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いじめは許さない

 これから本格的な「風の時代」を迎えて、いじめ問題もなくなってほしいものだ。

 それは、私が小学4年生の頃の話になる。

 私のクラスメイトで、Y子さんと言う女子生徒がいた。

 Y子さんの容姿は、どこか日本人離れしており。茶色の髪に茶色の瞳、ハーフのような可愛らしい女の子だった。

 しかし、皆んなは彼女の容姿に違和感を覚えていたのであろう。クラスの中では、いじめられる存在だった。

 男子のみならず、女子までもが彼女を嫌っていたのだ。

 ある日、事件は起きた。

 誰かが、彼女に向かって「小便くさい」と言った。

 それはたちまち、クラス中に広まり、皆が彼女に向かって「小便くさい」と言い出した。

 事実、私も微かにアンモニア臭のようなものは感じたが。

 しかし、それが彼女が原因か?などわかるはずもない。

 皆んなは、しきりと彼女を囃し立てた。

 彼女のまわりで叫んでいる連中に腹が立ち、私は止めようと思った。

 が、できなかった。

 それをする事で、自分がクラス全体から除け者にされることがわかっていたから。それが怖かったのだ。

 当時は、そんな風潮があった。

 そんな騒ぎの中、先生が教室に入ってきた。

 先生は、即座に状況判断するなり、男子生徒を叱りつけた。

 また、女子生徒にも「なんですか、女の子まで一緒になって!」と一喝する。

 クラスは静まり返り、バツの悪い沈黙が流れる。

 その後、どんな説教があったのかは覚えていない。

 ただ、覚えているのは「自分は、なんて臆病者で卑怯者だ」と言うことだ。

 おそらく、この頃からなのだろう。自分は、強くなりたい「いじめは許さない」と誓ったのは。

 そして将来は、警察官か自衛官になる。と強く思うのだった。


著 者  宮澤重夫

 平成30年に陸上自衛隊化学学校
化学教導隊副隊長を最後に退官

 現役時代に体験した、地下鉄サリン事件や福島第1原発事故対処等の経験談を執筆中

主な資格等

防 災 士(内閣府認定地域防災マネージャー)
第2種放射線取扱主任者
JKC愛犬検定最上級

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