資金調達後VCのフル出向で変わったこと、変わらなかったこと
昨日、出資していただいているGREE Venteresから弊社に半年間フルで出向していた根岸さんの振り返り記事が公開されました。
IT界隈でも反響があったのですが、中にいた当事者の僕からすると「いやいや、根岸さんもっと助けてくれてましたよ!!控えめすぎ!!!」という気持ちでいっぱいなので、感謝の気持ちも込めて勝手にブログを書いてみました。
■根岸さんってだれ?
■フル出向で変わったこと、変わらなかったこと
■最後に
■根岸さんってだれ?
GREE Venturesのインベストマネージャーというお仕事をしていて、ラブグラフの投資を担当してくれた方です。桜蔭高校から東京大学という学歴通りかなり頭の回転が早い方で、過去には大和証券やアシックス、野村リサーチ・アンド・アドバイザリーといういろんな経験をされてきた凄い方です。
趣味は山登りらしいのですが、キャリアは上場企業を評価する人→上場企業の中の人→ベンチャー企業を応援する人→スタートアップの中の人といった感じでどんどん山の麓から山登りに挑戦する姿が趣味とリンクしてますね、なんて話をよく一緒に話していました。いわゆる超優秀な人ですが、全然そんなことを感じさせない気さくな方で一緒に働いていて本当に楽しかったです。
■フル出向で変わったこと、変わらなかったこと
振り返り記事にもあったような会計整備やチャレンジ枠の設定など新しく導入してくれたことは数えきれないくらいあるんですが、社長の僕から見て特に良かったなと思うことを3つほど上げたいと思います。
変わったこと
①意思決定のスピードが上がった
スタートアップを経営する中で未知の問題が同時多発的に起こって問題が複雑化し、解決に時間がかかってしまうことは往々にしてあると思うのですが「そもそも今考えるべきことは〇〇だと思うよ」と適切な問いを適切なタイミングで投げてくれたので思考をシンプルにする癖がつき、メンバーの意思決定が早くなりました。「アジェンダセッティングは司会進行ではなく、問いを立てること」とアドバイスいただいたのは、今でもずっと大切にしている言葉の一つ。
その他にも余計なことに時間を使わなくてもいいようにKPI管理の仕組み設計や意思決定のルールを整備して、メンバーが「考えること」に集中できる環境を作ってくれたことで全社の意思決定のスピードは相当上がりました。
②人事マネジメント面でのサポート
20代のメンバーが多かったので、会社で初めてぶつかる問題は大抵みんな初めて経験する問題で答えがわからないことも多く、誰に相談すればいいのかわからないという状態になることも少なくありませんでした。
根岸さんがフルコミットしてくれたからは「何でも相談してね」と気軽に相談していい雰囲気を作ってくれたので、僕含め会社のかなりのメンバーが根岸さんに相談させてもらって支えられたんじゃないかなと思っています。
僕がメンバーには言いづらい会社の悩み、メンバーが会社には言いづらい悩みもたくさん根岸さんが受け止めてくれました。
※社外の人という立場も逆に相談しやすかった要因のひとつだったと思います
③人を見る目が養われた
学生起業してそのまま今の会社を続けているので、上司と仕事をした経験が僕にはありません。なので採用するメンバーも自ずと20代の人が多くなっていたのですが、根岸さんと働いてからは30代でこんなに仕事できる人っているんだな。一人入るとこんなにも雰囲気が締まるんだなという経験をできたのはかなり良かったです。もちろん20代でも優秀な人はたくさんいて会社を成長させることは可能なのですが、しっかり社会人経験のある人と働けたのは学生起業の僕にとって大きな財産になりました。
※結果として採用面談で30代の方を面談することがかなり増えました
変わらなかったことは、アートとサイエンスのバランス
会社を経営していると数字で結果が見えるサイエンスに意思決定が寄りがちです。限られたリソースの中では通常そうせざるを得ないのですが、似たようなものが作りやすくなった現代、数字だけを見て意思決定をしていると似たようなものを作って競合との戦いに巻き込まれ、結果として資本の大きい方が有利になったり、お客さんもオトクな方を使うといった状況になり価格競争に巻き込まれてしまいます。
特にビジョンドリブンな会社にとってアートの要素はかなり重要なポイントになってきますが、この点を理解してくれていたのはかなり救われました。どうしてもアートの部分は結果が出るのが遅かったり、数字で証明し辛いことも多く、アートとサイエンスが議論するとアートは負けがちで結果として他社と似たようなものが生み出されてしまうのでサイエンス側のアートへの理解はマストです。
このあたりの話は「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」という本がとても良書なのでぜひ読んでみてください。
※この本も根岸さんに紹介していただいて著書の山口周さんはラブグラフの顧問に就任いただいています
意思決定の場でも「駒下さん的に大丈夫?世界観壊れない?」とか根岸さん自体が「それはラブグラフっぽくないよ」って言ってくれたりして、会社が大事にしてきたことはフル出向が始まってからも何一つ変わりませんでした。
最後に
良いことばっかり書いてると嘘っぽくなるかなと思ったので、良くなかったことも書こうかなと思ったのですが本当に良いことしか思いつかないくらい最高の半年間でした。VCの人が会社に入ってくることって、もしかすると抵抗を覚える経営者の方もいるんじゃないかなと思いますが、ラブグラフが出資を受けたGREE Venturesはハンズオンという形を取りながらも経営メンバーの意志を尊重してくれるベンチャーキャピタルだと思います。フル出向を許してくれたGREE Ventures、半年間支えてくれた根岸さん本当にありがとうございました。
3周年記念で箱根にカメラマンと合宿したときも一緒に泊まってくれました
この記事が資金調達を考えていたり、VCとの関わり方を悩んでいる起業家のヒントになれば幸いです。
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