
モスコビッチとロシア経済(7月~11月)
(6,148 文字)
7月16日:露自動車メディアのコラム(参照元のURLは消失)
モスコヴィッチ工場が高級官僚に譲り渡される理由
役人に大切なのは、勤勉さだ
命令を受ければすぐに、実行し、細かく報告する
キャリアの全ては、ミスを隠し、時間通りに報告する技術にかかっている
理想の役人は、命令されたときだけ息をしてそれ以外は、景色に紛れて目立たないこと
しかし、突然、フランス人がモスクワのど真ん中、クレムリンからわずか8キロのところにある、高級住宅地として最適で貴重なルノー工場を放棄した
反射的に、ボロジノの戦い(注:侵略してきたナポレオンにモスクワで逆襲した)のときよりも遠くまでフランス人を追いはらい、土地を奪い、家を建て、縁石を作って酔っぱらっている
しかし、国民は不安だ、フランス人以外にドイツ人と日本人も逃げ出してしまった
技術もなく、モノづくりも知らず、自動車業界に関わったこともなく、ただ(注:プーチンを)喜ばせるセンスだけで即興で演奏しなければならないのだ
(注:プーチンあるいは官僚が)最初に成し遂げたことは、この工場を「モスクヴィッチ(注:ソ連モデルの自動車)」の工場に変更したことだ
新しい総責任者と新しい車のプラットフォームを(2つ、あるいは3つ)用意し、年内には600台の商用車と、コーヒーメーカー(あるいは掃除機、または電気自動車)を組み立てるという
できた?
しかし、出世街道を進むには、もはやその場限りの約束ではなく、動く工場が必要だと分かったようだ
そこで、モスクビッチ工場でトリアッティー(「トリアッチ」にある工場。「トリアッティ―(安上がりな食事)」に掛けたシャレだと思われる)LADAを作ることにしたことで、彼らが抱いていたものが幻想であったことを明白にした
これは恥というより、スキャンダルだ
AVTOVAZは昏睡状態なので、モスクワへ行くどころか、感覚的、習慣的に仕事をすることもできない
KAMAZ(注:大型トラックメーカー)が代わりに行うというアイデアすらあった
しかし、国に押し付けられた電化計画「オーラス」(注:クラウンのような高級セダン車)を強行突破でなんとか乗り切ったばかりのKAMAZは、身の危険を感じ、余裕のない自社のプラットフォームについてもごもご言って、巧みに身を引いた
KAMAZの離脱は、(注:官僚たちにとって)断頭台に乗ったようなもので、言葉だけではなく、幻想から具現化への移行を余儀なくされた
そして、実在しない工場で、実在しない(複数の)車両モデルの発表会が行われることになった
閑散とした工場とJAC社(注:中国自動車メーカー)の三流中国製自動車の写真が映し出された
上からは感謝されず、下からは恨まれた
モスコビッチではなく、中国製になったことは、虎の檻に「象」と書いてあるのを信じるような、見境の無さで軽蔑された
しかし、時が流れ、人々は戸惑いながら緊張して二階席で待っているのに、工場もパートナーも、鞭打つ少年も出てこなかった
そして、イランが登場した
虚勢を張り、どこかで妥協して 重荷となっている自動車産業を、前世紀の、手入れされていない形成外科されたプジョーのテーマの5つのバリエーションで…(注:イランの自動車メーカーに依存しなければならないという筆者の気持をご推測ください)
しかも、中国の噂は中国以外の国々から否定され、イランの協定はイラン自身も含めた全世界から否定された
(注:プジョーの工場の後釜に中国企業やイラン企業が入ると言う噂が出たが、両方とも実現しなかったことを指している)
その後、ののしり合いで傷を負ったKAMAZが壇上に上がり、その達観した気質とモスクワの役人を救おうとする熱い思いを説得力なくアピールすることになった
すでに5種類のモスクビッチトラックを中国で生産している、とっくに中国に寝返っているKAMAZが、何もない工場で何かを始めるという当てにできない約束をした...
結局、モスコビッチの生産は開始されず、今後5年間は国内の新車は期待できず、材料も技術も部品も国内自動車産業の手に負えない
モスクワ市長は予想以上に狡猾で、この万人の感じる無力感に対し、工場跡地を高級住宅地の開発の優位性として正当化しようと、次々と馬鹿げたパートナーを立てて破滅に向かっている
7月28日:ロシアの自動車産業は最も深い昏睡状態に陥った
深い昏睡状態に陥った露自動車産業
トラック工場も含め、全自動車工場のうち比較的安定操業しているのは5、6工場だけです
単純に、生産台数が少ないことは明らかです
そして、それは本当なのです!
露連邦国家統計庁が作成した最近の報告書が示すように、今や患者は生きているというより、ほとんど死んでいると言った方がよい
露自動車メーカーは6月に13,000台の生産にとどまり、前年同月比89%減である
トラックの場合は、そこまで悲惨な状況ではない
Компании社(注:露トレーラーメーカー)工場は、前年比40%減の10,300台を市場に供給できたこのように、露の状況は極めて不健全です
もともと、トラックは乗用車ほど多くは作られていないからです
乗用車業界にとって、夏の最初の1カ月は転機となったことを告白したい
実はこの時、AVTOVAZは「危機回避」のためのLADA Grantaの製造を準備し、長い操業停止の後、ついに始動しました
ちなみに、新しい国家計画では、2022年モデルのLADA Granta Classicを543,120ルーブルで購入できます
このような魅力的な価格設定により、多くの露人が母国の自動車メーカーの製品に目を向けるようになると期待されています
また、トリアッティ工場ではSUVのLADA Niva の生産が再開されており、Niva Travel と Largus はまもなく組立ラインに戻る見込みです
これにより、露の自動車産業全体の生産統計が著しく改善されることは明らかです
8月3日:7月のロシア自動車市場の統計データ
露新車販売台数、5月(27,458台)に底を打ち、6月(32,731台)よりも9%増加
中国車のみ輸入されており、それ以外の外車在庫は枯渇している
過去7ヶ月間の新車総販売台数は前年比でほぼ6割減


8月8日:高級外車中古車の売り手が増加
8月9日:高級外車の中古車価格が暴落
戦争開始以前、1月の水準まで下落
10月4日:大型トラックが在庫不足・スペアパーツ不足
大型トラックも、スペアパーツも不足し、価格が高騰している 中国が唯一の頼みの綱だが、中国からの並行輸入も、代替メーカーもほとんど頼りにならない
10月19日:KIRA MORTORSがロシアの電気自動車市場に登場
ほぼ10年前に学生たちが電気自動車を作ったことで始まったKIRA MORTORSという会社がウガンダにある
アフリカで初めて電気自動車を製造・販売開始した大学生たちが始めたスタートアップ企業だ
この企業が、ロシアの電気自動車市場に参入すると話題になっている
(人種差別的な意図が見える箇所がありますが、原文をできる限り忠実に解読したものであることをご了承ください)
露自動車市場への黒人の入植 KAMAZトラックとウガンダの自動車の交換
露は中国自動車メーカーのところまで落ちぶれた
そして、中国車より悪くなるとは思ってもいなかった
しかし、その後、さらに下があることが分かった
イランの自動車産業が参入し、さらに下に落ちた
そして今、ウガンダの自動車産業がやってきたことで、それすらも、底ではなかったことがわかったのです
露では今、分野の違いこそあれ、毛沢東の「大躍進」を演じている
1958年、中国は鉄鋼製錬で英国を追い越そうと考え、全ての広場に溶鉱炉を設置することに躍起となった
大躍進のように、前提条件も、可能性も、技術も、需要もないのだ
露は電気自動車をまったく必要としていないし、欲しくもない
しかし、露における交通の電化コンセプト予算には6000億ルーブルが含まれていて、中国が至る所に溶鉱炉を設置したように、彼ら(政府・官僚)はどんな集団農場(注:皮肉)にも喜んで予算を使うのである
電気自動車が必要なのだと、懸命に世界に宣伝しているのです
そして、露人の電気自動車への求愛は、主にアフリカに伝わったのです
ウガンダは伝統的な、アフリカの貧しい国です
GDPでは世界第201位
人口の3分の1は貧困ライン以下です
産業がないのです
ガイドブックには、ビール、砂糖、タバコ、そして織物などの生産が書かれている
大統領は6期連続の任期中であり、辞任するつもりはない
しかし、ウガンダは電気自動車を持って露にやってくる
貧困にまみれた中で、どうやって電気自動車を持ってくるのだろうか?
以前、大学の学生たちが、インド市場向けにバッテリー駆動のトロッコを作り上げた
そして、RLEインターナショナルのドイツ人たちに、わざわざ成功だったか確認したのだ
礼儀正しいドイツ人たちのうなずきを、ウガンダ人達は「成功」だと受け取った
白人たちの反応に満足した彼らは、自分たちをイーロン・マスクと同レベルのエンジニアだと思い、当局から650万ドルを受け取って自動車工場を建設、一瞬にして大統領府の管理下に入り、大統領は慈悲深く96%の株式を取得した
こうしてウガンダは、KIRA MORTORSの革新的な工場によって、自国の自動車産業を手に入れたのである
高等教育を受け、資金調達に奔走し、白人たちの反応に喜んだ黒人たちは、航続距離80kmの学生向けコンセプトカー「Kiira EV」に航続距離500kmの電気スポーツクーペ「Kiira EV Smack」を加え、車種を増やした
そして、さらに4000万ドルを得て、Kiira Kayoolaバスを作りました
ウガンダのどこから車の部品を調達しているのですか?
もちろん、中国です
しかし、独自のものもあります
ブレーキパッド、シート、バンパー、セルフタッピングネジ、ナット、電気時計などを生産しています
Kiiraは3台とも表情豊かなアフリカンデザインで、シャーマンの儀式ダンスで悪霊を追い払うために使用することができます
しかし、追い払わなくても、悪霊はウガンダの自動車産業の惨状を見れば、パニックになって去っていくだろう
しかし、そこで資金が尽きてしまい、トラックはラインナップにまだ無かった
それで、地元の有力者は、少し前まで自動車だけでなく、武器や食料、機械などをソ連から調達し、共産主義を築いていたことを思い出した
もう一度、露にアピールしてみようか?
玄関先に外交官や大使、大統領府の職員など、種々の黒人の群れとその後ろのエレクトロニクスのスペシャリストが現れた
彼らはトラックを欲しがっている
その代わりに、コーヒーやバナナではなく、露で生活するのに欠かせない電気自動車を提供する用意があるのです(注:もちろん、皮肉)
ウガンダの申し出は、非常に断りにくい
電気自動車をもらって、アフリカでKAMAZのトラックを組み立てるための機械セットを与える
政府が書類に署名し、KAMAZが喜び、次に、読者のみなさんと私が、露でウガンダの電気自動車に酔いしれる番です
10月21日:ISUZUはロシア国家の支援を拒否したが、まだロシアを離れていない
露政府は、合弁会社ISUZUソラーズ、露産業貿易省、およびウリヤノフスク州の間で締結された特別投資契約 (SPIC) の終了を承認した
この出来事はこれだけでは、あまり意味が無い
それは工場の閉鎖やロシアからの完全撤退を意味するものではありません
しかし、それは、その方向に向かっているようです
2018年、合弁会社 Isuzu Sollers は、自動車業界で最初の企業の 1 つとして、当局と特別な投資契約を結んでいた
2021年、この国際提携によりデリバリートラック「UAZシティ」が誕生し、2023年には、例えばエンジンなどの主要部品の生産を日本が現地化することが予想されていた
しかし、今、それは無かったことになった
一般に、ISUZUは他の外国自動車メーカーと同様、国家的な利益を期待して合弁事業に署名した
しかし、2019年に当局が廃車補償の仕組みを変更し、現地化の度合いを強めたことで、日本人にとってこの契約は現実的な意味を失った
そのため、契約条件の見直しを計画していた
このことは、昨年の段階で、ISUZU自動車露社のファブリス・ゴリエ社長が言及していたことだ
しかし、結局、日本側は調整を中止し、SPICを解散させた
他社同様、ISUZUもロシアとの分断を考えているという噂が以前から流れていたので、驚くにはあたらない
次のステップとして、ソラーズ社との合弁事業から撤退する可能性が濃厚だ
なお、SPIKの終了は、ISUZUソラーズ合資会社が長年にわたって受けてきた(優遇措置による)全利益をロシアへ返還しなければならない
しかし、これについては何の問題もない
日本側は「優遇措置は使っていない」と言い、産業貿易省もコメルサントにこれを認めている
10月27日:ロシア自動車産業界の舵取り:認知的不協和又は、人に対する軽蔑
脱炭素エネルギー率の向上、Euro-6の環境基準、CO2排出量の監視の導入を掲げる一方で、ABS、ESP,触媒コンバーターの無いモスコビッチを作れと言う当局の言葉をどう理解したらいいのか?
「私たちはすでに中国人を技術の第一人者と見なしており、ウガンダから車を輸入しようとしています。ここでどんな『Euro-6』を夢見ることができるでしょうか?」
10月28日:ロシアの乗用車生産量77%減
9月の新車生産台数23,800台(前年比-77%)
1月~9月の総生産台数349,000(前年比-65.9%)
9月のトラック生産台数11,700(前年比-33.8%)
1月~9月のトラック総生産台数103,400(前年比-20.4%)
11月3日:外国中古車の取引が40%増加
ディーラーは新車をほとんど持っていない
中古車の取引が増えたが、同価格で購入できる車は、よりチープになり、交通事故にあうリスクが高まっている
11月16日:モスコビッチ3が認定
コメント欄が阿鼻叫喚で溢れかえる…
11月24日:中国のJACのJS4がモスコヴィッチになる
新たな記録が打ち立てられました
わずか 6 か月で、非現実的な達成目標を持っていた自動車工場が首都で操業開始しました
別のロシアの自動車メーカーがこの国に現れたのでしょうか?
Moskvich 3 が認定を受けたのはなぜ 1 年だけですか?
ポータル「AutoVzglyad」がすべての詳細を発見しました
要約すると、中国からパーツを送って組み立てます。一年契約です。以上。だったが…
撤退したルノーの自動車工場で生産を再開し作っていると自慢してたロシアの「モスクビッチ3クロスオーバー」
— SVR将軍-翻訳速報 (@khuk_jp) November 29, 2022
実は中国からほぼ完成車状態で鉄道輸送され、元ルノー工場にてタイヤとエンブレムをつけてるだけだった事が判明。
元はJAC JS4という中国車。 pic.twitter.com/2nJLu5fIgM
Издание "За рулём" рассказало, как на заводе "Москвич" собирают китайские кроссоверы — это даже не SKD, а DKD (Disassembled Knocked-Down) — т.е. китайцы собирают, а потом разбирают готовые авто, отправляют их в Москву, где их снова собирают.
— Рустем Адагамов (@adagamov) November 27, 2022
ПОЛНОСТЬЮ: https://t.co/v2Mwh8GO2U pic.twitter.com/ZdNUpe2krb
分解→輸入→組立=高級車完成(コスト2.5倍)!! https://t.co/V2PnJKhWaM
— じゅん (@XC77CmyEodb0dix) November 30, 2022
Завод Москвич будет выпускать новый москвич. Полностью весь наш. Я не против заимствований, соединений, сборки иностранных машин. Многие советские машины были репликой или заимствованием иностранных машин. pic.twitter.com/grASq2VpXo
— Kungfuck (@Antidesigner) November 28, 2022
11月26日:ロシアの自動車産業の崩壊に対する戦略的計画、公的資金は何につかわれているのか
そう。当局は、何でもできる。なんでも計画している。なんにでも予算がついている。興味がある方はリンク先をご参照ください。
(つづく?)
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