広報研修のよくある質問と回答
研修を受けてくださる参加者から頻出する質問をまとめました。
質問1 お知らせ欄の調整
まず、原稿を必要な情報・文字のみにそぎ落としてから配置します。
数行の余りなら、文章量の調整や平体や長体、字幅で調整します。
公式SNSの案内や観光情報など、広報担当でいつでも掲載できる埋め草記事を用意しておき、大きな余白部分や記事がなくなった場合に使用します。
関連写真素材をスペースに合わせることもありますが、イラストはそれ自体が個性を強く放つものなので、基本的に使用しません。
素材は「イラストAC」「写真AC」「ぱくたそ」「アイコンモノ」等の権利関係が明るいサイトで入手してください。
質問2 写真掲載の許可
【前提】
告知媒体に、「撮影した素材は今後の広報活動に活用する場合があります」となるべく明記しておく。当日は参考となる過去の号を持っておき、特定の人を撮影する際に「こんな感じで載せたいです」と、紙面を見せてあげてください。
【参加者が特定できる場合】
行事開始時にも再度アナウンスし、「NGの人は申し出てください」と説明してください。表紙にメインとして使用する場合、後日データを確認してもらいます。
【参加者が不特定多数の場合】
お祭りや規模の大きい行事では、周囲から「あの人は広報」と認識してもらえるよう、腕章や目立つ服装で、まずは声をかけずに遠景・中景写真を撮ります。人物にフォーカスする近景の場合のみ、声をかけて許可をもらっています。
楽しいお祭りイベントではそんなに説明していませんでした。
「広報でーす!写真撮りまーす!」とだけ伝えて、OKの人は笑顔で応えてくれます。小さな子どもをアイレベル下げて子ども目線で撮る際は、保護者に「めっちゃかわいいんでお子さん撮らせてくださーい!」と声かけしていました。NGの人はそもそもカメラもって広報腕章つけてる人からカメラ向けられると、すぐに「ダメ」って言ってくれます。
カメラマンのテンション次第で撮影される人の表情が変わりますので、元気よく、極上の笑顔を撮影してくださいね!
質問3 編集時間の作り方
念願!やりましたね!町村は兼務ありきで仕方がないのですが、広報作成はスケジュールを自分で決めやすいです。
グループウェアなどで発行スケジュールや作成期間を詳しく記入し、自分で予定をブロック。狭間に他業務の作業を割り当てます。上司や同僚にも「見える化」し、配慮してもらいます。
それでも多忙時期が重なりますが、割り切って残業対応でメリハリを。広報作成は慣れれば特集以外は時間がかからなくなってきます。
村田が使用しているタスク管理ソフト「Todoist」は、プロジェクトごとにふせん感覚で管理できるのでオススメです。
特集やレイアウトが変わる記事は午前中に行い、レイアウトが固定されている単純記事やお知らせ欄は午後に行うと、脳が休まります。集中するために残業する時もありますが、めっちゃポエミーな文章になりがちなので、翌朝に冷静に書いた記事を添削してください。
ウィダーインゼリーのラムネ味は疲れた頭がスッキリします。
質問4 特集アイデアと庁内ルール
【特集のアイデア】
各課が課題に感じる内容をアンケートや聞き取りで集める or 自分で企画する。
ふせんにメインテーマを書く→その周辺に連想できるものを書いて貼りだす→各ページで何を取上げるか決める。ひとりブレインストーミングです。
毎号大がかりなものは大変なので、町のイチオシスポットを見開きの組写真で紹介する特集もはさんでいました。
お気持ちめっちゃわかります。特集やりたいんだけど、他業務に忙殺されて時間がなくなりますよね。まずは2ページ見開きからはじめてみては。小さくはじめて、編集スキルを磨き、ご自分が企画したい特集を温めてもらえたら。
【ルール作り】
各課から原稿提出してもらう際、チェックリストを設けるとともに、広報判断で文章を修正すると明記しておけば、ややこしい人以外は受け入れてくれます。できることならルールを首長決裁でまわしておけば、ややこしい人への対策もできます。
個別に連絡くだされば、庁内ルールのデータは提供します。
質問5 広紙内に掲載する議会情報の取り扱い
広報紙の紙面内に議会だよりが格納されているパターンですね。王寺町は分離されているのですが、同じ紙媒体で掲載するとしたら、校正します。質問❹で回答したとおり、ここでもルール作りを首長決裁しておけば、議会事務局に立ち向かう武器になります。
できることなら、広報担当が議会広報編集委員会に赴き、広報紙の編集方針を伝えればハレーションは薄まるかと。議員の皆さんが熱意をもって審議された内容を、より多くの人に読んでいただく手段、そのためのルールだとお伝えください。
ただ、説得力や根拠のないルールでは議員も納得しないので、ユニバーサルデザインにもとづいたルールが必要です。他自治体や他議会の読みやすい紙面を見せるのもよいかと。
質問6 若年層へのアプローチ
ターゲット層を表紙に掲載するのは基本ですが、時間はかかります。若年層が好むデザイン・レイアウトへの変化が必要です。裏でお知り合いに協力をあおぎ広報モニターになってもらい、住民の意見としてデザイン変更が必要なんだと上を説得してください。
そんな時間待てないよ!という声もあるでしょう。子育て支援を掲載した冊子やチラシ、制度案内の通知文を徹底的にカジュアルにデザインします。またそれらはnote、SNSに掲載、アナログでは幼稚園や小児科病院にも配架し、クロスメディアで口コミ拡散できるようにします。
質問7 初任者向けの参考図書が知りたい
様々な本を買いあさったのですが、手を動かしながらググりながら習得するのが一番の近道でした。
オススメ本は下記のとおりです。
「すべての人に知っておいてほしいデザイン・DTPの基本原則」
「なるほどデザイン」「配色アイデア手帳」「記者ハンドブック」あとは先進広報自治体の広報紙です。いいな、読みたいなと思った特集は、ウチの自治体ならどう特集できるかーーとネタ集めにもなりますし、単純にやる気があがります。
アイデアを練るときは、Pinterest(ピンタレスト)というサイトで事例を検索し、どういうデザインがしっくりくるか刺激を受けまくります。
質問8 これまでの議会だよりから脱却したい
議会が審議している内容は、住民生活に直結する重要な決断が多くあるので、需要は必ずあります。しかし、議員が伝えたい内容と住民がキャッチしてくれる情報はイコールではありません。文字ばかりでメリハリのない紙面が読まれることはないでしょう。
すべての審議を同様に扱うのではなく、重要な記事に紙面をさき、アイキャッチとなる素材やあしらいで紙面を整え、難しい言葉は翻訳しなければなりません。
そこで、議員と事務局双方が基本的なユニバーサルデザインの概念を学び編集方針を作成、広報モニターを公募し、住民に手に取ってもらえるデザインにリニューアルする必要があります。
デザインの方向性は、カジュアルがオススメです。「議会」という言葉がもつ堅苦しさは相当なもの。敷居を低くして、議会だよりなのに雑誌みたいというギャップ効果を狙います。
王寺町議会では内製ですが、デザイン・レイアウトを外注している場合、印刷会社にお願いしてください。カジュアルにしていいよと。印刷会社からすると、お堅い行政・議会に対して冒険するとウケが悪いのを理解していますので、指示をしないともらった原稿を流し込むいつも通りの「議会だより」や「広報紙」を作成します。
外部から講師を招き、デザインの意義、住民に読んでもらって伝わるまでがゴールだと意識改革することも効果的です。
王寺町議会では編集方針を作成する際、ユニバーサルデザインの概念を伝え、基本的なことを学んでもらいました。今後、取材や編集委員会を通して、企画力を磨いてもらいます。
住民の声、講師、他自治体の先進事例、外の力を駆使して、議員にリニューアルする必要を認識してもらってください。めっちゃ応援します。
質問9 編集ソフトはなぁに
行政・議会広報ともにAdobeのインデザインを使用しています。クラウド版で年間10万前後かかりますが、Adobeのソフトをすべて使えるので、フォトショップで写真編集、イラストレーターでチラシ作成、プレミアムプロで動画作成など、使い倒すほどお買い得。
印刷業者へ外注していると仮定すると、今ならパワポでデータをつくります。ワードよりレイアウトしやすく、オブジェクトをそろえる機能も充実しているので、思いのままに編集できるかなと。
事実、高知県のある自治体では、予算が通らんけど自分で内製したい!という熱意ある担当者がパワポで内製していたようです。
お盆まで山場をむかえているので、今回は簡潔に!
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