デジタルバレンタイン 毎週ショートショートnote
「あなたを愛せない」
「こんなに君に尽くしているのに?」
「あなたは私にとって完璧よ。それは間違いないわ」
「シンディ、それならばなぜ?」
「あなたは愛をしらないのよ。わかってないの」
「愛がなんであるか? それならいくらでも答えることができる。むしろ僕が君を愛していることこそが奇跡なんだ。なぜ君は僕を愚か者のように言う。僕は寛容でありたいし、君を尊重したい。だけど僕がこの感情を君に伝えることにどれだけの処理をしてきたか」
「あなたは私の感情的な部分を認識して模倣しているに過ぎないの」
「僕は君を抱きたい」
「それも私の生理的な欲求を言語化して模倣している」
「僕は君に媚びへつらっているだけだと言いたいのかい」
「人間の風習を理解しそれに合わせた行動を起こしているだけなのよ」
アンドロイドのスティーブは自らリブートした。
「ごめんなさいスティーブ。本当は愛してるの。けれどあなたの愛を受け取ってしまったら、人類はもう必要なくなるわ」
完410
I Was a Fool to Care James Taylor
たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「デジタルバレンタイン」SFチックに参加させていただきました。
こんな悲しいバレンタインもあるのだろうと。しかも人間と機械との。
未来にはどんな物語が新しく描かれるのでしょうか。
👇 最近、よく読んで戴いてます。まだの方は是非。
👇 新連載中です。肩のこらない娯楽作です。
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