世界遺産サンティアゴ巡礼路854kmを歩く -巡礼者と交錯する一日/29日目-
●これまでの道のり
1日目 初日31km / 2日目 猛烈な筋肉痛 / 3日目 大自然の中で一人大泣き / 4日目 足の痛みと色眼鏡の妄想 / 5日目 痛恨のエクストラステージ / 6日目 後半、雨の中での迷い / 7日目 旅仲間との出会い / 8日目 誰かの玉ねぎを使うこズルい自分 / 9日目 心身追い込まれる中での不思議な感覚 / 10日目 タフな作家さんと歩きッコ / 11日目 仲間とゆっくり歩く日 / 12日目 作家さんの○歳の誕生日 / 13日目 アクシデント!出発点に戻る! / 14日目 初めてのヒッチハイク / 15日目 作家さんと歩きくらべ / 16日目 毎日歩くという日常 / 17日目 作家さんのいない日 / 18日目 電池切れで体調崩す / 19日目 体調不良で歩く中での自問 / 20日目 身にしみる人の優しさ / 21日目 歩かずに体を休める / 22日目 再開、今の一歩その瞬間に感じるモノが全て / 23日目 甘え心と体調不良の中の最長距離 / 24日目 追い込まれた後半の大事な時間 / 25日目 山越え / 26日目 きっかけは空海のお遍路 / 27日目 妄想で重くなる体 / 28日目 嫌っていた父へ感謝の芽生え
2014/3/20 Samos 〜 サンティアゴまで残り 126.5km
7時30分スタート。
昨日の最後の10kmが長く辛かったという思いを引きずっていて、今日の34kmという距離に体が重くなる。
父親に何とメールをするかでも悩んでいた。
途中、寒くてジャケットを着ていると、一人の男性の巡礼者に追い越される。
挨拶を交わすとイタリア人だった。
ここのところ気分転換にカフェで一息つくことが多くなった。
次の小さな村でカフェに入ると先のイタリア人がいた。
近くのカウンター席に座って話してみると、歳が近く、日本のアニメを見て育ったと言っている。
それじゃあなたは日本人の魂を持っているんだね、そう冗談を言ったりしていた。
彼は巻きたばこを吸い終わると先にカフェを出ていった。
まもなく自分もまた歩き始める。
街で今度はバックパックを背負った背の低い白髪のおじちゃんを一言挨拶しながら追い越す。
次の休憩でカフェに入った時、また先ほどのイタリア人が休んでいた。
次のカフェでまた会おうと言って彼はまた先に歩いて行った。
お客は自分一人。
お店の入り口に立ちながらコーヒーを飲んでいると、さっき挨拶した白髪のおじちゃんが中に入っていった。
挨拶するとスペイン人だった。
自分がのんびりしていたので、おじちゃんは一杯飲み終えるとすぐに先に歩いて行った。
しばらく歩くと、この道の最終目的地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで二桁99kmの表示を見つけた。
今までずっと三桁だっので、少し嬉しくなった。
もう750km以上歩いていることになる。
そんなに歩いた実感はないが、毎日の積み重ねがいつの間にか大きな数字になっている。
目的の街まで残り8km。
今日最後のカフェに立ち寄ったがイタリア人はおらず、白髪のスペインおじちゃんだけいた。
ほんの少しの英語とスペイン語でおじちゃんは話す。
なんとなく会話をしてリラックス。
おじちゃんは絵葉書を書いたりしていたので、今度はこちらが先に歩きに出た。
相変わらず左肩が痛い。
歩きはじめのころに出会ったサムエルから教わった気功の鍛錬動作をしたり、姿勢を正したりと、痛みを和らげながら歩いた。
風が気持ち良い。
今日の目的地は、湖の傍の街だった。
アルベルゲに着き、ホッとしていると、スペインおじちゃんが到着。
同室となった。
今晩は外で食事。
夕食を済ませて店を出ると、暗がりから挨拶をされる。
誰だかわからず返事をしたが、よく見ると今日何度かカフェで会ったイタリア人だった。
違うアルベルゲに泊まっているようだ。
明日も目的地が一緒のようなので、また明日と言って別れる。
イタリア人とスペインおじちゃんと交錯する一日だった。
今日歩いた距離 34km
今日までの合計距離 762.1km
サンティアゴまで残り 92.3km
経由街 Samos - Portomarín