KYCについての考察
こんにちは!Recept代表の中瀬です。
本日はKYCについてお話ししようと思います。KYCとはどういうもので、私として、今後の業界動向を考察してみました。
KYCとは
歴史を振り返ると、KYCは元々マネーロンダリング防止という文脈で生まれ、金融サービスにおいて普及したものです。
https://dojah.io/blog/the-history-of-kyc
このKYCが厳格化されたのが、あの9.11。これを機に、KYCプロセスが世界的に普及していったようです。
つまり、歴史的にもまだ浅いものですね。
そして、ekycと呼ばれるソリューションが生まれました。
これまで本人確認は窓口/郵送などにおいて対面で実施されるのが基本でしたが、日本でも2018年11月に犯罪収益移転防止法施行規則が改正され、eKYCによりオンライン上での本人確認が可能になりました。
これによって、ekycソリューションを提供するスタートアップが隆起していきます。
そして、このekyc市場は2027年では500億円の市場まで成長すると言われています。
確かに中古品販売などいまだにアナログな本人確認を行なっている業者も存在しますよね。
シェアリングサービスの普及
ekyc業界の成長を支える要因として、シェアリングサービスも寄与していると考えています。
C2C取引という今までになかった、消費者と消費者が取引する新しい仕組みは、悪意を持った消費者が存在する危険性を孕んでいます。
では、事業者はどうしているかというと、努力義務による本人確認を行なっています。
想像していただいたら分かると思いますが、tinderなどのマッチングアプリで本人確認の済んでない異性と会うのってなんか怖くないですか?
実際にシェアリングエコノミー協会というシェアリングサービスの一般社団法人ではある要件を満たす事業者は本人確認を導入する案内がされています。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000553648.pdf
今後の需要
このような、ウェブサービスでの本人確認に対する需要は右肩上がりになっていくと予想しています。
2027年には本人確認をオンライン化するekycサービスの市場規模は500億円になると言われています。
顕在化し始めたペイン
では、需要が右肩上がりになっていくekycにおける負とは何なのでしょうか。
それは、果たして毎回ekycする必要があるの?ということです。
クレジットカードなどの金融サービスでは実際に、ekycプロセスが正常に動かなかった(これはユーザーのリテラシーに起因するものも、システムのスペックに起因するものもあります)ことが原因で、離脱してしまったユーザーが相当数います。
また、このekyc、実は裏側では事務のおばちゃんが目視でアップロードされた免許証の画像と自撮り写真を見比べて承認していたりするのです。(もちろんAI化は進んでいます)
要はコストがかかっているわけで、1人のKYCに150円くらいかかったりします。
ウェブサービス事業者はekycを導入する需要(というよりも必要性)が上がっていく中で、ekyc事業者に一定のコストを支払うことになります。
しかし、よく考えてみると、一度ekycが済んでいる人は2回目以降ekycをする必要があるのでしょうか。
その人に対して、ekycが通ってますよ、という情報さえ与えられていれば、事業者は2重のコストを支払わなくて良いのです。
これがreusable-IDとなります。
https://note.com/lovely_donkey904/n/n25cd12a0e57
我々との関わり
最後は宣伝なんですが、我々が取り組んでいる技術領域DID/VCならekyc済情報の使いまわしが可能です。
SSI、ゼロ知識証明、真証性の確認など、様々な要素を持つDID/VCですが、私としては、この
・ekyc情報の使いまわし
・個人情報を企業から解放する
という要素が現代の社会に求められているものだと思っています。
間違いないです。
早く社会に実装したくて夜も眠れません。