🎼Cry For A Shadow (ポリドール沼その①)
「いやぁ、流石にそこまでは手ぇ出せません」
『音さんポリドールは集めないの?』…と、お友達に問われた際の答えだったのだけれど、
そう答えた翌々日、取り置きをお願いしていたレコードを受け取りに行ったビートルズ研究所の壁のディスプレイの中に、オレンジ色したポリドールのスクロールレーベルなUK盤「Cry For A Shadow」を見つけまして。
「ああ、コレってこの間話してたやつだ」
そう思い、手に取ってしまったのが私のポリドール沼のはじまり(笑)。
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ビートルズはイギリスのPERLOPHONEと契約してレコードデビューを果たしているので、UKオリジナル盤のレコードは基本それらを傘下に治めるEMIから発売なのだけれど、
それとは別に、デビュー前のドイツ・ハンブルグ時代、トニー・シェリダンのバックバンドとして参加したレコーディング音源がUK盤としてもポリドールレコードより発売されておりまして。
シングルのタイトルとしてはとても少なくて3枚ゆえ「それくらい買っちゃえばいいのに〜」と思う方もいらっしゃるかもですが、
1st.プレスとなると なかなかのお値段な上に、演奏的にかなり荒削りなのは否めず、
そして何より、昔聴いたテイチクの音源がかなり残念だった印象が強く、それまで全くもって触手が伸びなかったんです。
なので、UKシングルのコンプリートは目指してはいるものの、ポリドール盤まではちょっと、、、というのが当時の私のスタンスな筈…だったんです。
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が、その手に取ってしまった「Cry For A Shadow」を、
「せっかくですし聴いてみます?」
というスタッフの方の悪魔の囁きにいざなわれるがまま興味本位で試聴させて貰っちゃったんです。
これがいけなかった!(笑)
カンパニースリーブ欠品、プッシュアウト損失な上、盤は"VG"の名に恥じぬ見事な傷の入りっぷりという事もあり、全然期待してなかったんですが、
鳴らしてびっくり。
この見た目でほぼノイズ無しなのも驚きですが、
それ以上に、その音!
胸をすくような出だしのジョンのリッケンバッカーの何とも爽やかな事!
そして何より演奏の初々しさといったらあなた!
嗚呼…もうズキューンとハートの中心を貫かれてしまいました。
「傷は確かに多いんですが、再生に影響出る傷はそんなにないんですよね」
と、スタッフさん談。
確かにステレオ針で聴いてこの程度のノイズならば、モノラル針ならほぼ影響ないのではなかろうか…
この見た目ゆえ、ビートルズのポリドールなUK盤としてはかなり破格とはいえ、元が元なので決してお安くはなかったんですが、もうこの時点でハートをがっちり鷲掴みされてしまったので(笑)
予備費発動でそのまま我が家へお迎えと相成りました。
という訳で、無事やって来た「Cry For A Shadow」ですが、実は我が家にはこの本家なシングルの他に、もう2つばかり「Cry For Shadow」がありまして。
1つは「Anthology 1」に入っている音源。
もう1つは、昔学生の頃買ったテイチクなレコード音源。
そして実はそのテイチクな音のイメージが強過ぎて、ポリドールな3枚のシングルのイメージ自体が非常に悪かった…というのも、ポリドール盤になかなか手が出なかった理由の1つでした。
が、今回せっかくシングルが手に入ったので、一度手に入れた順に「Cry For A Shadow」を聴いてみるかい!という気分になりまして、棚から引っ張り出して聴き比べてみることに🎵
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■The Legendary Beatles(ビートルズ伝説)
学生の頃、ビートルズシネクラブの通販で買った、2枚組レコード。
アンソロジーがまだ存在していなかった当時、それまで聞いたことのなかったデビュー前の音源が聴けるという事で購入。
インタビューとインタビューの間に曲が挟まっている構成で、
ビートルズが受けて落ちたデッカレコードのオーディション音源や、スタークラブのライブ等がメインで聴けるマニアックなアルバムなんですが、
その中にこの「Cry For A Shadow」のレコーディングセッション音源というのが入っていた、という訳。
という事で、何十年振りかで盤を引っ張り出してみたのですが、
ピッカピカ✨
無駄に美しい(笑)
当時私レコードを傷めない為に、殆どをカセットテープにダビングして聴いていたので、この盤を回したのも、ダビングする為に回した一度きり。今回で2回目という事ですね!
これは盤のコンディションとしてはかなり良いので、当時の記憶としては印象良くなかったとしても、今聞いたら意外と良かったりして🎵
…とか、ほんのりとした期待もなくは無かったんですが、
いやあ…びっくりするくらい音よくない(笑)
例えるなら、「隣の部屋で鳴ってるFM放送」的な。とにかく音が昔の安いラジオみたいにチャチくて、そしてとても遠い😂
これでは…印象よくないのは仕方ないのです。
でもまぁ当時音源としては珍しかったので、音質なんて二の次で良かったんですよね、きっと。
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さてさてお次は、
■Anthology 1
公式から発売された未公開音源集で、その中にポリドール盤の音源として「My Bonnie」「Ain't She Sweet」と共に
「Cry For A Shadow」も収録されています。
ただ私はこのアルバム実はそんなに聴き込んでいなくて、CDで数回、レコードは一度しか回していないので印象は薄く、この曲については「公式はやっぱ音良いよね」位の印象しかないので、逆に今回聴くのが楽しみという😅
という訳で、こっちもターンテーブルに乗せていきます。
もう数分前に聴いた音とは別モノ。
ちゃんとしたオーデオで聴いているというのもあるけれど(CDはポータブルプレイヤーで聴いてた)
音はクリアだし、なかなかの迫力。正直これがあれば、オリジナルシングル必要ないかも!?って思っちゃうくらいのクオリティ。
この後シングル聴くの、ちょっとドキドキ😳💦
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■ポリドール オリジナル盤
ランインのノイズの音からして圧がやばく、慌てて音量調節。
胸のすく様なイントロのギター、ブオンブオン唸るベースetc...
アンソロジーの音もかなり近いものがあったけれど、似ていて非なり!決定的に違うこのワクワク感は何だろう。。。と考えながら耳を傾ける。
ポールの合いの手な雄叫びも熱いよね。熱気が違う、熱気が!…って多分それ。
空気感。
このシングルをビートルズ研究所で聴いた時、初めてこの曲を「なんて初々しい!」と思ったのも、
レコードから伝わってくる熱気やスタジオの空気感のせいなんだと思う。
ああ、やっぱりコレを聴いたら後戻り出来ないやつ(笑)
だからこうやってオリジナル盤を探してしまうし、これが、探し当てたご褒美に聴ける音なんだなと✨
そして。
またこの曲はビートルズで唯一な「Harrison-Lennon」、ジョージとジョン共作の曲という事もあり、そういった意味合いでも手に入りとても嬉しいのでした🎵
おしまい。