【many screens感想】思いに火を灯して夜空に翳そう【シャニマス】
シャニマスの過去シナリオを後追いして、その魅力を再発見するのがこのシナリオ評シリーズ、『ワンダリング・シナリオ・チェイサー』。
今回取り上げるシナリオはコチラ!
イベントシナリオ『many screens』!
というあらすじでございます。
8月22日現在、復刻開催しているということで、『many screens』を取上げさせていただきました。
ワンダリング・シナリオ・チェイサーでイベコミュを取上げるのは初めてなので、非常にキンチョーしております笑
それでは『many screens』を振り返って参りましょう!
よ゛ろ゛し゛く゛お゛願゛い゛し゛ま゛ー゛ー゛す゛!!!!
many screensは「表現者として成長する放クラ」を描いたシナリオ
『many screens』をざっくり私なりにまとめると
「放クラ(特に果穂)が表現者として成長する話」
かなと思います。順を追って説明していきます。おせぇてやろうかぁ?
■表現者である以上避けられない「好意的でない反響」
歌手でも物書きでも何でも良いですけど、表現者が何かを表現したときには必ず受け取る人がいます。
視聴者、お客さん、関係者の人々等々……。
いろいろな人々が表現を受け取ります。
いろいろな考えの人がいる中で、必ずしも全員が好意的に受け取ってくれるわけではありません。むしろ、全員が好意的な方がまれでしょう。
表現者である以上、ネガティブな反響を受け取ることは避けられません。
今回の『many screens』は、放クラの元に届いたネガティブな反響から話が転がっていく物語です。
■とあるファンを悲しませてしまい動揺する果穂
リモート会議での稽古を経て、朗読劇を成功させた放クラ。ファンや関係者からの評判も上々でした。
特に、果穂が演じた死神。普段の元気いっぱいなイメージとは逆の役を演じたことで、ギャップが出て非常に可愛らしいです。もう一度繰り返します。とても可愛い。
さらに、可愛いだけではなく、怖がらせるところは怖がらせる迫力の演技を見せていました。
本人としても、普段と違うことができたし、評判も良かったので、朗読劇をやって良かったなと思っていたことでしょう。
しかし、小さな子どもから届いた一通のファンレターが果穂を動揺させます。
「私にとって果穂ちゃんはヒーローなのに、悪い姿を見たら悲しくなる」という内容のもの。
みんなに喜んでもらえたと思っていた朗読劇で、悲しんでいる人がいたなんて……と動揺し、悩む果穂。
私も楽しかったし、ファンの人もスタッフさんも喜んでくれてた……。良いことができて嬉しかったと思っていたのに、実はその裏で悲しんでいる人がいて……。
ヒーローへの憧れがある果穂にとって、人を(しかも自分より小さな子どもを)悲しませてしまったという事実は深く突き刺さったことでしょう。
確かに果穂も最初は、人の命を奪う死神は悪い人なのかもと考えていたので、演じることにちょっとひっかかりがありました。
しかし、
「男を注意する役だから必ずしも悪い人ではないのでは?」
という話をじゅりんぜから聞いて納得し、見方によってはむしろ良いことをしているのかも……と思っていた果穂。
だから必ずしも悪役ではないと分かった上で、思いっきりいじわるに演じたのですが……。
小さい子が役と演者を同一視してしまっているだけだとはわかりつつも、純粋で正義感の強い彼女にとって、ヒーローとしての期待を裏切ってしまったショックは大きい。
それでも果穂は健気なことに、自分がショックを受けてるのをシャニPに隠していつも通りに振る舞います。たぶん、お仕事を用意してくれたシャニPを悲しませたくなかったんでしょうね。
いつも通りですよ~と振る舞おうとしながらも、隠しきれていない感じ。
個人的な話なんですが、映画とか漫画で、子どもがショックや不安を抱えているのに心配をかけまいと何でもないように振る舞うシーンを見ると本当に心がギュッてなります。『そして父になる』とかヤバかった。
■緊急会議で『死神』への解釈を深める
1人悩む果穂。しかし、彼女は1人ではありません。
頼れるメンバーがついています。
果穂の異変に気がつき、みんなで話し合うことを提案するちょこなつ。非常に頼もしい。
特にチョコ先輩。
「それは、すごく大切な問題だね」と言う彼女はとんでもなく頼りがいがあります。小柄な彼女ですが、仲間に見せる背中は大きく見えます。
個人的上司にしたいシャニマスアイドルトップ3に入ります。
(残り2人は甜花ちゃんとシャニP)
そんなわけで、緊急リモート会議にて、果穂の死神役を見て悲しんでしまった子どもからのファンレターについて話し合う放クラ。
果穂から語られたのは「自分が楽しいということだけに集中してて、見てくれる人がいることまで考えていなかった」という言葉。
表現には必ず受け取る人がいる。
そして、それぞれが色んな受け取り方をする。
このことに気がつけたのが、まず1つ果穂そして放クラの大きな成長です。
いやしかし、小六でこんなこと言えるなんて……。本当に彼女はすごいです。自分の小六のときと比べると本当に大人びた子だと思いますね。
私が小六のときなんて、1人でブランコ占領して
「はよ譲りや!!自分が楽しいばっかり考えとったらアカンで!!」
って怒られてましたよ。たぶん。
さらに、リモート会議が進むにつれ、改めて『死神』がどういう話だったかを話し合う放クラ。
「死神は悪いやつなのか、良いやつなのか……?」
「最後に男は何を思っていた……?」
「この話はどんな教訓を伝えたいんだ……?」
ああだこうだと話し合い、朗読劇に向けて練習していたときよりも『死神』への理解を深めていく放クラ。
そして彼女らは、自分たちなりに『死神』を解釈し直し再講演することを決めます。
■分からないことは言わない 今の考えを誠実に伝える
再講演で放クラが披露された死神は、終盤の展開を大きく変更したうえ、視聴者への参加を求めるアレンジがなされていました。
この改変には、放クラそして果穂の誠実さが表れていると思います。
死神の複雑な味わいは、今の私には難しい。だから自分の今の解釈を正直に伝えたい。それが果穂なりの、放クラなりのアレンジなのです。
ファンレターという思わぬ反響を受け取った彼女たちが、改めて向き合ったことで生まれた放クラ式『死神』。
彼女らしさが溢れており、最初の死神と比べるとより深みが増しました。
悲しんでしまった子からのファンレターがあったおかげで、死神とより深く向き合った彼女たち。
それによって、とりあえず朗読をした1回目の『死神』よりもオリジナリティが付与されたより魅力的な『死神』へとブラッシュアップすることがましできました。
1つの作品と深く向き合い、自分なりの解釈で表現するという経験を経て、彼女たちは表現者として成長したのです。
ろうそくは『放クラが過ごす時間』のメタファー
さて、放クラの表現者としての成長について述べました。
次は、今回象徴的に登場する「ろうそく」についてお話ししましょう。
ろうそくは、「放クラとして過ごす時間」のメタファーだと言えます。
放クラでの活動は、いずれ終わりが来るもの。
だからこそ、今を全力で楽しもう!
これを、明るくて限りのある「ろうそく」に例えているわけですね。
「終わりがあるからこそ今を楽しもう」という概念は、放クラでよく登場しますね。よりみちサンセットとか特に顕著。
■「しんみり楽しい」雰囲気が独特の味わい
『many screens』は、夜のオンライン会議がメインの話だからか、みんなで集まってキャッキャと楽しんでるんだけど、どこかしんみり落ち着いた独特の雰囲気があります。
じゅりんぜが一緒にオンライン会議に参加するのとか、
智代子が背景いじくってるのとか、
一度解散したのに、結局みんなもう一度集まっちゃうのとか……。
なんか、こう……、
「いいなあ……!」って思います(貧弱な語彙)。
仲間同士で夜に慣れないオンライン会議してるときの感じがうまいこと真空パックされているんですよね、
この独特なしんみり楽しい感じって、唯一無二な気がするので、この雰囲気に浸るために私はこのイベントシナリオを今後も読み返すことになりそうです。
どうでもいい話ですけど、
チョコ先輩は、人がズーム背景でボケてたら絶対ツッコんでくれるタイプ。
園田のそういうとこ好き。
というわけで、イベントシナリオ『many screens』を振り返って参りました。
ぜひ皆さんも読み返して見てください!
⬇過去のワンダリング・シナリオ・チェイサーもぜひご覧ください!