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現場の自衛官が見た不思議体験(その1 UFOとの遭遇編)

まえがき

 これは私が陸上自衛隊化学科隊員だった頃の事実に基づく体験談であり、物語ではなく、ひとつの情報資料として読んで欲しい。

 これが災害等、危機管理の一助となりましたら幸いです。

 今回は、番外編として「UFOとの遭遇」と題して、禁断の話題に切り込んでまいります。

 皆さんの中には、実は自衛隊は、UFOの存在を隠しているのではないか、と思われる方もおられるかも知れません。

 そんな疑問に、私の経験上の見解も述べさせてもらいます。


1 状 況

 皆さんは信じるだろうか。世の中には、まだまだ科学では解明されない出来事が数多くあることを。

 それは、今から約30年程前の話になる。

 当時、私は第101化学防護隊(大宮駐屯地)の情報小隊偵察班に所属していた。

 情報小隊は、NBC兵器により攻撃を受け、汚染された地域の偵察や局地気象の観測など情報収集が主な任務となる。

 また、対空火器である重機関銃を化学防護車に装備しているため、対空警戒の任にあたることもある。

2 その日

 その日の天候は、薄曇りであったように記憶している。

 時期的な記憶は曖昧だが、6月〜9月くらいだったと思う。

 私達は、福島県にある、白河布引山演習場で、化学小隊の訓練検閲を実施していた。

 私の偵察班は、演習場北地区のマキカンテキと言う丘の高台で、飛来してくる敵航空機に対する、対空警戒任務中であった。

 一方、化学小隊は、私達の所から見下ろせる平地に部隊を展開していた。

 私達は、敵航空機の攻撃から化学小隊の活動を援護しなければならない。警戒を厳重にする。

3 遭 遇

 その夜、0時前後だったと思う。

 私は、重機関銃を前に警戒を続けていた。

 下では、化学小隊が何やら活動しているようなのだが、暗くてよく見えない。

 薄曇りの中、朧げに東の空に月が出ている。

 と、その時「アッ」私から見て北の方向、高度300m程であろうか、オレンジ色の発光物体を発見する。

 「何だあれは〜」と思わず声が出る。

 私は反射的に重機関銃を構える。

 一気に心臓がバクバクいい、冷や汗が溢れ出る。

 人間というものは、頭の中で理解出来ない事に遭遇すると恐怖を感じるようだ。

 銃口の延長線上に、あの発光物体が空中に浮いている。

 少し落ち着くと、私はその物体を観察した。

 よく見ると、全体的にはアルファベットのL字型をしている。

 色は上の方が赤く、下に行くに連れて徐々にオレンジ色ヘと変わっていく。

 そのL字型の下の部分は、旗のように揺ら揺らとなびいているのである。

 また、全体が微妙に前後左右に動いている。

 その様子は、いわゆる空飛ぶ円盤ではなく、なにか生き物のように見えた。

 説明が解りづらいと思うが、「Windows95」のスクリーンセーバーに、「飛行物体」と言うのがあり、まさにあの動きとそっくりなのである。

 私は、皆を起こし伝える。

 「見てみろ、あれを」「何だあれ〜」皆、驚きしか口に出ない。

 その時、下の方から銃声が聞こえた。

 私は「いかん、あの真下には化学小隊がいる」知らせなくては。

 私は直ぐに無線を取り「20(ニーマル)20こちら31(サンヒト)31送れ」

 「こちら20、31送れ」

 私は「こちら31上空を見ろ、頭の上を見ろ〜UFOだ、危ないぞ~」

 化学小隊「は〜ぁ、寝ぼけてんじゃね~、今それどころじゃね~ゲリラと交戦中だ」

 私は諦め、成り行きを見守る事にした。

 その謎の飛行物体は、30分程出現していただろうか。

 そのうち、す〜と山陰に降りて行った。

4 口止め

 演習は無事おわり、最終日の夜、いつものように廠舎地区では、飲み会が始まっていた。

 勿論話題はUFOの事だ。私は皆に興奮気味に話す。

 するとそこへ化学小隊の隊員がやって来て「私も見ました」と言う。

 彼が言うにはこうだ。

 彼は、化学小隊の歩哨として歩哨壕の中で警戒していた。

 すると、西の方向から東の方向へ、もの凄いスピードでオレンジ色の発光物体が頭の上を通り過ぎた。

 そして、凄いスピードで戻って来て、彼の頭上でピタリと止まり、揺ら揺らと始めたらしい。

 私が確認したのはその時点だ。

 彼は、その謎の飛行物体が出現した時から見ていたのだ。

 その後、彼は恐ろしくなり壕の中で身を潜めていたと言う。

 そんな話をしていると、そこに第101化学防護隊の副隊長が現れ、私にこう言った。

 「宮澤、お前見たのか」
 「はい、確かに見ました」
 「本当に見たのか」
 「間違えありません、見ました」
 「見たんだな、わかった、でも外では言うな」「いいな!」

 口止めか。

 と私は思った。

 その後、この話はあまりされなくなり、いつしか皆の記憶から消え去って行った。

 なぜ口止めされたのか。

 今思えば、これは私の持論だが、それがなにか自衛隊の最新秘密兵器だとかで隠す事ではなく。

 ただ単に、自衛官が公言してしまうと、一般人よりも影響力が強いため、民衆を混乱させたり、不安にさせてしまう恐れがあると判断したためではないだろうか。

 事実、民間のパイロットが見たと言う話はテレビ番組等でも放送しているが、自衛隊のパイロットが見たと言う話は中々聞かないのは、そのためであろう。

おわりに

 皆さん、如何だったでしょうか。

 私は今でもあれが何だったのか解りません。

 成層圏の電離現象、いわゆるオーロラ。

 いや、違う。

 あれはまさしく、何かしらの意思を持って動いていたように見えた。

 未確認飛行物体、UFOの存在を私は否定しない。

 近い将来、このような謎が解き明かされる事を願わずにはいられない。

著 者  宮澤重夫

 平成30年に陸上自衛隊化学学校
化学教導隊副隊長を最後に退官
 現役時代に体験した、地下鉄サリン事件や福島第1原発事故対処等の経験談を執筆中

主な資格等

防 災 士
第2種放射線取扱主任者
JKC愛犬検定最上級

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