4月、ロシア兵の戦争体験記(5)
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銃殺刑
極めつけは、イジュームで仲間の一人が耳に挟んだ、我々の運命をどうするかというFSB職員たちの計画だ
彼らはいくつかの選択肢を相談していたようだ
契約を解除してロシアに送り返すのではなく、何人かを使って TikTok ビデオを撮らせ、志願兵として戦場に来ることの素晴らしさをアピールさせ、新しい志願兵の勧誘に使おうとか
あるFSBの大佐は、夜に連れ出し5人ずつ撃ち殺せば残りの人間は復帰に同意するだろう、と
他の幹部たちは「正気なのか?」と言うような丸い目をしてこの大佐を見ていたという
だいたい、この銃殺の案はいつも話が盛り上がっていたから、多くの人が本当にびびっていた
スルゴフカでは、攻撃命令を拒否したら足を撃つと言ったヴァシュラ少佐がいたが、イジュームには我々752連隊のザンポリート(政治将校、FSB)が、攻撃に行かない兵士の足元をアサルトライフルを撃っていた
その時までに、30人くらいは命令拒否がいたそうだ
本当に銃殺しそうになって、その大佐は銃を取り上げられた
しかし、注目すべきことに、「撃たせろ!」という人も多かった
ここで死んだ方が、少なくとも遺体は全部親戚に渡って、ちゃんと埋葬してもらえる..
爆弾でバラバラにされて塹壕で腐ったり、ウクライナの捕虜になるよりましだ、という意見だった
第二次チェチェン戦争やシリア戦争の経験者は、「ウクライナに比べれば、あれは子供の遊びだ」と言っていた
ウクライナの方が10倍は大変だと
注:ロシア軍の階級制度
元帥・将官(上級大将>大将>中将>少将)>佐官・上級将校(大佐>中佐>少佐)
>尉官・初級将校(大尉>中尉>少尉)>准士官(上級准尉>准尉)
>下士官(曹長>上級軍曹>軍曹>伍長)>一般兵(一等兵>二等兵)
帰国
5月8日の朝、ロシアに出発した
昼過ぎには、ロシアに着いていた
目の前で、契約は破棄された
その日の夕方、ヴァルイキで中央軍管区第3機動ライフル師団所属のガソリンタンカーの運転手に声をかけられた
西部軍管区軍のガソリンタンカーが無いので、中央軍管区から来た多くのガソリンタンカーの運転手がこの辺でぶらついていると彼は話してくれた
戦争が始まったせいでこの地域のガソリンタンカーが出払ったに違いない、と彼に言うと、
「そうじゃない、この地域のガソリンタンカーは最初から機能していなかった」と彼は言った
なんでそんなことがありえるのだろうか?
国境から20〜40キロの西部軍管区軍の師団に実働するガソリンタンカーが無かったなんて、そんなことが、ありえるのか?
その男はいい人だった... とても勇気のある人だった...
彼らもまた、大きな損失を被っていたのだ…
彼はイジュームに2週間滞在し、その後、燃料を調達するために数日間ロシアに戻る、そのときGradやTochkha-Uの砲撃を受けることが非常に多かったそうだ
20~40台の車列で、何の護衛も無い
それで自腹で無線を買って、連絡を取り合った
途中でGradで砲撃され、すぐにみんな道路から離れ散り散りになった
20kmほど離れたところで無線で連絡を取り合い、全員集まったが、そのときにはガソリンタンカーは2台がやられていたそうだ
しかし、最近、ドンバス民兵から車輪のないBTRをもらったらしい
それを修理して、5月9日になって、ようやくBTRの援護が得られるようになった
あと2,3台どこかで見つかったらいいよね?
もはや、ギャグとしか思えないレベルのZ脳
私がウクライナにいたとき、「4日間でウクライナを占領する計画だ」と何人もの軍人が言っていた
これについて、何と言うべきだろう?
計画した人は「天才」です
当初、約22万人の我が軍がウクライナに入り、電光石火でウクライナ軍を撃破したとしても、キーウ、ウクライナ南東部、その中心部を占領するには少なすぎる
私の考えでは、そのためには少なくとも60万人の訓練された軍隊が必要だった
そうすれば、もしかしたら、うまくいったかもしれない
残念ながら、起こってしまったことは、仕方ないのだ...
最初の計画を完遂するには必要な人員が壊滅的に少なかったため、戦闘の初期段階でこれほど大きな損失が出てしまった
多くの人が言うように、これらの損失は当局によって隠蔽されている
そして、その損失の多くは、最も優秀で、最も大胆不敵で、最も用意周到な者たちの死なのだ
結局のところ、普通、どんな人が攻撃集団や隊列の最前列に行くだろう?
指揮官と、最もよく準備された、最も強い戦士たちだ..
何が怖いかって?
ロシア連邦放送が、前線では全てがうまくいっている、特別作戦は計画通りに進んでいると言っていることだ
私にとって、それはしばしば下品で、不謹慎で、うんざりするような嘘だ
全てが計画通りに進んでいるとは到底思えない
絶え間のない嘘が続くので、連邦政府のメディアで戦争について人々が言っていることは一言も信じていない
また、ロシア当局の公式発表も、もう一つも信じられない
ペスコフ(報道官)も、他の人物も
ロシアでは当局に対する批判は全て潰されている
普通ではないし、間違っている
批判は必要だ 当局の誤りや欠点を全て明らかにするのだ
しかし、ロシアでは当局を批判することはできない
そんなことで、ウクライナで負傷し、死亡した何千人もの兵士に誰が報いるのだ?
捕虜になった何百人もの拷問された兵士の代わりに誰が答えるのだ? 一体誰が?
正気でない無駄な、自殺行為のような攻撃に我々をぶち込んだ責任を、誰が取るのだ?一体、誰が?
もしロシアにジューコフ、スヴォーロフ、ロコソフスキー、クトゥーゾフ(ロシアで名将とされる人々)のような将軍がいたら、全てが違っていただろう
まともな将校であれば、兵士を気遣い、保護する
なぜなら、第一に、どんな戦争でも、彼らの肩、命、健康、献身、努力によって勝利が達成されることを理解しているからだ...
戦争を始めるべきだったかどうか、それは別の話だ
戦争は常に恐ろしいものであり、何としても避けなければならない
しかし、ウクライナがドンバスの平和な住民を8年間も砲撃し続けたことは、100%事実だと思っている
ウクライナ軍がドンバスやクリミアを攻撃できたのも事実だ
また、モスクワに5~7分で届く核ミサイルを米国がハルキウに置こうとしていたとも思う
米国が、普通の都市に核兵器を使用することは目新しいことではない
広島と長崎を思い出せばいいのだ
しかし、これらのことはさておき、ウクライナにはロシア人を憎み、殺すべきだと言い、悪態をつかなければ言葉を繋げることができない、怒りっぽい、邪悪で愚かな(もし、それを人間と呼べるのなら)人々が多くいたことに注目しなければならない
バンデラやナチズムの思想がウクライナでは非常に強いのだ
実際、2014年以降のウクライナの公的な当局者は、「ウクライナはロシアと戦争している」と言い続けていた
そして、ウクライナの政治はすべて親バンデラ主義で、言語、文化、ロシアに対して肯定的な態度をとる人々だ...
ウクライナの全てのロシア文化の破壊を目的としていた
また、私の意見では、捕虜を虐待し、傷つけ、殺すのは、人間ではないクズだけにできることだ
そのような亜人は物理的に破壊されなければならない
これが私の意見です
だからこそ、あの戦争に行ったのだ
そして、戦い続け、堕落した人々を滅ぼす覚悟がある...
ただ、今まで思っていたような司令部とは違いあるが...
ウクライナには、他国と同様、政治に無関心で、ただ平和に幸せな生活を送りたいと願う、善良で親切で平和な人々が多くいることに注目することも大切だ...
2014年から、YouTubeでウクライナの政治家、ブロガージャーナリストのアナトリー・シャリイとジャーナリストのオレシャ・メドベージェワを観ている(プーチン・ロシアのプロパガンディスト)
だから、ウクライナにいなくても、そこで何が起こっているかはかなり知っていた
一般的に、すべての戦争は、人間(人類)が謙虚さを失ったときに始まると思う
謙虚さを失うと、邪悪で、狡猾で、嘘をつき、嫌悪感を抱く
ウクライナ人はしばしば嘘をつき、権力者に都合のいいことを言う
私の考えでは、アナトリー・シャリーやオレシャ・メドベージェワは、ジャーナリズムの金字塔と言えるだろう
一人でも多くの人に私の記事を読んでもらい、現場のリアルな状況を知ってもらいたい
そして、最高司令官であるプーチンにぜひ読んでもらいたい
コムソモリスカヤ・プラウダ(ロシアの国営新聞社)編集部に働きかけているところだ
もしかしたら、掲載されるかもしれない
外国の出版社にも連絡を取ってみる
もしかしたら、出版されるかもしれない
人々は真実を知る必要がある
大統領府、FSB長官、軍の検察当局に連絡しようと思ったが、戦前から法執行機関の事は理解してる
彼らは信じられないし、彼らが法律や正義に従って処理できるなんて信用してない
誰だって信用してない...
書いたものは全て、誠実に書いた
自分の目で見たもの、目撃者から聞いたもの、様々あるけれども...
我々の「勇敢な」法執行機関が、私に対し何ら刑事手続きを開始しないように願っている
私はいかなる秘密も、我が軍の所在地も明かしていない
また、ウクライナにいたときから、既に1週間以上が経過しています
作戦上の配置も既に変更されています
そして、我が軍の前線で犯罪的な嘘の報告がされていることは、ウクライナ軍にもすでに知られています
ウクライナ軍が我々の軍隊について「まあ、これが栄光のロシア軍だ」と嘲笑しているのを偵察隊は聞いています
また、2014年から8年間、我が国の政治指導者と軍隊が何を準備してきたのか、という大きな疑問があります
一体、何をしてたのか?
ウクライナで我が軍が花と塩とパンで迎えられるとでも思っていたのだろうか?
私の考えでは、この戦争は、ハイエンド攻撃ドローンが、数千機あれば、容易に勝利できたと思います
これほどの巨大な損失を被る前なら…ですが…
(終わり)
参考: