2-1.開始時期
本格的に開始したのは、受ける年の2月になります。
7ヶ月間の期間に絞りました。
なぜ2月かというと、ERIアカデミー開始時期だったからです。
私は、ERIアカデミーの集合演習コースに通いましたが、独学でも問題ないです。
過去問やるか、アカデミーの問題やるかの違いなので、さほど違いはありませんでした。
講師の方に質問できたり、解答が見やすかったりなどはあり、おすすめはしますが、絶対ではないです。
私の場合、仕事日に一日勉強できるというメリットだけでも行く価値あったと思っています。(職場や、休日に勉強を許される環境出なかったので、、)
一応、問題を知るというとこで前年の12月くらいからICBAから出ている過去問をメルカリで購入して、考査Aを10年分を一周だけして、法令集の作成、問題の傾向を把握しました。
2-2.勉強時間
最初は、夜やってましたが、眠いのと0歳の子供の夜泣きでなかなか集中環境が作れなかったため、朝の時間と決めました。
ただ、子供は5時には目が覚めるので、最低2時間は1日勉強したかったので、3~5時の2時間に絞りました。
睡眠時間は削りたくないので、8時に子供と一緒に就寝し、3時起きすれば7時間も寝れることになります。
6時間とか試しましたが、私の場合、睡眠時間7時間がちょうど良かったです。
・平日は朝出勤前30分、昼30分で合計3時間
・休日は2時間
=19時間(週)×4(月)×7(ヶ月)=532時間くらいになります。
後日記述しますが、事前準備入れずになので、最低500時間の確保が必要になるかと思います。
ちなみに、朝は頭の入り方違う(夜の4倍と言われている)ので朝の方を断然お勧めします。
2-3.試験までの逆算
ERIアカデミーのカリキュラムがざっくり、
3月 考査A、計画1
4月 計画2、計画3
(6月 2級建築基準適合判定資格本試験)
7月 ERI模擬試験
8月 1級建築基準適合判定資格本試験
なので、4月中に計画1~3まで一通り自分で解けるようにしました。
私は井上書院の法令集を使っていたので、その年の法令集が出るのが1月末なので、それを発売日に買い、GWまでに仕上げるようにしました。
GW中に法令集を完成させる目途がちょうど良いかなと思います。
事前に2月入る前に考査Aの問題で出たところを前年の法令集で線引いとくので、それを映すような感じになります。(「3.法令集の作り方」参照)
6月に2級主事試験あるので、本番さながらの模試として、5、6月は試験に向けて、1級の過去問を全体的に学習して、1級の問題を時間内に7割取れるくらいまでを目標に勉強しました。
(私は2級設立初めてだったので、対策が1級やるしか選択がなかったので、ちょうどよかったですが、目的は1級合格が目標なので、アカデミーの模試や過去問を1回やるだけにして、あとは邪念を捨てることです。
6月の段階では、
「考査B」
・計画1 45分
↓
・計画3 40分
↓
・計画2 120分
の時間配分で見直し時間ないですが、これを目標にしてました。
ちなみに、2級建築基準適合判定は自己採点で7割くらいでしたので、ギリギリ合格できるレベルかなと思います。
私は、考査Bはすべて書き切れなかったです。
そこが一番の敗因なので、皆さんはしっかり書ききれるよう時間配分調整するよう心がけてください。
7.8月は仕上げ期間で、時間の短縮できるように問題を解き、時間の短縮方法を考えながら、問題を2,3周と解き続けました。
7月にアカデミーやBONTの模試があるので、これは学校通わなくても受けれるので、必ず受けてください。
1ヶ月おきに模試がある感じで集中力を切らさず勉強することができます。
「考査A」
・4分/問×17=68分
・見直し 17分
「考査B」
・計画1 40分
↓
・計画3 40分
↓
・計画2 80分+道路斜線20分
↓
・見直し25分
本試験に挑むという感じですね!
やった量的には、
・アカデミーの問題(5課題)
・アカデミー模試(1課題)
・直近の過去問(5年分)
計11年分 3周して8月本試験に臨みました。
量的には多いな?と思われるかもしれませんが、2、3周目はほんとあっという間にできるので、気負いしなくていいと思います。
3周目は間違ったところだけをやるようにしています。
私も7月入ってから2周始めたレベルです笑
2-4.必需品
①ストップウォッチ
試験場にも持ち込めるのでぜひ、買ってほしいものがこれになります。
キングジムから出ているストップウォッチです。
試験場にもストップウォッチ持ち込める記載ありますので、これを試験に持ち込みました。
(時計は、持ってきましたが見てないです。ストップウォッチで時間間隔取っていたので、不要でした。)
バータイマーになっておりまして、セットした時間をメモリで教えてくれるものになります。
カウントダウン、カウントアップが99分まで記録できます。
・考査Aはカウントアップ
・考査Bはカウントダウン(計画1 40分、計画3 40分、計画2 80分→20分)
のルールでやっていたので、やりやすかったです。
自分なりのルールでやるといいと思います。
いろいろ試した結果、これが見やすく自分に合ってました。
②やさしい建築法規
Xで交流させてもらってる中でも、「これはどの参考書ですか?」と問い合わせが多く、実務で使わないですが、試験に特化された(図解、条文の細かな記載が豊富)ものなので、これとB5まとめノート、法令集はセットで毎日持ち歩いていました。
これ、必ず買ってください!!
③B5 まとめノート(方眼付き)
何でもいいですが、ちょうどいいサイズ感で、方眼付きでシンプルなものを選びました。
シンプルで持ち運んでいて、テンションが上がる物にしました。
思考整理しながら、考査Bをまとめて理解を深めるのに便利かと思います。
④電卓
これは何でもいいです。
シンプルなものが落ち着くので、私は無印良品の物を使ってましたが、慣れているもの使ってください。
無難なのは、一級建築士でみんなが使っているアスカの電卓になりますね。
これは私も使っていましたが、モデルチェンジして、昔のより軽くなってしまい、購入したのですが打ちづらく、何でもいいと思い、無印のシンプルなものにしました。
アスカは計算式見える化されるので、おすすめです。
私は、電卓の使い方慣れていませんでしたので、「M+」「M-」の使い方は、マスターしておいてください。
私の場合、建ぺい・容積率の限度の計算の時に「M+]などを使い、複数の計算をしました。
このくらいは、できるようにしといてください。
仕事でも意識していると、自然に試験でも少し時短できます。
⑤A6無印良品 ジュートバック
この無印のジュートバッグは井上書院の2冊入れるとシンデレラフィットします。
持ち手も丈夫で、長い間持っても疲れないので、おすすめです。
入れるとこんな感じです。
3.法令集の作り方
3-1.線引き
法令集で使った筆記用具はこちらになります。
「肯定」は赤鉛筆
「否定」は青鉛筆
「条文」は薄オレンジフリクション
「強調部分」はオレンジフリクション
「キーワード」は緑フリクション
「数値」は黄色フリクション
「肯定に使用した部分で目立たせる部分」はピンクフリクション
「否定に使用した部分で目立たせる部分」は青フリクション
「建築審査会の同意」は青緑フリクション(ちょっとした技になります。)
「考査B記述用」は一点破線
「付箋」は濃い茶色ボールペン
一例記載します。
定規は、100均の柔らかいやつです。
法令集にアンダーライン引く際に、曲げながら書いたりするので、線引きに時間短縮になりますので、ぜひ近くの100均で購入下さい。
シャーペンは、柔らかさと持ちやすさでこれを選びました。
これもおすすめです。
フリクションはソフトカラータイプの物です。
濃すぎると、文字が見えづらくなってしまうので、ソフトなタイプでやってもらうのがおすすめです。
品番等は下記のものになります。
3-2.付箋
付箋の色は以前先輩がしていた色で分けていたのを真似しただけなので、特に何色でも良いかなと思います。
ただ、このポストイット一択ですので、こちらと先程のブラウンブラック0.38mmのセットで使ってくことをお勧めします。
なぜかというと、ポストイットの色が濃すぎず、薄すぎずで、ボールペンとの見やすさが一番良かったです。
ボールペンも黒にしてしまうと、ちょっと見ずらくなるので、ブラウンブラックというところがポイントです。
ほぼ黒に見えますが、文字が見やすいです。
何かしらの規則を持って、自分なりにつけてもらえればと思います。
ざっくりの内容でいくと、
「重要なもの」はオレンジ
「防火」はピンク(炎をイメージ)
「構造」は青
「仕様規定」は黄色
「バリアフリー」は紫
「消防」は黄色
「省エネ」は緑
みたいな感じになります。
4.本試験に向けて
4-1.7割取れればいい!
私の場合、時間も限られており、Xを見ていても時間が取れないことに対してのストレスが大きかったので、気持ちを楽にしました。
「満点取る必要はなく、7割取れればいい」勉強法に4月の段階で切り替えました。
この試験で大事なことは、2つだけです。
①全て回答し、書き切る事
②適否を間違えない事
たった、これだけです。
これができていない場合は、何かしら妥協していく事を早い段階でやる事をお勧めします。
他の減点は気にしないです。
全て書ききって、適否を間違えなければ部分点はもらえるので、7割は大丈夫と思います。
適否を間違えてしまうと、その配点は0だと思った方がいいです。
4-2.時短術
私は先ほど説明した時間でやると明らかに時間が足りないと思ったので、
私が諦めたところは以下の通りです。
①計画1.計画3の
「法第◯条第◯項第◯号」
の部分の「第」を全部書くのをやめました。
「法◯条◯項◯号」
これで10分くらいは短縮できた気します。
②本試験の際に迷わず書くコツ
回答する時に手を止めたくなかったので、法令集に鉛筆で一点破線で書き、条文の横に自分がわかるように、各順番の条文を記載しました。
法令集にも関係条文の横に考査Bで使う条文を書いていました。
計画1、計画2はページ開いて、写すだけです。
例えば、
令132条「2Aかつ35m」は、一点破線部分写すだけで、
・前面道路が2以上ある場合、最大道路の幅員の2倍位内かつ35m以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10mを超える区域
は、最大な前面道路と同じ幅員を有する。
と作業的に書けるように工夫しました。
法令集に条文を書く分には、持ち込む分に問題ないと思っています。
・まず条文を上から順番に書いていきます。
(点々の上が必須条文、下が選択条文)
・条文の横に赤丸があるので、「赤点=前提条件」を開いて一点破線を書く
(ここは慣れてくると、覚えてくるのでそのまま書くだけになります。)
・あとは問題を見ながら、適用される条文(選択式)を整理して、選択部分のものを記載する。
(点々の下側)
・計画がどうなるかをできるだけ簡潔に書く。
(試験官が見やすいように分かりやすい文章にしてあげる。)
・最後に適否を書く。
一例になりますが、このようになります。
4-3.考査Bのまとめ方
私はB5の黒いノートに、考査Bの回答を写しながら、自分なりに見直しながら、試験前に見れるものを作りました。
先ほど説明した内容の順番通りに自分なりに噛み砕きながら、書く順番などを整理して各設問ごとに前提条件や時短回答を自分なりにまとめていきました。
後から時短できる部分を修正したり、よく間違えるところをマーカーしたりと自分のノートを作りました。
中身はこんな感じになります。
4-4.記録の仕方
一級建築士の勉強もそうですが、テキスト類を持ち歩くと重くて、法令集ともなるとものすごく重くなり、勉強が辛くなるので、全てデータは裁断してクラウド保存して、その日勉強するものだけ印刷して、必要なものだけ印刷してました。
一級の時は5科目全てのファイルを大きな袋とリュックに詰めて毎週学校に通ってました、、
記録の仕方は、Xで交流してた方からの資料も参考にしながら教えてもらいました。
スプレッドシートで間違ったところを記録しました。
考査Aについては、問題と設問毎に○×をして、3回間違えるところは試験前前日にチェックするようにしました。
考査Aの設問毎については、
・青が条文が分かり、間違えないところ
・黄色は時間かかるけど、条文が分かり、間違えないところ(4分以内に引けなかったところ)
・オレンジは条文分かるけど間違えたところ(これが一番マズイ)
・赤は全くわからなかった(深い理解が必要)
時間はかかりますが、2回目3回目の復習に有効です!
チェックしたものを持ち歩くこともないので、問題も解いたら即捨てできるので、無駄なところは時短しましょう!
3回目は×になるところだけ復習しました。
考査Bはこんな感じにしました。
複数のシート作りながら、
試験前日に確認したいことを複数のシートにまとめながら、作りました。
いつにこの問題を何回目やるかなども整理しながらできるのでお勧めです。
試験の前日の午前中までは時間測りながら問題解いてました。
午後からはリフレッシュ兼ねて、仕上げの復習を始めました。
(午前中やればと後悔しました。)
クラウド保存おすすめです。
Googleドライブに無料で保存できるので容量問題なかったです。
保存しないと、勉強時にICBAのテキストとアカデミーの資料を持ち歩くことになるので、それだけでストレスです。
アカデミーだけでこの量です。
私は常に、Macbookと法令集とその日に解く問題だけなので常に身軽でした。
データは常にPCに入っていたので、Xで交流していても、過去問とかはすぐ見ることができました。
ちなみに本試験もリュック一つで行き、帰ってくれるので身軽なので、お勧めです。
5.回答例
黒ノートに記載したものをまとめたものになります。
ぜひ、参考にお願いします。
計画1、計画3のまとめたものになります。
5-1.計画1
端的にまとめて、40分程度でサクッと解けるように時短を目指し、細かいミスをなくすようにしてください。
なぜ、間違えたかなど自分なりに考え、どのように問題文でどのようにチェックし、ミスをしないようにするかなど工夫してください。
5-2. 計画3
表は、まとめノートから抜粋していますが、書き方の参考にしてください。
コツは、しっかりと比較(根拠を明示)することが大事です。
ICBAの解答だと比較していませんが、「なぜ、不適切なのか」を明記するにあたり表の数値との比較するようにしてください。
計画2は有料とさせてもらいますが、計画1,計画3同様に自分なりでまとめると、自分の理解も深まるので、ご自身で作成するでもいいかなと思います。
6.小ネタ集
はじめに話しましたが、私はXで交流しながら、情報交換していました。
Xは試験に真剣な方が多く、刺激も多く交流させてもらった中で教えていただいたもので許可頂いたので、一部紹介します。
6-1.考査A No.6 構造
No.6に出てくる「限界耐力計算」「保有水平耐力計算」どれが適合しなければいけないかなど迷ってしまいますよね。
仕様規定に色分け(保有水平耐力=青、限界耐力=赤)して、◯と✕で分けました。
これをすることで、それぞれ適用しなければいけないのか、しなくていいのかが令36条に行かなくても各条文で判断できるようにしました。
許容応力度等計算については、令36条から令80条まで適用されるので、法令集に(P292まで)と記載だけにし、印付けはしてません。
6-2.考査B 異種用途区画
考査Bの異種用途が出てきたときに、条文の欄に記載がすぐできるように法別表1に色分けして、条文記載することで法27条にいかずとも、別表開いて書くようにできるようにしました。
7.最後に
この部分から有料にさせてもらいますが、ちょっとした小ネタ集的なものになります。
・計画2 回答例
・考査Bまとめ㊙︎ノート公開
【法令集】
・付箋例
・私の法令集作成例
【小ネタ】
・考査A 「建築審査会の同意」について
・考査A No.16 消防
・考査A No.17 バリアフリー
・本試験の心構え、新規問題、難題への対応
について記載しました。
持ち物系はとりあえず、私の物で一式そろえてから気に入らなければ違うのに変えてみてでいいと思います!
まずは真似る(=「学ぶ」から由来)ことが時短になりますので、少しでも問題や法令集に触れる時間を増やしてもらえればと思います。
有料の部分抜きでも、独学半年あれば合格できるノウハウかと思います。
私が試行錯誤した中での方法ですので、ぜひ活用下さい。
長い文を読んでいただき、ありがとうございました。
一人でも多くの方が、合格できることを祈っています!
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