ノスタルジックはポーション
いつも国内飛び回ってるし、たまに外国も行くけど、今回のこの旅は全然違う。
オレの記憶では18年ぶり、本当は12年ぶりらしいけど、実家に帰って。
お姉ちゃんと行ったんだけど、電車でも結構時間かかるから久しぶりに色々話してさ。そしたらデジャヴって感じの懐かしい景色見えてきて、そこでなんとなく思ったのが、お姉ちゃんにとって今回実家に帰るってのは思い出を味わいたいみたいな、オレでいう小学生の頃習ってたソフトボールのコーチと久しぶりに会う感覚を感じる旅なんだって。でもオレはどちらかっていうとトリップに近い、実体験としての思い出じゃなくて、概念上の懐かしいを感じる旅になるんだって思ってたの。オレは6歳の頃までしかいなかったからね。
オレね、6歳まで新潟にいたんだけど、6年間に見合う記憶持ってない。。ほとんど覚えてない。1つ1つが全然繋がらなくて、海馬の中で記憶が点々に、星みたいなの。
その話をしたら、お姉ちゃんが、「仁も小さいなりに色々感じてたんじゃない?ストレスが大きすぎると、その記憶がなくなるって聞くじゃん」って。
駅に降りて一番強く感じたんだけど、まぁ駅着く前の車窓見てもうすでにちょっと感じてはいたんだけど、このノスタルジック純度濃すぎるって!!!
SNSとかの誰かの出し物で感じるうっすいノスタルジックじゃなくて、もうオレ専用の物語終盤で出てくる最強装備みたいなノリのノスタルジック。目の端に浮かぶ程度の涙出てきて、視界の角がセピア色に見えた。
おばあちゃんとか、近所の唯一の商店の人とか、友達とかその家族とか、人に会った。でもお互い覚えてるボルテージが全然噛み合わなくて、ずっと気まずかった。オレの思い出は星だから、人は生々しすぎて全然ノスタルジックじゃないなって。でも会話とかその人の声とかは凄い色々感じた。
お姉ちゃんは順調に思い出集められてて、凄い嬉しそうだった。お姉ちゃんが「新潟から神奈川に引っ越して、私最初になんて言ったと思う?」って。「ねぇママ、夜になっても暗くならないよ!コンビニがあるよ!だったんだよ」
この話は素敵すぎて凄い覚えてる。
あれ、耳でこの話聞いた時は凄いネガティヴってか悲しい話みたいに聞こえたんだけど、文面で見ると凄い明るい雰囲気に見えるね。
次の日、本当の父親の墓参りに行ってたり、全部の季節が混じって全部の虫がいる道散歩したり。あと、田舎すぎて電波なかったからデジタルデトックスにもなった。
元々、今回新潟に帰ろうって思ったのは本当に何気なくで。新潟で仕事だったから、そのついでに帰ってみようかなって。でも行くって決まってから実際行くまでの間に凄い嫌なことが重なってて、いつの間にか新潟に帰る目的ができてた。最近自分が愛に飢えすぎてうまくいってないなって思ってて。だから自分のルーツっていうか、オレの覚えてない方の思い出に頼ってみるかって思ってた。潜在的には分からないけど、実際に今のオレを作ったと思ってる記憶ってせいぜい小6以降でしょ?でもその前の11年間もオレ生きてたんだよな、11年間も生きてるってことは何かしらは残してるだろうなって。それに頼ろうと思ったの。もし頼れれば、今より少しは人の力を借りなくても寂しがらずに済むかなって。
実際に2日間で色々感じたり考えたり思い出すことができて、星みたいな記憶が少し濃くなって、天の川みたいになって、オレの体の周りに纏わりついて、鎧みたいになった。やっぱり本当の父親を感じたことが大きい気がする。オレが生まれた時飛び跳ねて喜んだんだって。そんなのもうポーションじゃん。スキンケアみたいに外側じゃなくて内服薬みたいに根本から癒してくれるような。オレって今気づいてないだけで愛の素質を持ってるんだって。だから、オレって実は自由に飛べる虫で、今は蜘蛛の巣の上が全ての世界って感じちゃってるだけなんだなって思った。
でも1つだけ怖いのが、もし今オレが感じてるこれが、本当は全然ピュアじゃなくて、愛をくれる人がどんどん減っていくってストレスに対する自己防衛だったら?
まぁ実際そうだとしても、やっぱり今よりも愛に対する角を落として、優しくなれたら結果的にオレは純粋って言えるな、とも思う。
オレが優しいふわふわのぬいぐるみになったらみんな戻ってくるかな。今のオレはチャッキーみたい。てか本当は戻ってこなくてもいい。もうみたことある道ばっかだからループするの分かってるし。もっとふわふわになりたいけど、今のままじゃ無理。でもオレは今のまま優しくなりたい。でも優しくなるには今のままじゃダメらしい。イルカが飛び跳ねてる、でも海が沼みたいで全然飛び上がれてないよ😭みたいな。オレを正しくしようとする人じゃなくて、オレを悪い方向に行かないように見守ってて欲しい。もうどんどん愛の境界線がなくなってきた。この気持ちは家族なのか、友達なのか、女なのか、誰に向けるものなのかも、今どこに向いてるのかも分からん。もっととろ火で蝋燭みたいな愛が欲しい。
オレは小さい頃周りに女の子しかいないからって、おままごとしたりワンピースを着たりして、「女の子になりたい」って言ってたんだって。自己紹介みたいな。
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