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いい音のかたちは涙のかたちーいい音をつくりましょう
2021-11-05 16:35:21
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「いい音のかたちは涙のかたち」バロックファゴットを初めたころ、オランダのブルース・ヘインズに師事し、京響に在籍していたオーボエの槇 和美さん(男性です)がバロック楽器が目指す音についてこのように語ってくれました。ブルースの言葉だそうです。
*ここからは個人的解釈です。
添付した絵のように音、音程の芯は涙の頂点付近にあると考えて下さい。
弦楽器で言うと左手で押さえている場所。 ヴィブラートはこのポイントからかけます。
安価なマイクでのデジタル録音やチューナーはこの音程の芯付近の音しか拾いませんので、練習を録音しても、それは本当の音ではありませんので、気をつけてください。
下膨れの部分が複雑な低い倍音です。ここには耳に聞こえない周波数も含まれます。いわゆる豊かな響きと共鳴の部分です。秘密はここにあります。この部分は、倍音を拾って混じる、お互いの音が増幅する、ハモル、響き合うために大切な部分です。ここが貧弱だと正しい音程で演奏してもハモりにくいので、オケの音がホールを鳴らすような響きにはなりませんし、自分の音が合っているかどうかの、子どもでも自然にできる判断が、できにくくなります。
音程の芯付近に高い倍音がキラキラしているのが良く通る音です。ここにも耳に聞こえない波長も混ざります。最も魅力的な部分です。いわゆるソリスティックなサウンド。
非協和音の第7倍音以上、雑音の多い、第10倍音を減らしていくと透明感のある美しい音に近づいていきます。( 楽音としてもっとも大切なのは第2倍音から第6倍音まで)
音を作る基本はピアニシモです。そしてフォルテもピアノもピアニシモも同じ「涙の形」です。 フルトーンでたっぷりとしたブレスを使っても、音の芯にちゃんと寄りかからないと正しいフォルテにはなりません。圧力と支えをそのまま、音の芯に息をあてたままで、息の量を減していくときれいなピアノになりますが、このときは少ない息をささえるので、フォルテ以上にしっかりとお腹のサポートが必要です。ピアニシモで1分くらいロングトーンができるような奏法が完成すれば、あきらかに音は変わります。