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THE CHATSUBO PEOPLE

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Chatsuboに出入りする、都市遊泳者たちのつぶやき。街のあちこちで、彼らの眼が風景を鮮やかに切り取る。敷衍された《俳句》としての、140文字のつぶやき、ともう少し長いスケッチ。
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#SF小説が好き

ナイトウィザードというTRPGの世界がナボコフ的だ。システム、世界設定ともに極めて豊饒。マクロ方向な壮大さとしては、数の単位で恒河沙、阿僧祇・・・と来たあたりでSFじみてくる、あの感じ。ミクロ方向にも緻密さが極められている。特殊×特殊でキューっと焦点が絞られる。脳から汗が出る。

毎日書く #03 through the senses

僕がフェイ・フューの内部世界を漂っていたときのこと。 フェイの内部で何度も会った、あの四角いオブジェクト。真四角じゃなかったかもしれない。 ゆがんだ四角かもしれなかったけど。 そういう幾何学的なものがたくさん浮かんでいるのを僕は目にした。 それらは動いていたと思う。 僕は流れに逆らって漂っていた。 というか、僕も、流れていた。逆流と逆流どうしが、どうにかしてすれ違っていたんだ。 蜜豆の缶詰に入っている、ピンクや緑の色の付いた寒天。 あれに似た色合い。 というか、蜜豆の

千葉雅也のように、無意識で、無意識を、書く。

千葉雅也が「無意識で書く」ことについて記事を書いている。 ここでの「無意識で」というのは、「万年筆で」とか、「ポメラで」とか、そういうツールを指しているように響く。おもしろい。 「ヒプノティックにトランスした状態になって書く」というのとは多分、違う。 千葉は次のように書いている。 このパラグラフにはとても励まされた! どうしてかと言うと、ちょうど昨日、わたしもそのようなことを念頭において小説の1シーンを書いたからだ。 作家であるFHという人物が、他者に自分の無意識領域

〈weak yuri〉は私だ。

文芸エージェントのアルジズです。日々、作家さんたちが書いたいろいろな小説を摂取/ 接種しています。 早川書房のnoteにおもしろい対談がありました。 小説家・草野原々が宮澤伊織との対談で、〈weak yuri/ 弱い百合〉という概念について説明しています。 〈weak yuri/ 弱い百合〉という考え方はおもしろい。これを知ってからやっと、草野原々の小説が深くわかるようになった。 ・・・まず、キャラクターの感情が物質化していると想像してみてください。で、キャラがその感情の

アルジズの夏の推薦図書/ Algiz's summer reading

アルジズです。草野原々の『最後にして最初のアイドル』を読みました。 あちこちに振り回される移動の感覚が、非常にスピーディかつ新鮮で、面白かった! 全体の印象は、ピンチョン味に溢れている。 ほかに似ていると感じたのは、「彼だけが、本物の中二病である」と宇野常寛に言わしめた、〈現代の魔法使い〉たる、落合陽一の熱気に浮かされたような語り口。 それから、法華経や、華厳経を連想させる修辞に満ちていて鮮やかだ。 経文の世界では、時空のスケールの想像の及ばなさを強調するときに、とにか