結婚は恋愛のゴール?恋愛と結婚はフリーランスと株式会社ぐらい違うという話
恋愛は結婚のゴール?
結婚を経験していると、だいたい周囲の人から、結婚って恋愛と違うの?と質問されたりします。
私は早くに結婚して、子育てもして、それなりに家庭人としても過ごした後にシングルになりました。
だから、実は社会人になってからの時間はほとんどが結婚生活で、逆に恋愛らしい恋愛をしてこなかったんです。
でも結婚生活をしていたから恋愛は簡単、というとそんなことなくて、
むしろ恋愛については、大学生レベルで止まっているが故に、自分の不器用さにあたふたしたりします。
でもそれくらい、改めて恋愛と結婚って全然違うなと身をもって感じます。
20代ぐらいの、まだ若い女の子たちは、結婚を恋愛のゴールだと思っている人も多いです。でも、結婚が先で、いわゆるザ恋愛みたいな世界があることを結婚した後から知った私からすると、事実は真逆なんじゃないか、と思うわけです。
恋愛と結婚の違いは「関係の質」
結婚と恋愛の違いは何なのか?私が思うに、それは
関係性の質が変わることだと思うのです。もっというと、相手との関係性を維持するために、圧倒的なコミュニケーションの量が求められることが結婚だと思うのです。
愛される幸せ、を突き詰めたら、私は恋愛の方がむしろ愛情のゴールだと思ったりもします。なぜなら、好きという気持ち以外で一緒にいる必要がないことが恋愛だからです。
愛に言葉はいらない、なんて、名言だなぁって思いますけど、それが成り立つのが恋愛なのです。なぜなら好きという感情は感じるものだからです。
だから、たまに苦しい恋愛を続けてしまう人もいますが、楽しくなくなったら賞味期限が切れるのが恋愛です。お互いの気持ち以外に互いを定義するものがないのだから、もし今辛い恋愛をしているなら、すぐにやめたら良いのです。右にも左にも、前にも後ろにも、異性はどこにでもいます。
でも、そう簡単に行かないのが、結婚です。
フリーランスと株式会社に例えてみる
この恋愛と結婚の違いを、うまく表現するなら、フリーランスと株式会社が一番しっくりくると私は思います。起業して気づいたのは、会社を作るのって結婚して家族を作るのとすごく似てるんです。
恋愛は、例えるなら、フリーランス同士の楽しい仕事です。好きな時にお互いに好きなように仕事をする。でも、一緒に仕事しなくてもいいし、オフィスを同じ場所にする必要もないし、利害関係もなければ、お互いに責任関係もない。極めて自由で、そりゃぁ楽しいわけですよ。
つまり、共同で発生する責任が皆無。これが恋愛です。
だから、楽しくなくなったらやめたらよいのです。フリーランスは自分の責任を全うすることが一番大事なので、むしろ自分の仕事に影響が出たら大問題なんです。自分が一番大事。これ、恋愛と全く一緒ですよね。
でもそうしているうちに、一緒に仕事をする機会が増えて、ふと気づくんです。これ、もしかして、一緒に仕事したほうが二人とも幸せなんじゃないか?もっと、大きいことできるんじゃないか?と。それで思い切って会社を作ることにした。これこそ、結婚です。
でもフリーランスから会社になるって相当違うわけです。
まず登記します。会社の名前も一つになります。資本金も入れたりして。もうこれは結婚で言えば戸籍です。
さらに株主がいます。今まで互いの好きなように決められたことが、株主の影響力が強かったり、資本なんて入れられた日にはもう二人だけでは決められません。一つ一つの決まりごとが、いきなり経営判断になります。これは言うなれば互いの家族です。利害関係が増える。そしてそのために必要なコミュニケーションも増える。
そして日常も激変です。オフィスをどうするのか、たくさんのタスクはどちらがこなすのか。外部に委託するのか、従業員は増やすのか、共同代表にするのか、どちらかが雇われたほうがいいのか。
もう、これは住宅購入であり、子育ての議論であり、共働きのジャッジです。
圧倒的に決断にパワーがかかり、その一つ一つに嫌でも膨大なコミュニケーションが発生する。結婚当初が大変なのは、創業当時が大変なのと全く同じことです。これら全てを決めなければならないんです。
それを乗り越えて安定経営に入ればルーティンですから楽です。でも一度事業が傾いたら大変です。それまではなんとなく暗黙でできていたことは、ここにきて急に問題になります。今まで経営の悪化を見て見ぬ振りをすればするほど、立て直しは困難を極めます。本当に経営と全く同じだと思うんです。
自分が大事→シナジーの最大化へ
自分が一番大事というところから、お互いが最も心地よく、最大の価値を発揮できることが大事、に変わる。つまりシナジーの最大化。
このシナジーの最大化をするためには、互いを曝け出すコミュニケーションが不可欠なんです。
現実的な夢のない話のように聞こえちゃうかもしれないですが…。
でも、結婚には夢もたくさんあります。二人の考え方次第では、一人ではできなかったことができます。ビジョンに向かって家族という組織を大きくしていくこともできるし、子育てというマネジメントを通して、自らも大きく成長できます。ここには、まさにフリーランスでは絶対に味わえない夢や、挑戦があります。
そして、それだけのことを乗り越えた相手は、とてもかけがえのない存在にもなります。まさに生涯のパートナーです。「私のこと好き?」なんて曖昧な定義なんて遥かに超えて、強い信頼と、魂レベルでの志や想いの共有ができる。そして苦楽を共にしたからこそ分かち合える領域があるんです。とても深い部分で信頼関係が築けるということです。
でも、だからこそ互いのシナジーが最大化できないのであれば、やめると言う選択肢もあります。もちろん従業員は一番大事にしなければならないですし、株主にも説明責任があります。
でも、自分の人生をかけて行うことだからこそ、そこに妥協をしないことも大事だと思うのです。
結婚ほどクリエイティブなものはない
私は、日本は結婚の形をすごく決まり切った型みたいにしすぎてるなぁって思うんです。でも、会社を作るぐらいに考えたら、これぐらい創造性に溢れて、クリエイティブなものもないと思うんです。
だからその作業に、ワクワクするなら、同じようにワクワクする相手と
一度は結婚してみるのもいいと思います。
と、こんなことを熱く語ると、
「それ起業家の発想ですよ。普通そんな風に考えないですって」
と言われてしまうのですが…(苦笑)
※ちなみにこんな代表がいる我が家は、前の共同経営者(前夫)から今もありがたく色々と支援されながら、従業員2名(娘2人)抱えて会社やってるようなものですから、社外からまた新しく代表を迎えたりするのは、企業文化に関わるので悩ましいなとか、そんな風に考えちゃうわけです。
でも、少しでも結婚や家族のイメージをそんな風に考えられたら、
もっともっと、幸せな結婚が増えるんじゃないかなぁって思っています。
幸せの形は一つじゃないって、よく言われますが、
結婚の形も、家族の形も、パートナーシップの組み方も一つじゃないと思います。
社会や他人の目を気にせず、とことん話し合って、2人だけの新しい価値観を生み出していくこと。
新しい価値を誰かと生み出すことは、何も仕事だけではないんです。
”結婚や家庭もそんなクリエイティブなものだ”という発想を持てる人が
もっと増えたら、結婚生活も、夫婦のあり方も、変わるのではないかと思っています。