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「社長の仕事」と「創業者の仕事」の違い

VCやエンジェル投資家の支援もあって一昔前よりも起業しやすくなった時代と言われています。僕もその流れの中にいる起業家の一人で2015年にラブグラフという出張撮影の会社を起業し、今4期目の会社の代表をしています。いわゆる創業社長というやつです。

まだまだ若造の僕が経営を偉そうに語るつもりはないのですが、自分が会社をしてきた中で悩んだこと、その中で自分が辿り着いた考えを備忘録の意味も込めて文字に残しておこうと思いnoteを書くことにしました。

ぶつかった壁の数は数え切れないくらいありますし、今も毎日が問題の連続で悩みは尽きないのですが、その中でも同世代の比較的若い起業家仲間と話す中でよくある悩み話のひとつに「自分よりも優秀な人が入ってきた時の自分の存在価値」というものがあります。

創業期は数人しかいない仲間たちと事業を作っていくので社内に仕事が溢れていて、多少その仕事に対するスキルがなくてもとにかく手を出してやることが大事なのですが、事業が成長フェイズに入ってくると自分よりもその部門について専門性を持った人材が入ってきて創業期にいた人の仕事が置き換わっていくことが起こります。ジェネラリストからスペシャリストが求められるようになるということです。

いきなり社長になる起業家の悩み

自分で会社を作る以外の社長になるまでの道のりは、まずは従業員として着実に成果を上げて昇進したり、他社で大きな実績を出した人がネクストキャリアとして他社の社長になるなど、ちゃんと実力をつけた人が社長になるケースがほとんどです。

しかし、若くして自分で会社を作ると実力がなくても「社長」という肩書きを背負うことになります。会社が成長していくにつれて、自分よりも専門性を持った優秀な人が入ってきて自分の仕事をどんどんと委譲していくと必然的に社長の仕事が無くなっていきます。(厳密には無くなっていくというよりは、創業期よりも自分が実行する範囲が狭くなるので仕事が無くなっていく感覚になるという方が正しいかもしれません)

そうすると自分がやっていた頃よりも早いスピードで事業が進んでいき「本当に自分はこの会社に必要なのか、自分は卒業してプロ経営者がトップに立ったほうがいいんじゃないか」なんてことを考えてしまうことがありました。

そんなことを考えていた時に、改めて自分の仕事を見直す機会を作り、今まで特に意識せず持っていた「社長」という肩書と「創業者」という肩書き。それぞれに仕事があると考えるようになり、自分の存在意義を見出すことができるようになりました。

社長の仕事は「決めること」

会社を経営していく中で様々な場面で意思決定をする必要があります。事業を成長させるための選択肢がいくつもある中何から手を付けるのか、それを実行するためにどんな人を採用するのかなどなど。その意思決定たちは組織が大きくなっていくと比例して意味がどんどん重くなってきます。最初は人数も少ないので自分が意思決定をしても動く人数が少ないので、もしその意思決定が間違っていてもすぐに方向転換できるのですが、関わる人数や投資するお金が増えてくると一つ一つの意思決定が重くなってきます。(20人程度の規模でもこう感じるので大企業の経営者の方は本当に尊敬します)

昨年、事業計画を大きく見直さなければならない時があったのですが、同時期にいろんな問題が起こったこともあり、なかなか事業計画やKPIを決めきれなかったことがありました。事業計画の決定が遅れると現場のメンバーもどこに向かって動けばいいかわからないので事業を前に進めることが難しかったり、何より事業計画が定まらないと「いつ誰を採用するか」が決まらないので事業が前に進みません。採用は明日人が欲しいと思ってもすぐに来てくれるわけではないので、事業計画を決めなければ採用は前に進みません。

事業計画の話以外にも様々な意思決定の場面があるのですが、社長の意思決定が1日遅れると会社が1ヶ月以上遅れる。そういったつもりで意思決定が必要な場面では「早く決める」ということを意識して動くようになりました。

先日、NHKの「U29」という番組に特集された時にも放送されたのですが、弊社に投資していただいているGREE VENTURES代表の堤さんからも「大事な意思決定を先延ばしにしていないか。意思決定することによって誰かに嫌われてしまうかもしれないけれど、嫌われることを恐れないでほしい」というアドバイスをいただいたのですが、正にその通りだなあと思っています。

自分の意思決定で今までやっていた誰かの仕事が無駄になってしまったり、誰かの仕事が無くなってしまったりするかもしれない。そんな中でもやはり決めることを恐れずに意思決定することが大切だと今は思います。

創業者の仕事は「語ること」

社長の仕事が「決めること」なのに対して、創業者の仕事は「語ること」だと考えています。「ラブグラフでどういう未来を作りたいの?」という問の答えは創業者の中にしかないんです。会社をどうしたいのか、どんな未来を作りたいのか。「作りたいという意志」は数字を見た先にも、"こうするべき"というアドバイスの先にもない。自分の頭にある作りたい世界を言語化して伝えることでメンバーに同じ方向を向いてもらったり、ラブグラフについて語ることで人の心を動かして、新しいメンバーを採用したりサービスのファンを増やすことが創業者の仕事だと考えています。

世の中にない新しいものを作ろうとしてるので周りの人から馬鹿にされたり、理解されなかったりすることもあると思います。僕なんかは最初「カップルのデートにカメラマンが同行する」なんてサービスから始まったので「別れたらどうするの?」「カップルがお金払って写真撮ってもらうの?」と理解されないこともたくさんありました。それでもラブグラフについて語り続けることで「ラブグラフする」ということが動詞になってきたり、まだまだ磨かなければならないところはたくさんあるものの「ラブグラフっていいサービスだよね」と言われることも増えてきました。

思うようにいかないこともたくさんあるし、理解されないことも多いかもしれませんが、「自分が心から良いと思えるもの」は語り続け、人の心を動かすことが創業者の仕事だと思います。


全ての起業家に幸あれ!!(僕も頑張る)

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