見出し画像

【マンガ業界Newsまとめ】「タテ読みマンガアワード 2024」結果発表「日本は文化戦争への備えができていない」 など|2/24-188

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTの主催やIP市場調査を行うMANGA総研運営する筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

―――


「タテ読みマンガアワード 2024」結果発表!伊織もえ&BE:FIRST・SHUNTOも選ぶ

コミックナタリー主催の「タテ読みマンガアワード 2024」の授賞式が開催されました。

日本のWebtoonビジネスの成長にはWebtoonアワードが必要という声は各所から上がっていましたが、これを国内最大のマンガ情報メディアであるコミックナタリーが主催し、第1回が発表された流れです。

現在、国産Webtoonのトップを走る2企業、SORAJIMAの『無能な継母ですが、家族の溺愛が止まりません!』が、国内作品部門の1位、ナンバーナインの『神血の救世主』が審査員賞ということで、プレスリリースが出ていました。

完結済み部門では集英社・阿賀沢紅茶『氷の城壁』が選ばれるなど、2024というよりはWebtoonブームが開始した2021年あたりからの注目作品が選ばるという1年目らしい形です。

CyberZから事業移管され、現在はサイバーエージェントが運営するSTUDIO ZOONの『推しの一途すぎる執着を、私はまだ知らない』が、Top10にランクインし、CA名義のプレスリリースが出ていました。

1位:「無能な継母ですが、家族の溺愛が止まりません!」SORAJIMA
2位:「お求めいただいた暴君陛下の悪女です」 STRAIGHT EDGE・
SORAJIMA
3位:「コータロー君は嘘つき」集英社・マンガMee
4位:「シンジュウエンド」集英社・マンガMee
5位:「ラスボス少女アカリ~ワタシより強いやつに会いに現代に行く~」集英社・ジャンプTOON
6位:「推しの執着心を舐めていた」SORAJIMA
7位:「傷だらけ聖女より報復をこめて」SORAJIMA
8位:「悪女は仮面の騎士に騙されない」コミスマ・GANMA
9位:「和歌ちゃんは今日もあざとい」comico
10位:「推しの一途すぎる執着を、私はまだ知らない」STUDIO ZOON

タテ読みマンガアワード2024「国内作品部門」ランキングより

連載中の国内作品Top10に、発行元情報を入れ、私のブラウザ検索で1番上にでたものにリンクを貼ってみました。

SORAJIMA 4(うち、Straight Edge原作 1)
集英社 3(マンガMee 2、ジャンプTOON 1)
コミスマ、comico、STUDIO ZOON、各1

と、SORAJIMA作品の強さと、上位に集英社作品があることがわかります。検索上位(これは私個人のブラウザ検索なのであくまで参考です)に来るページは結構バラバラです。SORAJIMA作品の中には、comicoでスタートして、他に展開しているものがあるなど、生態が少しわかりました。

意義深いアワードだと思いました。毎年続けて欲しいですね。
アワードのページは以下。


マット・アルト「日本は文化戦争への備えができていない」(2025年1月23日)

トランプ政権となり、世界が激動というかより戻しというか、様々な影響が出ています。

その中で、マンガに携わる我々にとっては、ジェンダー関連の動きから北米輸出への影響や、日本における表現の自由の中で作られる作品の間での軋轢が予想されます。本稿では「文化戦争」と説明されています。

昨年から、米国の学校図書館などでBL漫画が禁止になるなどしています。
特に、共和党支持州というかトランプ支持のジェンダーについて回帰的な動きをする州にその動きが顕著なようです。

小さなころからお小遣いを渡され、自分の読むマンガを自分で選ぶ文化にいた日本と違い、米国において、子どもに買い与えらえる本等のコンテンツや、特に図書館などは保護者が「読んでよいもの」を選定する社会背景があり、日本と同じ環境ではありません。

とはいえ、広い表現を許容し、そのことが多様な作品文化、ひいては世界的にヒットする作品を産む土壌となる日本の場合、変わりゆくトランプ政権下のトレンドは行く末なにかの影響を与えるやもしれません。

日本のマンガ業界は現在、国内の活況をステップに海外進出を強めています。特にコロナ禍以降の米国市場はその規模感が成長していることを示されており、その米国市場の政権が表現規制を行うことは、一抹の不安というには少し大きな懸念事項です。まさにこれから出て行こうとしているところに、大きな壁が立つかもしれないというわけですので。

「文化戦争」という言葉には、「自由」というよりは「戦い」というニュアンスが多くあると思います。記事では、日本と米国のSNSの違いなどにも触れ、今後起きることへの解釈の補助線となりそうな部分も示唆されています。この辺りは、しっかりと追って行くことが必要そうです。

個人的には、この話は向こう4年(トランプ氏の大統領任期)の話なのか、さらに続いていくのか、その辺りも恐らくこれからわかることなのでしょうが、気になるところではあります。


2/18JEPAセミナー

本当はビジネス扱いしたくなかったけど必要に迫られ書いた本「漫画ビジネス」と、 データを探す長い旅路になりそうな「IPビジネス」調査の件』アーカイブ動画です。驚いたことに、300人の方に応募いただき、アーカイブ視聴合計が既に750人超と、大変ありがたく。

著書「漫画ビジネス」については、読了済みの方にも楽しめる内容を目指しました。

MANGA総研のIP市場調査についても、あまり他で語ってないこれからのことをお話しさせていただきました。

よろしければご覧くださいませ。


国内News

講談社の決算は、いわゆる減収減益なのですが、理由は『東京卍リベンジャーズ』などの、大ヒット後のより戻しと想定されます。

この辺り、上場企業であれば、すわ株価が経営責任が大騒ぎになることもあるやもですが、大型ヒット作の翌年反動は出版社/IP企業の常なので、粛々と同じ営みを守り続けさえすれば、次のヒットが育つという原理原則があるところです。こうして理由がはっきりしていれば、非上場出版社であればこそ、長く続く営みの範囲なのかと。

業界的には、金丸氏、古川氏など、今の日本のマンガ好況を築いた経営層が一線を退かれるところが、節目を感じます。


先週、アムタスに子会社のエブリスタを事業売却したメディアドゥの業績ニュースです。LINEマンガとの取引を失うも、ピッコマの新商流などで業績を回復という文脈です。
エブリスタMAの条件に、これまで取引量の少なかっためちゃコミ向けの取引量増大に繋がるオプションがあり、この辺りは期待されるところです。


ペイントアプリのMediBangが、韓国企業と提携。音声サービスの国内展開に助力するようです。音声の日本語化でも協業するようですね。


V事務所がマンガに進出って新しいですね。


バロン吉元先生を父に持つエ☆ミリー吉元さんによる、『(お父様の)マンガ原稿のある暮らし』というマンガが連載開始。ちなみに、エミリーさんはリイド社トーチの現役の漫画編集者でもあります。

ちばあきお先生、上村一夫先生の2世世代と、エミリーさんによる、大物作家の膨大な原稿の管理や、ライセンス管理の苦労話、こちらのIMARTのセッションでも決めます。聞いたことの無い観点が続出し、非常に面白いというか興味深いお話ばかりです。


この話題はMANGA総研で市場調査を行う私個人の関心領域でもあるのですが、韓国は色々調査されてて参考になります。一方で、日本漫画の韓国における売上は、現在わからなかったりするので、日本のマンガ産業サイドとしては、ちゃんと調べないといけないんですよね。


YoutubeやTwitterでも良く話題になる編集者の千代田さんですが、この記事での書かれ方、撮られ方を見ると、編集者の新しい領域を作る感じになっていると思えます。

昔から、尖った個性の編集者さんは沢山いましたが、メディアに表立ちはしませんでした。今はこれが違和感も問題も無く、むしろポジティブな時代です。

昔なら「編集者の癖に」という外の声や「編集者たるもの」という内の声に留められてたんだと思いますが、SNS時代では、プロモーションに新人獲得にと、SNS的なプレゼンスが様々にバリューを出せるようになり、それがリスクを超えたのでしょう。漫画編集者の新世代だなぁと。


国の書店振興や自治体の動き

飯田さんの現代ビジネスの記事、私も講談社と読売新聞という組み合わせは何だろうと思いつつ、中身を作る側がちゃんと小売りの問題に向き合うという意味では、今までの割と空虚な論に比べれば良いのかなと思いました。個人的には、紙については取次がここにどう入るのか気になるんですが、それよりも記事にあるように、具体策に深く入っていくしかない現実があり、進めてもらうしかないんだろうなとは思います。


最近こうした、様々な意見や、具体的な対案とかが増えてますよね。無人書店とか。


1万5千冊となると、今時の大きな温浴施設でもそれくらいですかね。
とはいえ、オペレーションや場所を考えると、1万5千準備する作業って大変なんですよね。これが、大局的にどう作用するかですね。行政は、施設を利用して欲しいと思ってやっているのだと思いますが。

札幌市でも、マンガでまちづくり。こういう時は、アニメだったりマンガだったりブレるのはなんなのでしょうね。良く年配の方がアニメの事をマンガで言っちゃうあれですかね。

こうした具体的な動きが、なにかに結実して欲しくはあります。失敗してそれを検証して、新たな手段を探ることも含めてですね。


Webtoon・ショート動画関連

色々なWebtoon進出がありましたが、東急の進出で「Shibutoon」というのはまたユニークですね。DLE制作、朝日放送も参加とのこと。テーマは渋谷と。


中国のQY Research社による、グローバルWebtoon市場のレポート、2025年1月版出てるのですね。この企業の調査については、各所で疑義が出てまして、とはいえ指標として出されているものではあるので、簡単に触れます。

結論的な部分だけ追いますと、世界のWebtoon市場の現状と今後は、

2024年:4293百万米ドル(約6,426億円)
2031年:18300百万米ドル(約2兆7,380億円)ドル円は本日レート

というところですね。31年の見込みがちょっと下がってますかね。少し弱気含みですね。まぁこうしたものは、あくまで参考にというところで。


海外News

*: 以降、外国語の記事も紹介します。自動翻訳などご利用ください。

韓国メディアにおけるNo9の記事。内容はこれまで国内でも報じられてきた小林さんらしい論なのですが、韓国プラットフォームで日本のスタジオがヒット作を制作、資本業務提携を行い世界をにらむ。という文脈が重要なんだろうなという記事でした。


タイトル意訳:カカオEは、IPを介しグローバルスタジオとしての地位をさらに強固にする計画

ここでいう、グローバルファンダムというものが実態どんな感じか、興味があります。


記者さんが、マンガ・Webtoonが好き過ぎてか、エピソードトークが色々出過ぎてよくわからなくなっているのですが、韓国でも長くヒットしたクレしんのように、Webtoonも成長していくであろうと書きたいみたいです。良いんじゃないでしょうか。


libroさんの北米エンタメニュースまとめです。今週も面白いものが多いです。


米国のグラフィックノベル販売部数は単年では減少傾向です。コロナ禍の反動というのが続いているところですね。急に大きく育って、いまちょっと落ち着きを見せてるみたいな感じと、先日米国出版関係者からも聞きました。


面白いですね。読む人が増えれば、色んな使い方されますねと。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

経済誌「東洋経済」による漫画CP


この作品のグッズ、どんな層にどんな内容のものがどれくらい支持されるのか、ちょっと興味深い所です。

そして、お薬手帳の商品化とはまた究極だなと思いました。限定品。


2/22にゃんにゃんにゃん猫の日特集

猫の日CPが色々あったようですね。


やはり、人類はネコにつかえていると言えると思います。


マンガボックス連載作の『猫と竜』アニメ化です。
個人的に、ずっと推し続けてきた連載で、とても嬉しく、楽しみです。できるならば、自分の仕事にしたかったくらいです。

「猫好き」と「ファンタジー好き」という、それぞれそれなりに大きな輪が重なるところがあるかと思います。
「それを猫がやるとメチャメチャ楽しい」が続く、猫愛が爆発してる良く出来た作品なので、近い感じの皆さんにおすすめです。個人的には猫たちのお母さんが、おばちゃん化するところが大好きです。


進撃の巨人をもほうふつとさせる、鉄道模型ネコ動画🐈
あぁぁw


記事のみ紹介


本論と関係無いんですが。

今回のこれは、なかなか類焼も含め長く続きますね。
「非実在型ネット炎上」という言葉を読んで、なるほどなと一瞬納得したのもつかの間、それでは済まずに長く燃えているように思います。

ちなみに私は、マイベストカップ麺が「赤いきつね」でして、関東風と関西風を交互に箱買いしています。今はうちに関西風が半ケースあります。自分が食べてるところは見られたくないです。


告知関連

MANGA総研は、マンガ・アニメIP市場調査を行いました。

調査の概要を、以下動画にて研究員の中山淳雄さんに紹介いただいています。

筆者単著「漫画ビジネス」クロスメディアパブリッシングより発売中です!

―――
毎週原則日曜(週初めの平日の前日)に更新しています。
マガジンx(旧Twitter)のフォローお願いします。
ご所属組織のSlackへのRSS登録大歓迎です。

筆者やMANGA総研へお問い合わせ、お仕事・執筆のオファーなどは以下


いいなと思ったら応援しよう!

菊池健
Twitterもやってます!フォロー、よろしくお願いします! https://twitter.com/t_kikuchi

この記事が参加している募集