閑話(7) いつまで生きたい?
SNSを見ていると、お子さんがいて、告知や余命宣告された方は、
「子供が、〇〇になるまでは生きたい」
と、呟いてらっしゃるのを見かけます。
親として、子供の成長を見届けたいという願いは、当然のことだと思います。
私の母も、私が幼少の頃、一時期危なかった事がありました。
夜、母が倒れ、雨の降る中、兄と2人、通りまで救急車を呼びに走りました。
街灯もない真っ暗な闇の中、雨に打たれながら、不安と恐怖の気持ちいっぱいで、ひたすら兄の背中だけを見つめて走りました。
救急隊員の方が私達に気付くと、家まで、救急車に乗せてくれました。
真っ暗な闇から、明るい車内へ。
救急隊員の方が光って見え、安堵したのを憶えています。
その後、元気になった母は、私にこう言いました。
「三途の川を見たの。それはそれは一面綺麗なお花畑で。
パーッと眩しくて。でもね、神様にお願いしたの。
『娘が二十歳になるまで生かせてください』って。
そしたら、戻ってこれたのよ」
母は、私に、もう大丈夫であること、また、それ程私を大切に思っている事を、伝えたかったのかもしれません。
が、私は、その日から、誕生日を迎えるのが怖くなりました。
何故なら、私が1歳、年をとると。
母の寿命が一年減る。
そう信じてしまったからです。
だから、誕生日はいつも微妙な気持ちになりました。
(小学低学年の頃は、二十歳なんてずっとずっと先のことに思えていたから、まだ良かったのですが)
でも、母は、私がそんな風に思っているとは知らず、毎年、誕生日のお祝いをしてくれました。
「ありがとう」と言いつつ、
「私のせいで寿命減ってるんだよ?」と、複雑な気持ちでした。
19歳の誕生日は、本当に最悪でした。
「とうとうあと一年…。どうしよう」
鬱々として、二十歳の誕生日が来るのが、怖くて怖くて仕方ありませんでした。
まぁ、私が二十歳になっても、二十一歳になっても、母は死ぬ事はなかったので、杞憂に終わったのですが 笑
私みたいに親の言動を気にする子もいるので。
「子供が○○になるまで生きたい」という投稿を見かけると、
「お子さん、大丈夫かな?」
と、ちょっと心配になることもあります。
(まぁ、私みたいな面倒くさい性格の子は、そうそういないだろうから、大丈夫だと思いますけど 笑)
私は、皆さんと違って家族がいるわけではないので、「〇〇まで生きたい」という目標がなく。
とりあえず、苦しむ前に死ねたらいいな、と思うくらいで。
でも、もし可能なら、祖母より、一日でも長く生きられたらなぁ、とは思います。
祖母に、孫の葬儀に参列させるのは、余りにも酷なので…。
孫の中で、私だけが未婚の為、祖母を結婚式に招待していません。
「結婚式の代わりに、葬儀にご招待します!
楽しんで帰ってね」
と、笑ってメッセージでも残しておけば、悲しませずにすむのかなぁ?
とか、アホなことを思ったりもしましたが…。
そこで、皆さんにならって、「出来れば〇〇まで生きたい」という目標を探しました。
「幸せと不幸せは、長い人生でみるとプラマイゼロ」
と聞いたことがありますが。
ここ一年は、まさに、プラマイゼロの一年でした。
ちょうど一年前、脚本を書かせて頂いた、とあるアニメが放送されました。
私の下手な脚本を、監督さんやアニメーターさん、声優さん、携わって下さった皆さんが、一つの作品にしてくれたおかげです。
本当にありがとうございました。
で、その後の、MALTリンパ腫からの肺がん確定 笑
天国から地獄。
目まぐるしい一年でした。
私の「〇〇まで生きたい」は、
担当作品のDVDを買うまでは、生きたい。
かな。
今は、配信の時代なので、店頭に並ぶまでには、まだまだ時間がかかりそうで、いつになるか分かりませんが…。
まぁ、もし可能ならってくらいの軽い願望です 笑
エンドロールに本名が映し出された時は
「なんで本名のままにしたんだろう。名前変えれば良かった」
と、思ったりもしたんですが。
自分が生きた証として、形としてずっと残るから。
私が亡くなった後でも、両親の安らぎになるかもしれない。
結果として、本名で良かったのかも。
最近は、そう思えるようになりました。
そして、新たな疑問。
私が死んだ後、僅かばかりの印税は、誰が受け取ることになるんだろう??
というか、プラマイゼロ理論なら、せめて治療費分は、印税もらえていいような…笑
こんな、再診料にも満たない印税なんて 笑
サブスクめぇー 笑
ウソです。
サブスク万歳!笑
作品に携わらせてくださり、本当にありがとうございました。
賛否両論渦巻く中、脚本面白かったって、もっと観たいと、褒めて下さった視聴者の方、ありがとうございました。
もうそれで充分です。
冥土の土産になりました 笑
先生へ
もし、DVD発売されたら、是非、ご購入お願いします 笑
先生が買ってくれたら、再診料払えるかも 笑
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