ヒストリカルファッゴットのリー
自分のためにだけ細々と作ってきたリードの評判が意外と良いので、販売することになりました。(販売はこちらです)
バロック用のリードは結構長持ちするので、自分用は年間10本もいらないし、同じ理由でそんなに売れるものでもないのですが、とにかく11月1日をめどに販売を開始します。
私の道具
ヴァイオリン用の丸ノミは昔、東急ハンズで購入、その他は自作です。
最近はほとんどコントラ用のカマボコ材からつくりますが、前準備としては
・丸ノミで均一に薄くする
・舟形にシェイプする
・ブレードの裏側を先端にかけて段階的にスクレープする
の手順です。
次にプロファイルマシン(モダン用)で表面をプロファイルします。
ガイドに0.1mm厚の銅板を挟み、モダン用より厚くなるようにしています。
あとの道具や手順は、ごくごく一般的な手順ですが、フォーミング(組み立て)は独特のやりかたです。
独自のフォーミング方法
1日目
・熱湯につける
・ブレードの根本をタコ糸で縛る
・両面ヤスリでべべリング
・マンドレルを回転させないでまっすぐに挿入
・チューブに靴紐を巻いて成型
・靴紐をはずし、針金をかける(第2、第3のみ)
・乾燥
2日目
・熱湯につける
・熱したマンドレルを挿入し、整形
・乾燥
3日目
・タコ糸を外し、第3ワイヤーから糸を巻き、速乾ラッカーでコーティング
・ブレードの整形
・水につける
・熱したマンドレルを挿入し、整形
・第1ワイヤーはかけずに放置
仕上げ
・仕上げの前に第1ワイヤーをかけ、ブレードを切り離す(長めに)
・リーマーでチューブの整形
・ブレード先端のハーフムーンとサイドエッジをスクレープ
・鳴りがよくなるまで、色々とスクレープを繰り返し、先端をカットする
・スクレープと先端のカット繰り返し、全体のバランスを整える(要所要所の厚さ、全体の長さ)
スクレープとは
刃を寢かせて、静かに軽く斜めに動かして繊維をならすこと
(手首の円運動で削るのはNG、削ってはいけない)
完成の目安
・リードの根本、中程、先端近くを咥えて、同じ圧力の息を入れたときに同じように反応すること。
・high g が当たること、high a にスラーで上がれること
(ピンチングというテクニックです、ただし私の楽器はウイングKEYがあります)
私の考え方
・ブレードの根本から第1ワイヤー付近までの内側の容積・形状
(私はルーム、と呼んでいます、以下ルームという)
・同じサイズのリードはルームがリードのキャラクターを決める
(ブレードではない*ブレードは吹きごごち吹きやすさ)
・適切なルームが心地よい吹きごごちと良い響きを作る
・ルームが広すぎると音の輪郭がぼやけ、コントロールも困難に
・ルームが狭すぎると音色は薄く、クロスフィンガリングの音に支障がでる