日記6(自分の尺度を見つけたい)

 最近は大学の勉強で忙しい。周りの人には意外に思われているだろうけど、一応医学部に通っている。3年生になって臨床的なことについて、恐ろしいほどに膨大な範囲のテストが二週間に1、2個あって、真面目な僕はそれの全てで高得点を取ろうと必死なんだ。周りの友達には合格点(6割)を取れば進級できるんだから身を粉にして勉強する必要なんかないじゃないかと言っている人もいるが、おそらくそれは僕の性分的に無理だと思っている。10割の範囲が出されていて、それの6割分を適当に取捨選択して勉強するっていうことができない。何しろ天秤座だからね。全てをバランスよく学びたいって思っている。それが自分が将来診ることになる患者を救うことになるんだとも考えるようにしている。そのせいもあって、部活にもほとんど顔を出さずに(そもそも最近は再三部活が禁止されている)、毎日暇な時間は勉強、疲れたらランニングをしたり、小説を読んで過ごしている。だが、そろそろ体も限界だし、心も限界に近い気がする。どちらかが疲れていた場合は、なんとかなるだろう。二つはお互いを補完しあっているのだからね。なんにせよ、僕の場合両方が臨界点を迎えつつある気がしている。勉強のバランスは取れているのに、自分の中のバランスはうまく取れていなかったみたいだ。本末転倒。転倒、転倒、眠くて歩きながら転倒しそう。

 僕は望まずに強くなってしまったのかもしれない。違うな。僕は強くなろうと思えば、強くなれることが出来る。そしてその一時的な仮面をつけて振る舞っているという方が正しいかもしれない。残念なことに僕はそれに慣れてしまった。強くあることに慣れて、弱い人のことが理解できなくなってしまった。いろんなことがうまくいかなくて困ったり、立ちすくんでいたりする人たちを見ると、それは本人の努力が足りないだけだ、やれることが他にあるだろと思ってしまうし、不平を口にする人のことは口先だけの怠け者だと考えた。この考えは間違っているのだろうか。人としての温かみに欠けるだろうか。人としての温かみってなんなんだろうか。誰か僕に注意してほしい。さっと仮面を取り去ってほしい。実際的な考えばかり頭浮かぶのはもううんざりなんだよ。

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