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欧州医薬品評価委員会がモルヌピラビル承認を支持せず
2023/03/04
昨日、自己負担になると足かせになる、Merck社が開発した高価なクスリと紹介した 「コロナ」治療薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)について 、
2023年2月23日、欧州連合(EU)の医薬品審査の実質的な最終意思決定の場である 欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、
承認すべきでないと判断しました。 https://www.ema.europa.eu/en/news/meeting-highlights-committee-medicinal-products-human-use-chmp-20-23-february-2023
臨床的効果が示されていないとCHMPは判定していますが、
Merck(M)社は不服を申し立てて再検討を求めるそうです。 https://www.carenet.com/hihyotue/152.html
外来で使う内服薬は2023年2月時点で2つあります。
モルヌピラビルとニルマトレルビル・リトナビル。
2021年10月、モルヌピラビルにより高リスクのコロナ患者の入院/死亡リスクが およそ半減することを発表しました。 https://www.businesswire.com/news/home/20211001005189/en/
その翌月にはPfizer(P)社が、 ニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パキロビッドパック)が コロナ患者の入院/死亡率を89%低下させたと発表しました。 https://www.businesswire.com/news/home/20211105005260/en/
そして、モルヌピラビルは今では25を超える国々で認可/承認されており、 400万人を超える患者に投与され、昨年の売り上げは約57億ドルでした。
M社は今年のモルヌピラビルの売り上げは約10億ドルになり、 P社は今年のニルマトレルビル・リトナビルの売り上げは約80億ドルになると 予想しています。
しかし、
2022年10月に発表されたコロナワクチン接種患者を主とする英国での試験結果では、 モルヌピラビルの入院や死亡の予防効果が認められませんでした。
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4237902
同年11月に英国は軽症者でのモルヌピラビル使用を却下する方針を示しました。
https://www.nice.org.uk/guidance/gid-ta10936/documents/129
また、P社は2022年4月にコロナ患者の同居人(濃厚接触者)に ニルマトレルビル・リトナビルを投与しても感染を防げなかったと発表しました。
https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-shares-top-line-results-phase-23-epic-pep-study
同じく、M社のモルヌピラビルも2023年2月に、 コロナ患者の同居人の感染を減らすことができなかったと発表しています。 https://www.businesswire.com/news/home/20230221005404/en/
軽症化したオミクロンでは、薬を飲んでも臨床的な症状に差がつかなくなったのです。
しかし、日本のコロナ診療ガイドライン(2023年2月10日掲)では、
・発症から 5 日以内,かつ重症化リスクが高く病状の進行が予期される場合には, 抗ウイルス薬(レムデシビル,モルヌピラビル,ニルマトレルビル/リトナビル) の投与が考慮される。
と、軽症、中等症でどちらも使用が認められています。https://www.mhlw.go.jp/content/000936655.pdf
重症化するのは稀なのだから、希望者だけ保険診療で処方すればいいのではないでしょうか。
ゼロリスクのために効果が(期待でき)ないクスリを処方するのは考えものです。