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困ったときの...というわけではないけど


某レーシングチームのロゴに似ているけど、ちゃんと許可をもらってるとのこと

約1年ぶりに、通称「バイク神社」と呼ばれている神社にお参りしてきました。


友人から久しぶりにツーリングのお誘いがあった。
昨年も何度か一緒に走ったりしたのだが、今年になってからは初めてのこと。
私の住むところとは山一つ隔てた場所に住んでいて、こちらに来て景色の良いポイントを案内してほしいという。
一も二もなくOKの返事をする。
ここのところ気分が落ち込んでバイクに乗る気になれなかったが、友人と約束を交わしたことで少しワクワクしてきた。
何をするにしてもワクワクは大事。未来への期待感が気分を高揚させる。
いつも走り慣れた道でも、シチュエーションが変わるとまた違った感じ方があり、発見がある。天気や気温、道路の傷みや路面状況、刻刻と変化する瞬間を駆け抜ける。楽しみだ。
ところが前日、一変して友人からキャンセルの連絡が入った。
バイクの調子が悪くて、とても気持ち良く走れる状態ではないし、迷惑をかけそうなので次の機会にしたいとのこと。
私の乗っているのも古いバイクではあるが、友人のはさらに古い車種である。それでもこの冬にエンジンなどをオーバーホールし、完調に仕上げたはずだったが、どうにも不調が解消しない部分があり整備をし直すのだという。
友人は自動車整備工場を営んでいるのだけど、バイクは別の仲間に整備を頼んでいるらしい。そこの都合もあって、すぐには取り掛かれないらしい。

残念だが仕方ない...

気持ちが高ぶってしまっていたので、独りで出かけることにした。
ちなみに私は独りで出かけることのほうが多い。気の合う友人や仲間と一緒も楽しいが、気兼ねなく休んだりルートを変更したりできる気楽さがある。
行き先を決めないで出かけることもしばしば。
思わぬ発見があって、それもまた楽しい。

いろいろ考えた末に「バイク神社」に行こうと思い立った。
「バイク神社」と言っても御神体がバイクとか、ライダー&バイカーだけが参拝に来る訳ではなく、ただ単に宮司さんがバイク好きで、境内に自分のバイクを展示したり、交通安全祈願の御祈祷をしたり、お守りや御朱印を頒布しているだけで普通の由緒ある立派な神社である。

さて当日の朝、目を覚ますと体が重い。なんとなく気分が乗らない。前日までの高揚した気分はどこへやら...
空は晴れ渡り、青空が広がっている。気持ちのいい朝だ。
朝の光を浴びて外の風を感じながら、少し気持ちを奮い立たせる。
たぶん今日は絶対に良い日になる。そう思って。
ライディングウェアに袖を通し、装具の確認をする。何か起こってはならないが安全装備は必須。
バイクも必ず運行前点検をする。弛みそうなところには工具を当てて確認。ライトやウインカーなどの灯火類、ブレーキの効きも大丈夫。タイヤをチェックし空気圧の調整をする。
だんだん気持ちが晴れてスッキリしてくるのがわかる。
バッテリーの電圧も充分。三週間ぶりにエンジンをかけて走り出す。

初秋の空の下、田園風景や木々の生い茂る山裾を駆け抜ける。
幹線道路ではなく、少し郊外の信号の少ない道を選んで走る。
何度も通っているルートだけど、先日の大雨で路肩が崩れて片側交互通行となっているところが数か所あった。床上浸水した地区もあったらしい。最近各地で豪雨被害が多くなった気がする。道路や河川の治水など、インフラの老朽化も一つの要因かもしれない。早期の復旧と対策を願う。

境内にバイクが…宮司さんのものらしい

山間を抜け、市街地に入り目的地の「バイク神社」に到着。
今日も多くのライダー&バイカーが参拝に訪れている。それでも天気のわりには少なめだろうか。
駐輪場にバイクを停め、鳥居をくぐって参拝に向かう。
社の中から安全祈願の祝詞を詠む声が聞こえてくる。宮司さんも忙しいようだ。
新しいお守りを入手した。今回は交通安全と目標達成の二つ。いつまでも沈んでばかりはいられない。少しずつでも前に進もう。
神社の境内のベンチでしばし休んでいたら、御祈禱を終えた宮司さんが戻ってきた。1年ぶりに訪れるというのにちゃんと覚えていてくれたことに感激する。
アイスコーヒーをごちそうになりながら宮司さんにも近況報告。
うちにお参りすると良いことがありますよ!と、励ましを受ける。こういうひとことが本当にありがたく、心に沁みる。
参拝の記念に写真を撮ったり、日陰でぼんやりと休んでいたがそろそろ帰ろうと思い、腰を上げる。
宮司さんにもう一度挨拶したかったけど姿が見えない。忙しいようなのでまた今度。

これも宮司さんのバイク

帰りのルートをどうしようかと思ったが、来た道を戻ることにした。
小休止しようとダム湖横の駐車場に入ったとき、横に見たようなバイクが並んだ。
約束をキャンセルしたはずの友人がそこにいた。

友人が追いついてきた

どうしても一緒に走りたくて、調子の戻らないバイクを引き取りに行き、帰りのルートを予想して走っていたところ、偶然にも私が前を走っているのを見つけて追いかけてきたのだという。
なんというタイミングだろう。こういうことがあるからバイクはやめられない。
オヤジ二人でダム湖から上がる噴水を眺めながらソフトクリームを食べる。
ここでも近況を話しながら笑いあう。会えて良かった。
途中の駐車場まで少しランデブー走行する。また連絡すると言って友人と別れ、私は山越えルートへ。

ずんだ味のソフトクリーム

山を越えて地元に戻ってきたが、まだ少し日も高い。急に海が見たくなったので海辺へ向かう。
海を見ながら波の音を聞いていると心が落ち着く。そういえば何かあるといつもここに来ている。同じようなところにバイクを停め、同じように休憩し、同じように海を眺める。
たぶん、自分にとってここは気持ちを整理するためのランドマークなのだ。
夕暮れの近づく海岸線を走りながら、そんなことを考えた。

いつもの場所で

だいぶ日が暮れるのが早くなった。朝晩の風も涼しさを増し、秋の深まりを感じる。もう少しすると北から紅葉前線が下りてくるだろう。
秋が過ぎ、冬が来て、また春が来る。
季節は巡る。




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