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⚫︎【400文字エッセイ】僕言うよ


イライラを抱えている人が多い。

駅で、電車で、レストランで。誰かが怒りをあらわにしている。

今日も目の前に不機嫌を撒き散らしている人がいる。

白衣の天使のはずの若い彼女は、般若の面を付けている。挨拶は無視された。こんにちはくらい…予約時間を間違えたら、ぴしゃりと「時間までお待ちいただきます」と取りつくしまもない。
病鳥を抱えながらの二時間は長い。病院まで一時間かけて来た。やり場の無い気持ちが彷徨う。

ここは小動物に特化した病院。週末ともなると全国から飼い主が殺到する。待合室はケージを抱えた飼い主でごった返し満員電車のようだ。

その時見た。白衣の般若が要領を得ないおばあさんにきつい言葉を投げかける一方で、宅急便のお兄さんには笑顔で応対しているのを。
看護師への怒りが沸点へと達し「ちょっと!」と言おうとした瞬間、私のケージからおしゃべりが聞こえて来た。

『こんにちは!』

我がインコの絶妙なタイミングに天晴れ。

 

                  (了)

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