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4月、ロシア兵の戦争体験記(4)

3,118 文字

志願兵たちの動機

ロシアに帰る数日前、リペツク州出身の男と話をした

リペツク

彼は運転手をしている志願兵だった
多くの志願兵は、ただ誰かを助けたい一心で来たのだ、お金のためではなく、思想のために来たのだ、と私が言うと、彼は丁寧に答えてくれた
「今さら思想の話か?思想が何をしたんだ? その思想に踊らされて…」
残念ながら、彼の言う通りだった...
この男は、我々が40、50、60人という人数で狂った出撃をさせられることをよく知っていた
彼は、40人では話にならない、と言った
彼は一般的に誰にでも分かっている事、つまり、まず空爆、ミサイル、大砲でウクライナ軍の強い拠点を破壊し、それからドルゲンコエに多方面から大規模な歩兵攻撃を仕掛ける必要がありると言った、もちろん、そうすれば成功していただろう

さまざまな人がいた
金と退役軍人証明書を得るためだけに来た、狡猾なベテランもいた
彼らは、後方や検問所のどこか、安全なところで過ごせると確信して来ていた
普通のまともな人もいたが、彼らでさえも月給30~40万ルーブルを稼ぐためだった
しかし、金のためではなく、何よりもまず支援するために来たという人たちもたくさんいた... 誰にとってもお金が必要なのは当然だが、彼らには、給与や補償は二の次で、いろんな意味で重要では無かった、必要ないものだった..

上官への不満

我々752連隊の、第1中隊の志願兵の一人(モスクワ地方出身のパシャ、攻撃直前の4月19日に配属された)は、20日の攻撃に参加し、2度目,3度目の攻撃の後、攻撃参加を拒否するようになり大隊長に対して
「我々をただの肉塊だと思ってるのか!死に追いやるばかりで、自分は絶対に攻撃に参加しない!」と激怒したと聞いてる
スルゴフカ村で指揮していたヴァシュラ少佐は、当初は攻撃に出ていなかった
彼が初めて先頭に立って攻撃を指揮したのは五月の初めになってからだった
4月20日の攻撃のとき、陣形を組み「出撃拒否したら足を撃つ」と少佐は言っていた
私は隊列の中から、それは違法だ、無法だ、と怒鳴った
少佐は答えず、脚を撃つという話題を変えた
あくまで個人的意見だが、大隊司令官は部隊の近くにいる必要がある
大隊が攻撃するのであれば、大隊司令官も攻撃に参加する必要があり、BTRや地下室でじっとしていてはだめだ
例えば、スルゴフカで我々と一緒にいたサハリン自動車化旅団だ
彼らはスルゴフカから500メートルの前線で40人の部隊だった
彼らはウクライナ軍から攻撃を受け、攻撃を受けていると報告した
すると大隊長が22人の兵士と一緒にBTRに乗り込み、助けに行き、2日間共に戦った...
これが本当の指揮官だ...
指揮官が一緒にいると感じられれば、自分たちが評価され守られていると感じられれば、兵士は死ぬまで戦うだろう...
指揮官が平然と悪態をつき、我々をどうでもいいのだと言ってたら、何を偉そうに言えるというのか
まともな士官や将軍は、いつも、普通の兵士を大切にし、尊重していた
最前線に立って重荷を苦難を引き受けるのは、普通の兵士たちだからだ...
ジューコフも、スヴォーロフも、クトゥーゾフも、ロコソフスキーも(注:ロシアの名将とされる人々)、その他多くの立派な将校たちは、そのことを知っていた
私が思うに、非常に優秀な将校はドネツク・ボストーク大隊のアレクサンドル・ホダコフスキー司令官だ 彼は見事な攻撃をする事ができる

ドルゲンコエ攻防戦に関する噂

我々の後に攻撃に出た人たちから、ひどい話をたくさん聞いた...
ドルゲンコエに近づくと、あたりには 死んだ兵士の死体が転がっているそうだ
すでに腐敗して膨らんでいるものもあるとか
また、ある農園ではロシア兵の死体の山ができ、いくつかは木に縛り付けられていたらしい
多分、虐待や拷問を受けた負傷者たちだろう
誰が責任をとるんだ!一体誰が!
負傷者が三日間も塹壕の中にいて、誰も救出できなかったそうだ
そして、バンデラ達(注:ウクライナ人に対する蔑称)が夜中にこの農園を徘徊し
「ロシア人、降伏しろ!」と叫び、銃声が聞こえていたという
きっと、負傷者を殺しているのだ

仲間が捕虜になり、バンデラ達に野原を歩かされるのを見たとも言っていた
それを見た我が軍は、彼らとウクライナ軍をまとめてATGMで攻撃することにした

ПТУР/ATGM(対戦車誘導ミサイル)

彼らが捕まってウクロップ(ウクライナ人に対する蔑称)から拷問されないで済むように
きっと、亜人連中の手で何日も拷問されるより、即死する方がましだと思う

752連隊の損失

特筆すべきことに、我々、752連隊の恐ろしく狂気じみた突撃にもかかわらず、それでも志願者の10〜20%が残った
彼らは非常に強く、勇気のある人たちだ
ウラジミール曹長、 彼はすべての攻撃(5回)に参加し、一度も負傷しなかった
42歳で、運動神経が良いとは言い難く、体重もかなりある
少なくとも、最後に彼を見たときはそうだった
思うに、彼のような人こそ本物の男であり、彼が無意味な攻撃に使われるのはとても悲しいことだ
一般的に、これまで話した西部軍管区軍と東部軍管区軍の両方とも、多くの人々が闘志を持ち、どんなことがあっても最後まで戦う決意と意欲を持っているということは言っておかなければならない
バンデラのクズを最後まで叩き潰す気持ちと覚悟がある
それが事実だ

喜劇的なほどに悲惨なロシア軍

これが戦争というものであり、犠牲が避けられないことを私は理解している
私は攻撃に参加する心構えはできている
もし、死傷者として20〜40%を失う程度で、指示された位置を占領できるなら、それは部隊の能力の範囲内だ
その部隊は、攻略不可能な陣地に投げ出されたわけではない
 困難な突撃が成功したあとに未経験者を何人も抱えて、翌日、あるいは翌々日に敵陣への突撃に放り込まれるのではなく、1週間とは言わないまでもせめて数日の休息と回復の時間が与えられるなら、理解できるのだ...
(注:一般には、兵士の30%程度の損耗を受けた場合、その部隊は戦力として数えることができなくなり、部隊「全滅」とされる。)

こんな話も聞いている
8機のヘリコプターに攻撃命令が下された
8機のヘリコプターのうち、離陸できたのは2機だけだった
他は壊れているか、燃料がないかしていた
1機だけが、目的地に向けた攻撃に成功したそうだ
全部の攻撃が目標に命中したわけではない
というか、本当は目標の80%に命中していない
それなのに、指揮官は上官に「すべて順調です、全目標を撃破しました」と報告した
本当かどうか確かめようがないが、私は本当だと思ってる
これで、どうして人命と車両の甚大な損失が起こってるのか、私には理解できたからです
わかりますか?
上層部の指揮官は、全目標が命中したのだから、戦車を持った歩兵をこの地域に突撃させていいと考えるのだ
その結果、戦車と歩兵が出動し、ありとあらゆる兵器で砲撃される...

東部軍管区軍は西部軍管区軍より何倍も組織的で戦闘力があると思います
東部軍管区軍がキーウやチェルニヒウ付近にいたときの損失は、西部軍管区軍がハルキウやイジュームにいたときの損失よりずっと小さい
それが私の理解です
それに、車両数もはるかに多いと思う
二つの軍管区の戦闘能力にこれほどの差があるのか、理由は分からない

とはいえ、いろいろ話を聞いたが、東部軍管区軍も大きな損失を出しているそうだ
突撃戦にも投入されているようだ
それでも、東部軍管区軍の攻撃は、我々752連隊のような絶望的で狂気じみたものと同じとは思えないが....
(つづく)
参考:


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じゅん
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