プライベートと休暇
ともや先生は、離婚を決めた。ずたぼろ、という言葉で笑って見せるけれど、明らかに大変そう。皆が心配している。いや、心配もしているが、興味、哀れみ、おせっかい。
ともや先生が勤務するみなみまち保育園には結婚休暇がある。結婚すると5日間の結婚休暇が取得できる。福利からお祝い金も出る。だから職員は結婚を上司に報告するし、職員に発表する。
のりこ先生も、離婚を決めた。熟年離婚だ。平日にしかできない手続きがあるし、引っ越しもしたりするから、生活を整えるために年次有給休暇を取得した。
のりこ先生が勤務するきたのまち保育園は、昨年、結婚休暇と慶弔休暇を廃止して、そのかわりに年次有給休暇を10日間増やした。
きたのまち保育園にのりこ先生が就職したときは、結婚休暇が存在していた。しかし、のりこ先生はすでに結婚していたから、結婚休暇の恩恵は受けられなかった。
離婚は結婚以上に休暇が必要だ。結婚も離婚も実に個人的なことで、してもしなくてもいい。結婚のカタチもさまざまだ。
年次有給休暇の取得には理由が問われない。仕事にプライベートが持ちだされなくて居心地がいいし働きやすい、とのりこ先生は言う。