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うちのおばあちゃん

母方の祖母は、小さい頃、一緒に暮らしている時期があった。

弟が、父と母と同じ部屋で寝ていて、私は祖母と寝るという形だった。

幼少期、私はトイレが近い子で、寝る前にきちんとトイレに行っても、夜中に必ずと言っていいほどトイレに行っていた。しかも、夜中だから、暗くてこわい。「ばあちゃん、トイレ。」と言って祖母を起こし、トイレまで付き添わせたりしていた。

ごはんを食べ終わった時に、「あー、うまかった。牛負けた」とかいう、ばあちゃんの口癖を今でもたまに思い出したりすることがある。

眠れないときや、朝早く起きちゃった時に、布団の中でしてくれる『若い頃苦労した話』も、結構覚えている。旦那さん(私からみるとおじいちゃん)が死んじゃった時、子ども4人をどうやって食べさせて、育てていくか大変だった話。出稼ぎに行って、子どもたちを自分の両親に預けた話をするときは、いつも涙ぐんでた感じだった。

そんな苦労をしたから、なのか、ばあちゃん、なかなかパワフルな人でした。

近所のスーパーで、何か特売品があるというので、私と母、そしてばあちゃんの3人で行くことに。
そのスーパー、安売りで有名なんだけど、お店がとにかく狭い! それぞれが、目的のものを買って出口でまた会おう、ということに。

母は、特売品だけじゃなく色々なものを買いたいから、自然と3人の中では一番最後になるのですが、私は、『お一人様一パック限り』という条件つきのものを買うためだけの要員だったりするので、サッと買えればすぐ終わるはずなんだけど····· そこは、生まれついてのどんくさい私。人波に流されつつ、なかなか目的のもののところヘたどり着けずにいたら。

その人並みの向こうに、特売品がなくなっていくたびに、そのモノが入っていた箱を勢いよくよけている人の姿が。

そう。おばあちゃんです。
自分の分はカゴに入れたんだから、レジに向かえばいいのに、次の人、また次の人とどんどん商品を渡してあげてる。もちろん、お店の人に頼まれたわけではなく、自分で勝手にやっているのです。

そして、私の姿が見えると、とてつもなく大きな声で「おかっちょちゃん! ほれ早くしなさい! なくなってしまうべさ!」
と叫んでくるのですから、ビビります。

当時、小学生あるいは中学生ぐらいだった私は、ヒジョーに恥ずかしく、返事もせず、そこに着いた途端、サッとモノをとってレジに向かうことしかできませんでした。

お店を出たところで待っていた私に、おばあちゃんは「何だべ、この娘は。早くすれ(しろ)って言ってるのに」と更に追い打ちをかけます。

母に、家に帰ってから一部始終を話すと、「あぁ。」とわかっていた様子。でも、おばあちゃんに注意したりはしませんでした。「それぐらい声が出るだけ元気ならいいんでないの。」とかなんとか。私は、信じられない!はずかしい! と思い、その後、しばらくは二人と買い物に行きませんでした。

いとこの結婚式の時もすごかった。

私の2コ上のいとこ、Sちゃんは20代前半、結構早くしてお嫁に行ったのだけど、ダンナさんが10歳以上年上で、それを本人たちが少し気にしていたようなのです。

なので、ダンナさんが式の最後の挨拶の時に、こう言ったのです。
「····ご存知かと思いますが、私とSにはかなりの年の差があります。それを気にかけて、心配してくださる方もたくさんいると思います······」
会場中が、それに続く言葉を、ウルウルしながら待っていた時。

「だいじょーぶ!!!! 心配してないよ!!!!!!」

聞き覚えのある叫び声が、急に聞こえてきた。
そう。またもや。おばあちゃん。

いやいや、今、どう考えても、相槌入れたり、反応したりするところじゃないから!

一瞬の静けさの後、爆笑。

私の視界には、困った顔のいとことダンナさんが目に入って。

ばぁちゃん、やり過ぎだよ。

でも式の後に会ったら、一言。
「なんでみんな励ましてやらないのかねぇ」

か、かなわないっす。
最強だよ、ばあちゃん。




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