長文(自殺未遂の時の話)

僕が20代半ば近くに自殺未遂して運ばれた時の事をつらつらと。

当時は本当に親も元彼(同棲していた)もが予想出来なかったそうだ。
僕自身だってそんな実行出来るとは予想すらしてなかったさ。
その日はずっとODする事も切る事も堪えて堪えて過ごしていたものの、不眠で眠れてない寝たい、寝かせて欲しい、起きないように寝たいというのもあった。
どうにも苦しく耐え難く、思い切って寝ていた元彼に気持ちを伝えるのに声をかけた。
なぜ起こしてんの?って思うだろうが元彼が「きつくてどうにも耐えれなくて薬をたくさん飲んでしまいたくなったら寝てても起こしていいから、飲まないで切る事もしないでね。」と言ってて僕はその約束を忠実に守っていた為だ。
無闇やたらに起こす事はせず耐えられる限界まで自分の中で耐えなくてはならないと堪えていた。
その日はもう眠れないのと、寝れても数時間と言うのをずっと繰り返していて、かと言ってODは約束を破ることになるからダメだ、切って落ち着かせると言うのも約束を破るから駄目だと言うのが限界来ていた。

耐えきれずにいたがそれでも声だけかけて…と思い約束したように声を掛けたんだ。

何かをきっとこの時に期待してしまったんだろうな返ってきた言葉は「そんな事でいちいち起こさないで。勝手にすればいいじゃん…飲むなり切るなり好きにしなよ。」だった。


約束とはなんだったのだろう?守るためにあるものでは無かったのか、寝てるのを妨げ無いように吐いても何しても耐えて来た僕はなんだったのだろうか。この人にとっての僕とは痩せてた僕が好きだっただけで薬の副作用で太ってしまったから用済みなんだな。浮気もしてるし、要らぬよな。
結婚するとの約束だって嘘だった、結局は嘘吐いて約束しとけば僕はその通りにする馬鹿だったんだな。
くだらない、くだらなさすぎる。
こんな人間に価値すらない、望まないで生まれてんだしもう何もないし、死んだところで誰も悲しむことも無いな。
動けるし、動けたら死ねるし。くだらない自分にさよなら出来てみんなが喜んでみんなが幸せになるんだ。
そうすればいいのに、死なないのは甘えだってなにかでも見たな。


我慢してきた耐えてきた色んなものが崩れた瞬間、残っていた薬を全て飲み痛みを感じて死ぬ事をしないようにと足を切るも痛くない痛くないのは死んでると同じじゃないか。と思っていた。

そして、時間になり元彼が起きた時に「なんでやったの?起こしなって言ったじゃん」と言われた。目をしっかり開けて言い放った言葉を覚えてなかったみたいでね。「起こしたんだよ、4時頃。起こしたんだけど好きにしろ勝手にしろって。そんな事で起こさないでと言ったんだよ」と言うも「それでもやらないでしょ?普通。約束してたのに約束破ってさ」と心底呆れたため息を吐かれた。

飲んで切った僕が悪いのだから一旦頭冷やさなきゃと煙草と灰皿を手に、家の中に煙が入らないようにと内側の引き戸は閉めて、入口に椅子代わりに元彼の道具箱?みたいなのを置いてそこに腰掛けて煙草を吸ってた。

吸いながらずっと色んなことが頭を巡ってたよ。確か吸った本数は2本、ポールモールと言う銘柄の赤を吸ってた。未だにその煙草をコンビニでも見る度に自分が実行した日の事を思い出す。吸いたくはなるのだがどうにもまだ無理だ。


煙草を吸っている間は「自分はなんで生まれてきたんだろ、誰も喜びもしなかったのに。なんで今ここにいんだろ?結婚前提で19で付き合ってもう20も半ばなのにその気配すらなくているのに愛されては居ないからだろうな。愛しても意味は無い、一方的な気持ちの押しつけになってるんだろうなこれも…。だったらこの世から消えてしまえば誰も困りもせず迷惑だとも言わず死んでくれて良かったと拍手喝采になるわな…。ちょうど腰掛けてるのは台になるや…」
と、考えてた。煙草を吸い終えて火を消したところで記憶が途切れてる。
次に覚えているのは目の前に地面が迫っていて、咄嗟に「ぶつかる!」と思って頭を抱えたこと。
ここでも記憶は途切れ、次に覚えてるのは医者に死にたいなら治療しない、本音を言えと言うやり取りを僕は泣き叫んで言ってた事。
そんなの医者じゃないと母には言われたし、元彼にも言われたがむしろとても医者らしい医者だと思うよ。
医者が本来助けるのは生きる気力のある人だと僕は思ってる、死にたい人間を助けたとしてもまた死のうとするだけでさ。
だから、この医者がしたことは正しいと思うよ。
本当に死にたいのか?と言うと問いかけに綺麗事並べて答えたもの。
「死ねば誰にも迷惑が掛からない、誰も困らない、僕が死ねば世の中食べることが出来る人が増える…生きてても迷惑でしかなくて、死んだって誰も悲しまない」
と。この時の医者の顔が眼鏡をつけてない僕が見たのに般若だったよ。
眼鏡なしでは視界がぼやけて見えやしないのに。般若がいたよ。
その返答をした僕にもう一度聞いて来たんだよ本当に死にたいのか?って。
「死ねば楽になる、自分がではなく周りがだ、病気持ってる娘なんて世間体も悪い、生きてたって誰かの迷惑にしかならなくて重荷にしかならないんだよ」
と答えんだよ。般若が地獄の鬼のような形相になってたよ。
そして3度目の問いかけで「本音を言え、死にたいならこのまま何もしないそのまま死ねばいい、生きたいなら全力で治療する。死にたい人間を治療するほど優しくなんざない。医者に変な幻想抱くのはやめろ。本音はなんだ?」と。
ここでね、糸が切れたように泣いて泣いて、泣きながら叫んでたな。
「僕だって生きたいさ!だけど生きてれば結局親にも周りにも迷惑と負担しかかけてない!!生きていいなんて誰一人思ってなくて誰一人言ってはくれない!!!勝手にしなさい好きにしなさいと!だから…死のうとしたんだよ。もう死んでるのと変わらないじゃないか…誰も僕を僕としては1人の人間としては見ないんだから…生きていいなら生きたいよ…」ってね。
鮮明に覚えてんだよこれ。
この時の医者は言葉は強かったが表情はとても柔らかくさっきまでの般若と地獄の鬼の顔が消え、在り来りだが仏様のような優しい顔してたよ。
そして「生きたければ生きろ、誰かの許しも何も要らない、這ってでも生きろ。誰もお前が生きてると見てないと言うなら私はずっとお前を生きてる人として見る。寝てていい、目が覚めれば治療は終わる」と。

当時や暫くはこれは起きてて意識がある中での医者とのやり取りだと思ってはいたんだが、最近はこれは夢だったのでは?と思う。
あの世彷徨ってたんじゃね?と。
理由がねあって、この時の怪我ってのは骨盤と恥骨の骨折で他の臓器や肉体の損傷ってものは無かったんだよ。
無かったのに僕は運ばれてから3日間昏睡状態で集中治療にいたそうだ。
だから親や周りがそんな事ないだろと言うのも今思えば確かになと腑に落ちる部分が多いんだ。
母が言ってた医者は結構年配の医者だったのだと、僕が見た医者は僕と同年代かまだ若い30代くらいに見えた。
3日間集中治療室にいたと言われたが、僕の体感では一晩程だった。
目が覚めた時には「酸素マスクに殺される!」と言って飛び起きた。
母がちょうどいたんだけどものすごく引いた顔で「酸素マスクは殺さないし、あんたは自分から死のうとしたんだよ…」と言われてやっと自分があの後地面にぶつかって運ばれてここにいるんだと理解した。
理解したが母に「昨日だっけ?運ばれたの」とものすごく寝ぼけた発言したもので母に怒鳴られたけど。(集中治療室です)
酸素マスク外したはいいが足が動かせないし体が起こせない。何より少しでも上半身動かすと腰周りへの激痛が走る。
痛みで涙が目に滲みながらなんでだ?と思ってたら看護師と母に動いちゃダメな事とその理由を聞かされた。
確かに治療終わってたんだよ、この時。
母は股関節などに血管の破裂など無いかを調べる為の薬を流さないといけないが、その薬の副作用で他障害などが出てしまうが同意しますか的な書類に同意したと言ってた。
他人事のように返事してたもんで母には「あんたはこんな時ですらも他人事だね」と呆れられたけどな。

ただそんな同意書ってのがあるのかって関心してたんだよ僕は。
他人事に思ってた部分はなくはないけど。
結果は血管の破裂とかもなく、他の臓器や骨、肉体の怪我も無かったとの事。
ただ、救急隊が到着した時には母も現場にいたそうで見た目での怪我の有無を調べるのにズボンの裾を捲った時に傷だらけなのを見て、母は「それは落ちる前にやったものだと思います、普段からあるので」と伝えたそうだ。
腰あたりに怪我をしてると分かったのは、元彼が僕の落下に気付いて動揺したままパニックのままで近所に住まう僕の母に電話してた時、咄嗟に声掛けながら僕の体を起こしたために痛いと叫ぶ声がして只事ではないと、母が直ぐに飛んできたかららしい。

叫んだとか覚えてないんよ、痛いとか叫んだ覚えがないんよマジで。寝てたんだもの。
感覚ではずっと寝てたんよ僕。落ちてそのまま寝たみたいな感覚だね。
だから、自害の後や事件や事故、災害で亡くなった人がその場に留まってたり死んだことがわかってないってのは何となく分かる。
自分の感覚は寝てるだったから、そのままで止まったままならば死を自覚することも難しいのだろうなと思う。
君死んでるよ?って言っても本人は寝てたとかの感覚だと何言ってんだこいつってなるしね。
探求心から自殺を実行した訳ではないが、自分の体験や経験から見るに死後の世界は案外傍にあるし、突然の一瞬の死は自覚するまで時間を要してもなんら不思議なんかないなって思ったな。

自分でも人生の中でこんな事を言うとは思わなかったのが
<酸素マスクに殺される!>
というワード。しかもさ、目が覚めて起きるや否や酸素マスク勝手に外しながら言ってんのよこれ。
苦しかったんだよマジで、酸素マスクって苦しいものだと思わなかったんよ。
原因は目が覚めた、意識がはっきり戻ったことで一気に吸って吐いたもんだから上手く吐けなくて苦しかったんだろうなと。
過呼吸の時の息が吐けない感じの苦しさだった。
吸えない方ではなく、吐けない方だった。
誰か、漫画とかでこれを書いてくれたらいいな。
特に<酸素マスクに殺される!>は好きだ。
まぁ、今のコンプラだのなんだので無理なもんだろうがね。

書いてる内に何を書きたかったか忘れてたが、鬱での死にたいなどの感情や思考に躁状態の動けるが程よく混ざってて、傍目からは元気に見える(自分でも調子良いとか元気だと思ってる)時ほど僅かなきっかけ、歪みで実行に移すのだと言うこと。
よく死ぬのになんでちゃんと道具用意したり計画してんの?って言う言葉を見かけるが、それは前もって何度も実行に移そうとするもしないで済んでたが、もうプツンとなって気付いたら死んでたって状態だろうなと。
遺書とかもそうだ、死にたいを考えてた時に書いてたものだったりするんだろうなと。
自害する人の中には他人を脅してコントロールしようとしたら誤って死んだって人もいるけども。
大半はそのたった1回が最初で最後になってしまった人もいるだろうさ。
計画というか、死ぬ時の事を考えて用意とかあそこで死ねたらとかある中で行動出来る、寝たきりではない状態に逝ってしまったというものだろうさ。

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