手書き情報を一元化したくてNeo Smartpenを買ったけど、けっきょくノートがカギだった
すっかり手書きをする機会が減ったものの、やはり手で書きながら考えたり整理したりすることは自分にとって大きな意味があるのと、手書きという行為自体が好きなので続けてはいるものの、情報がばらけてしまうのが何より問題であった。
クラウドのおかげでデジタルな文字はすべてのデバイスで同期されるので、スマホで書こうがMacで書こうがノープロブレムなのに対し、手書きのノートはいざというときにそのノートが手元になくて困ることもしばしばで、なんとかならんもんかと試行錯誤してきた。
ノートに書いたものの写真を撮ってEvernoteに同期させたり、iPadにApple pecilで書いてみたり、それなりにいろいろ試してはみたもののなかなか定着しなくて困っていた。
そんなとき、スマートペンなる存在を知り、使うことにしてみた。これは、専用のペンと専用のノートが必要なのだが、書いたページが即座にアプリを通してデジタル化されるというもので、まあなんか、アプリを開きながら紙のノートに書くと、書いたものがそのままスマホ画面内のノートにも映っていて、それを同期すればどのデバイスからでも参照できるようになるものだ。
専用のノートが必要なのだが、ノートの種類がけっこう多い。いろんなノートに書いて、後からそのノートが手元になくてもアプリで書いた内容を確認できるし、PDFにして共有したりできる。
なので、このペンとノートで書いておけば、書いた内容をスマホで後から参照できるので、情報の一元化ができるというわけである。ペンを充電しておかないといけないのはやや気が抜けないが、書いたものをいつでも確かめられるという安心感は大きくて、ここ数カ月は常にこのペンとノートを持ち歩いて使っている。
先述の通り、専用ノートの種類が多く、小さなメモ帳のようなものから大学ノートサイズのものやレポートパッドなどもあり、時に応じて使い分けることができるのはいいところだ。どのノートに書いても後から確認できるので、すべてのノートを常に持ち歩く必要もない。
ただ難点があり、この専用ノートの書き心地があまり良くないのだ。ステーショナリーにこだわりのある人ならわかると思うが、ペンと紙との相性は手書きの気持ちよさを構成する大きな要素なので、少しでも書き心地が良くないとやはり気になってくるものだ。このスマートペンはペン先は自由に選べるので改善のしようがあるのだが、ノートは専用のものじゃないといけないので、紙質については選択肢がほぼない。
ただし、比較的良いものもあって、それがあのモレスキンが出しているノート。もちろん、本来のモレスキンと比べたらやや書き味が重たいのは否めないのだが、ほかの専用ノートに比べるとスムーズに書けるのだ。価格は若干高めだが、書き心地に妥協はしたくないので、このモレスキンノートを使うようになった。
そうなると、ノートはほぼこのモレスキン一択となり、常にこれを持ち歩き、打ち合わせでも自分のメモでも何でもこのノートに集約することになった。
すると何が起こったか。これまでは手書き情報がさまざまなノートや手帳などに分散されることで情報の散逸が起こっていた。それを解消すべくスマートペンを手に入れ、スマホに同期することで情報の一元化を図ったわけだが、気がつけばノートが1冊に集約され、あらゆる情報がそのノートに書かれることにより、情報の一元化が達成されることとなった。
もはやスマートペンは関係ないことになってしまった。スマートペンの制約、書き心地という制約によってモレスキン一択となり、それによって情報が一元化された。まさしく、「1冊のノートにまとめなさい」である。
まあもちろん、手書き情報がデジタル保存されることには大きな意味がある。ノートを持ち歩かない手ぶらな時にも参照できるし、今のノートを使い終わって次の1冊になったときにも、過去のノートを手元で確認することができる。なので、スマートペンを買ったことに意味がないとはまったく思ってはいないが、書き心地という制約条件によって、図らずもノートの一元化が達成されたことは、なんとも奇妙なことだと言わざるをえない。